___物語世界・案内人
___通称【真夜中】
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___真名は【榊 真陽】
10⁄12
生誕.
午前0時。
何故か、目が覚める。
…いや、何故かは私がいちばん理解しているのだろう。
一人で勝手に意識しているのを悟られたくない故、偶然ということにしておこう。
…彼はまだ、起きているだろうか。
最近仕事が忙しいらしく、あまり共に会話をすることもなかった。
…今や、天界は軽い騒動になっている。
創造神チャペルが突如消息を絶って早二週間。
また、その数時間前には創世神ノヴェル様の代理でありTOP3の神であるカミラが身体の原型をとどめてない状態で発見されている。
回復したカミラに真夜中が事情を尋ねたところ、珍しいことに、弱々しく首を横に振るばかりだったとの事。
__天界は今、
どういう状況に立たされているのだろうか。
全てを観ているノヴェル様の精神世界が眠っている限り、真相は分からないままであろう。
…しかし、真夜中。
「ふぉあっ…!?」
驚いた猫のようなリアクションをして手持ちのカップを取り落としかける彼を、
私は面白そうに眺める。
「ふふ、やっと気付きましたね、真夜中」
「…はあ、貴女は全く…」
「誕生日、ですよ?…おめでとうございます」
悪戯っぽく笑いかけると、真夜中は呆れたように黙り込む。
「…案内人、と呼んでください」
仕事中なので、と付け加える。
あまりに冷たい対応、私でなければ見逃しちゃいますね(何がやねん)。
「…では、案内人」
「何です」
「先程日付が12日になり、
貴方は無事に誕生日を迎えたわけですが…」
「はあ、それが何か」
相変わらず向かい合わせに座った男はこちらに視線を向けることはない。
「それについて何か一言コメントをよろしくお願いします」
羽をぱたつかせながら私はカメラを構える。
「撮るな。盗撮魔」
「あ〜!私のカメラ!」
「うるさいですね…」
真夜中は、心底苛立っていると言わんばかりに、私から取り上げたデジタルカメラを仕舞った。
丸テーブル越しの彼が随分遠くに感じられる。
「………仕事中なので」
少し怒気を含んだ声で繰り返された言葉に私は口をつぐまざるを得なかった。
…疲れている。
「…真夜中、
ですが、少しは休まなければ貴方の身体が」
「…優しいんですね、天使は」
当然のように優しいなどと言われて、
悔しいような、恥ずかしいような…。
私なら感じられないはずの感情が、
胸の内で沸々と渦巻く。
「……そういう問題ではないでしょう」
私はいつの間にやら真剣に彼の顔を見据える。
「はっきり言って、貴方の仕事量は過多になりつつあります。
ましてや誕生日など…」
「…今は四の五の言ってられないんです」
くたびれた様子で彼もこちらを見上げた。
湯気が僅かに立つ珈琲の入ったカップを持ち上げ、静かに一口飲む。
それだけで芳醇な香りがした。
「…」
「貴女が私を心配してくださっているのには、感謝しますよ。」
そう言うと立ち上がり、銀白色のティーサーバーにアールグレイの茶葉を入れ始める。
手際だけは良い。
「…優しいんですね」
背中越しの気休めの言葉。
もう皮肉にしか感じられなかった。
どうすればいいか分からずに俯いている合間に、真夜中の淹れた紅茶が目の前に置かれる。
「…ありがとうございます」
私はなかなか顔を上げられずにいた。
いつからだろう、
真夜中が私より天界を選ぶようになったのは。
……
(…なんだ、今の。
これではまるで、
私が寂しがっているかのような…。)
思えばじわりと目が温かくなって、
私はもっと目を伏せなければならなくなった。
「…よし、だいぶ事情聴取の内容も整理できましたね。
これでやっと区切りが」
偶然、顔を上げた彼と私の視線がかち合う。
「…!あ、えっと」
「え、ど、どうしたんですか」
「な、なんでもな……」
手元の書類を一点にまとめた真夜中がテーブルの向こう側から手を伸ばす。
「…?」
「ミッドナイト、大丈夫ですよ」
その手は私の頭に一瞬だけぽんと置かれただけで、
数秒後にはもう彼は立ち上がっていた。
「誕生日のお祝いは、ケーキとお酒以外でお願いしますね。
おやすみ、可愛げのなくなった堕天使」
茶化すように言い残して、
彼は扉を開けて出ていく。
「……っ」
心臓がズキズキと痛んでいた。
……
「……ふふっ」
先程取り上げたデジタルカメラの中には、幼い頃の彼女が楽しげに笑っている写真が何枚もあった。
「……本当に」
憎たらしいほど、優しい堕天使だ。
10⁄12
真夜中オメデー!!!!!
~END~
コメント
14件
イラスト完成しないんでコメントだけ投げときまーす。 いつか絶対真夜中様描いてやる…() 真夜中様おめでとうございます🎉 いやーおじさんになっt((((((
おめでと〜んございやす!! 真夜中さんまたひとつ歳を取りましたね!!!! 良い物語ですね👍👍👍
おめ…。