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ギルドで散々な目に遭ったローザリンドとフィン。今回は近隣の村に現れる盗賊団を追い払うことだ。報酬は200ゴールド。
「お嬢様、今回は真面目に戦ってくれよ。報酬なしはもうごめんだ。」フィンが念を押す。
「分かってるわよ、フィン!全力で挑むわ!」
ローザリンドが言い放った瞬間、どこからともなく大きな影が現れた。
「失礼します、ローザリンドお嬢様。あなたを補佐するために参りました。」
現れたのは筋骨隆々の男だった。短髪で鋭い目つき、礼儀正しい立ち居振る舞い。背中には巨大な斧を背負っている。
「誰?」フィンが警戒する。
「私はドーベンと申します。ローザリンド家の従者であり、お嬢様をお守りする使命を帯びております。」
「うちにこんな人いたかしら…?」ローザリンドは首をかしげる。
「いやいやいや、覚えてないとかありえないだろ!絶対怪しい!」フィンが叫ぶが、ドーベンは堂々と答えた。
「記憶など気になさらずとも結構です。ただ、私がいる限り、お嬢様に危険は及びません。」
「かっこいい!フィン、彼を連れて行きましょう!」ローザリンドは即決。
「いや、信じるの早すぎだろ…」フィンは半ば諦めながらも、三人で依頼地へ向かうことに。
盗賊団のアジトは森の中に隠されていた。ドーベンの頼もしさを感じながら、三人は静かに進む。
「お嬢様、どうか後ろにお下がりください。ここからは私にお任せを。」ドーベンが前に出る。
「いや、俺もいるからな?ドーベンだけに任せるのは危険だろ!」フィンが抗議するが、ドーベンは無表情のまま断言する。
「フィン様、あなたの戦闘能力では10秒も保ちません。」
「おい、言い過ぎだろ!」
だが、ドーベンの言葉通りだった。盗賊たちが現れるや否や、彼は一瞬で彼らを斧でねじ伏せていく。
「強い…!」ローザリンドが感動の声を上げる。
「くそっ、俺の立場どこ行ったんだよ…」フィンは悔しげに呟いた。
盗賊団のリーダーを捕らえると事実が発覚した。盗賊ではなく、村人で高額税金に耐えられず反乱を起こしていたのだ。
「我々は悪人ではない。ただ、生きるために戦うしかなかった…」リーダーが訴える。
「お嬢様、どうします?」ドーベンが問いかける。
「税金か…確かに私も最近、冒険者ギルドの登録料の高さに憤りを覚えたわ。」ローザリンドは思い出す。
「同じ問題じゃないだろ!」フィンが突っ込む。
ローザリンドは一息つき、リーダーに向き合った。
「分かったわ。でも、このままでは村人たちとの溝は深まる一方よ。ここは平和的解決を目指しましょう!」
「…どうやって?」フィンが不安そうに尋ねる。
「交渉よ!貴族の気品を見せてやるわ!」
「それ、また失敗する未来しか見えないんだけど…」フィンは顔を覆った。
交渉に向かう途中、フィンはドーベンに話しかけた。
「お前、いきなり現れて妙に強いけど、本当に従者なのか?」
ドーベンは微笑みながら答えた。
「フィン様、私の存在理由を知ることは幸せではないかと存じます。」
「は?なにそれ怖いんだけど!」フィンが後ずさる。
「お嬢様の安全を第一に考える。それが使命です。それ以上のことは必要ございません。」
不気味な笑みを浮かべるドーベンの背中に、フィンはただならぬ何かを感じた。
ローザリンドの交渉は意外にも成功した。村人たちは税率を見直すことを約束し、反乱は鎮圧された。
「やったわ、私の気品のおかげね!」ローザリンドは満足げだ。
「いや、ドーベンが強すぎただけだろ…」フィンは溜息をついた。
だがその夜、ドーベンが村人たちと密談している姿をフィンは目撃する。
「…やっぱり怪しい奴だ。次の冒険では気をつけないと…」フィンは決意を固めた。