一年の内で一晩しか咲かない花…、 その名も “月下美人”――
そんな花が題材の新作「珍宝の月下美人」。
不思議に満ち溢れた恋愛ストーリーを目指して作っていきます。
では、どうぞ_____
―――
うららかな陽気の今日、俺は美しく、謎の女性に出会った。
名前は―― 月下 美琴(つきした みこと)___
遡ること数時間前――
私立高校の生徒の俺は、朝早くから家を出て、新幹線に乗って毎日通学していた。
俺の住んでいる都道府県は静岡。 家はだいぶ田舎にあり、自然に囲まれた雄大な土地だ。
そこから高校に通うとなると、どうしても新幹線に乗らざるおえない。
だが今日、俺は痛恨のミスをおかしてしまった。
現在時刻はAM 7:02 。いつもなら10分前に駅には着いている時間帯なのだが、今日は寝坊してしまったため、まだ駅にすら着いていなかった。
「(ヤバいヤバい、乗り遅れるぞ…っ)」
いつも乗っている新幹線に乗るためには、軽く計算しても 本気で走って向かわないと間に合わないだろう。
「っ、ふぅ…」
「ちょっとそこの方、良いですか?」
「え、……」
穏やかで、どこかミステリアスな雰囲気も感じる声が呼んだのは、確かに俺だった。
こんな細い路地で、しかも俺なんかに何の用だ…?
――しかも今急いでるのに… 話してる暇無いんだけど…
心の中ではそう思うが、声の響きが他人とは違うことにはすでに気づいていたから、断る事は出来なかった。
「少しなら、聞けますけど…」
「そうですか、ありがとうございます。」
「はい…」
彼女は、俺の頭一つ分ぐらい背が高い、高校生では無さそうな高身長だった。
俺でも結構背は高い方だから、きっと高校生では無いだろう。
そんな彼女だが、堂々たる雰囲気を纏っていながらも、スタイリッシュでモデルの様な歩み方。
更に、履いているスカートに届くぐらいの長髪。
漆黒のシャツワンピースは、まさに彼女にしか着こなせないだろう。
でも、こんな一般人の俺に話したい事って 何だ……?
「あの…、俺に何の用ですかね…?」
「私にとっては思い入れのある方なんですよ、貴方。」
「へ……?」
「まぁ、今分かってもらわなくても良いですけどね。」
「?」
彼女は、うつむいて 切なさが滲む微笑をこぼした。
俺に心当たりは無いが、彼女にとって何かあるのだろうか…
「貴方の名前、聞いても良いですか。」
「あ、はい。 俺、北登(ほくと)って言います…」
「北登くんって呼んでも良いですか__?」
「どうぞ…! あなたの名前は…?」
「私は、美琴(みこと)と言います。」
「美琴さん、… えっと、年齢は…??」
「年齢…」
「……」
もしかして、年齢って… 聞いてはいけないワードだっただろうか?
言えない理由でもあるのか…
「年齢なんて、存在しない……」
「え…??」
「あ、何にも無いです!気にしないでっ!」
「は、はい………」
『年齢なんて存在しない』
――この言葉が、ずっと俺の頭の中に残っている。
意味は理解できないが、何故か深い意味があるように感じる。
気にしないなんて、不可能じゃないだろうか…
こんな独特な人に声をかけられて、更には不明な言葉まで発した…
不思議な美人____ だけど、どこか恐ろしさを感じた気がした。
___これは今日の朝の出来事。
あの後、美琴さんからの依頼でライン交換をした。
結局あの後、高校に遅刻してしまった。 でも、日中ずっと美琴さんの事ばかり考えていた。
そのせいで叱られたりと、色々ハプニングが起きた一日だった。
それでさえ、美琴さんしか頭に無かったのだ。
―――俺、美琴さんに引き込まれてる……?
そんな錯覚に、俺は陥っていた。
―――これは錯覚なのだろうか……
――夜、俺のもとに一件のラインが届いた。
『明日もあの場所で会えますか。』
その誘いに乗れば、また美琴さんに会えるのか…
俺の中の「会いたい」という感情が抑えきれず、指が勝手に動きそうになる。
それを自分で止める事は不可能だった。
『もちろんです。』
そう送ると、1分も経たない内に返信が来た。
『ありがとうございます。では、◯△公園でお待ちしています。』
美琴さんは、近くの公園に来るように指定してきた。
俺は、就寝時も布団に潜り込んで 一人して妄想を繰り広げていた―――
コメント
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この話は、まだ完結していないお話です💦 またまた気休め作品なので、投稿頻度はとてつもなく遅くなるかも知れません(TT) この作品を優先して書くことは無い と思って頂いてOKです👌 ご理解お願いします(_ _)🙇