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kaede🍁
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次の町へ向かう道中。
目黒と佐久間は、出会ったモンスターを倒しながら進んでいた。
正確には。
「蓮! 右!」
「うん」
目黒が毒針を投げる。
モンスターに刺さった瞬間、光になって消えた。
「また一発!」
「これ本当に強いね」
「蓮の運が良すぎるんだよ!」
次のモンスターにも毒針。
また一発。
さらに次も。
一発。
「……剣いらないんじゃない?」
「俺もそう思い始めた」
二人は大量の毒針を投げながら、順調にレベルを上げていった。
___________
ようやく目的の町に到着すると、二人は酒場へ向かった。
仲間になってくれそうな冒険者を探しながら、ジュースを飲んで待つ。
「めめ! 佐久間くん!」
聞き覚えのある声がした。
「ラウール?」
振り返ると、立派な鎧を着たラウールがいる。
その後ろには。
「……舘さんとしょっぴー?」
宮舘と渡辺までいた。
「三人とも何してるの?」
「仲間探してたら二人見つけた」
ラウールが笑う。
「めめたちもいるかなって思って連れてきたよ」
宮舘と渡辺は二人ともローブ姿で、杖を持っている。
「二人とも魔法使い?」
「そうみたい」
宮舘が答える。
渡辺も自分の杖を見ながら、
「気付いたらこの格好で森にいた」
「俺たち、この世界に来るの初めてなんだけどね」
「二人で歩いてたらラウールに会った」
佐久間が二人のステータスを確認する。
「……え?」
「何?」
「二人ともレベル高すぎない!?」
初めて異世界へ来た人間とは思えない数字だった。
「何したの?」
佐久間が聞くと。
渡辺はあっさり答える。
「二人で魔法使った」
「どんな?」
「強そうなモンスターいたから、一番強そうなの使った」
宮舘も頷く。
「二人で同時に使ったら倒せたよ」
「それ何回かやってたらレベル上がった」
「……。」
佐久間が頭を抱える。
「それ、初心者のレベル上げじゃないんだよ」
___________
「でもちょうどよかった!」
佐久間はすぐに立ち直った。
「海のモンスター倒すのに、魔法使える人欲しかったから!」
「海?」
渡辺が嫌そうな顔をする。
「俺ら船乗るの?」
「そう!」
「酔い止めある?」
「ない!」
「帰りたい」
宮舘が穏やかに笑う。
「翔太、俺がいるから大丈夫だよ」
「涼太がいても船酔いはするだろ」
そんな二人を横に。
佐久間はラウールを見る。
「ラウ、今回もパラディンなんだ」
「うん」
「魔法あんまり使えないでしょ? 大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「本当に?」
ラウールはあっさり頷いた。
「前回来た時に、あべちゃんから教わったから」
「何を?」
「サンダーと回復魔法」
「……え?」
「両方使えるよ」
佐久間が驚く。
「パラディンなのに!?」
「あべちゃんに全部教えてもらった」
ラウールは得意そうに笑った。
「前回使わなかったけど」
目黒がすぐ反応する。
「あべちゃんが教えたの?」
「うん」
「どんな感じだった?」
「めめ、そこ気になる?」
「気になる」
「蓮、今それ聞いてる場合じゃないから」
佐久間に止められた。
___________
改めて全員を見る。
勇者の目黒。
勇者の佐久間。
パラディンのラウール。
そして、やたらとレベルの高い魔法使いの宮舘と渡辺。
「……俺ら、結構強くない?」
佐久間が言うと。
「強いと思う」
ラウールも頷いた。
「これなら海いけるじゃん!」
佐久間が嬉しそうに立ち上がる。
「よし! 五人で船探しに行こう!」
こうして。
勇者・めめ
勇者・さっくん
魔法使い・だてさま
魔法使い・しょっぴー
パラディン・ラウール
という、妙に戦力の整った五人パーティーが完成した。
___________
海へ向かう前に、一行はまず、装備を整えることにした。
「毒針以外、何も買ってないからね」
渡辺が呆れたように佐久間を見る。
「毒針は大事なんだって!」
「で、金は?」
「ない!」
「最悪じゃん」
すると宮舘が自分の所持金を確認した。
「俺と翔太、結構持ってるよ」
「なんで?」
「強いモンスター倒してたからじゃない?」
渡辺も確認して驚く。
「うわ、本当だ。めっちゃある」
こうして。
宮舘と渡辺の所持金で、全員の装備を揃えることになった。
「なんで俺らが全員分払ってんだよ」
「みんなで旅するんだからいいじゃん」
武器、防具、回復アイテム。
今度こそ、まともな冒険者らしい装備が完成した。
店を出たところで。
渡辺が何気なく聞いた。
「で、船は誰が操縦すんの?」
「……。」
全員が止まった。
「佐久間?」
「できない」
「めめ?」
「できない」
「涼太?」
「できないね」
「ラウ?」
「できない」
全員の視線が渡辺へ戻る。
「俺もできねぇよ」
「……。」
五人で顔を見合わせる。
ようやく重大な問題に気付いた。
「船あっても意味ないじゃん!」
佐久間が叫ぶ。
「どうする?」
目黒は困った。
早く海へ行って、モンスターを倒して、阿部のところへ帰りたい。
なのに海へ出る以前の問題だった。
全員で悩んでいると。
「あ」
ラウールが声を上げた。
「空飛ぶ靴、なかったっけ?」
「空飛ぶ靴?」
「うん。前回来た時、サブダンジョンにあるって聞いた気がする」
佐久間が首を傾げる。
「そんなのあった?」
「佐久間くんが行かなかったんだよ」
「俺?」
「『早く魔王倒したいから行かなくていいっしょ!』って」
「……言いそう」
目黒が呟く。
「言ってたよ」
ラウールは笑った。
「空飛ぶ靴があれば、船いらないんじゃない?」
全員が黙る。
そして。
渡辺が言った。
「……最初からそれ取りに行ってたらよかったんじゃね?」
「確かに」
こうして予定変更。
海へ向かうはずだった五人は。
空飛ぶ靴を手に入れるため、サブダンジョンへ向かうことになった。
「でも空飛べたら早いよね」
目黒は少し嬉しそうだった。
「早くあべちゃんのところ帰れる」
「めめ、それしか考えてないじゃん」
ラウールが笑う。
「だって心配だから」
「大丈夫だって。寝たら治るんでしょ?」
「天使の言うこと信用できないんだよね」
「それは分かる」
佐久間が大きく頷いた。
適当な天使に。
おっちょこな魔王。
操縦できない船。
そして。
前回、佐久間が完全に無視したサブダンジョン。
こうして五人は。
本来のストーリーには全く関係ない、空飛ぶ靴を探す寄り道へ向かうことになった。
コメント
3件

今晩は⭐️ 一気に読みました。 💚の時は戦いだったけど 今回はお笑い少しあるまぁ🖤が💚の事しか考えてないからなのかな。 さっさと倒して帰りましょう。
わー、第2話読んだ!毒針だけで進むめめとさっくん、笑ったw そこにだてしょっぴーとラウール合流で一気に賑やかになったね。特に「船操縦できねぇ」の気づきの遅さと、空飛ぶ靴の存在を思い出したラウールが最高。前回さっくんが無視したサブダンジョンに今さら行くって展開、めっちゃ好きだわ。みんなでワイワイやってる感じが伝わってきて楽しかった!