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深夜の電話❸
ドラマを観始めて三十分が経過する
テレビの向こうでは登場人物たちが壮大な人間ドラマを繰り広げていた。
ユキヤは美しくも残酷なシーンに惹き込まれ涙を流していた。
この頃にはもう電話のことなどすっかり忘れていた。
……はずだった。
再び寝室から聞こえる着信音。
ドラマチックなセリフとけたたましく鳴り響く着信音がユキヤの脳内でぶつかり合い、ユキヤの理性もここで切れた。
ユキヤは付近に置いていたテレビのリモコンの停止ボタンを潰す勢いで叩き押し、床を鳴らすような足音を立てながら寝室へと向かう。
受話器を乱暴に掴み取り耳に当てる
そしてついに
「…お前、いい加減にしろよ…!」
意趣を晴らすような怒号を上げた。
だがユキヤの怒りは収まることを知らないかのように次々と荒々しい口調で捲し立てる。
「何なんだよ一体!用があんのかねぇのかハッキリしろよ!!何度も何度も睡眠を妨害してきやがって…!ふざけんじゃねぇぞ!!」
幾多もの積怨が爆発し普段口調の柔らかいユキヤからは想像もつかないような暴言が口から飛び出した。
それでも相手の返事はない。
ユキヤの心の中で強烈な羞恥心が湧き
「チッ…恥かかせやがって…二度とかけてくんじゃねぇゴミクズが!」
と、もはやユキヤではない別の暴言王に憑依したような言葉を吐き捨て受話器を叩き戻した。
ユキヤは廊下に出て立ち止まり両手で顔を覆って激しく後悔をした。
「あぁぁぁぁ…最悪だ…僕はなんて言葉遣いを…」
ユキヤはもうすっかり興醒めしドラマの続きを観る気など微塵も湧いて来ず、そのままテレビを切った。
ユキヤはささくれ立った心を少しでも癒すため、ソファの端っこにちょこんと座っているうさぎのぬいぐるみを抱き上げた
「うさぎさん、一緒に寝よ?」
掠れた声でそう呟きぬいぐるみの温もりに身を委ねる。
抱きしめた腕から全身に伝わってくる柔らかさで緊張はほぐれ安堵の笑みがふっと零れた。
ユキヤはリビングの電気をそっと消した。
コメント
1件
いやー、ユキヤのキレっぷり、めっちゃわかるわ…。夜中の何度も電話、誰でもイラッとくるもんな。でもあの後すぐ後悔して、うさぎのぬいぐるみ抱きしめて「一緒に寝よ?」ってなるギャップ、たまらんかわいかった。ここまで感情が爆発したってことは、電話の相手は何かヤバい奴なのかね?続きがすげー気になる🔥