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ふわふわと浮かんでいる。明るい淡黄色の世界で飛んでいる。
長い間飛んでいると、2つの世界が交差するように色の境目があり、その向こうは深い暗闇が広がっている。
私は吸い寄せられるように、暗闇に飲まれていく。どこまでも深い暗闇に飲まれていく中、身体を蝕むひどい寒さがあった。
「期待してるぞ」と、聞き覚えがあるが、思い出せない声が聞こえる。
「考えて」と、また聞こえる。
その声が何度も響くたびに黒が濃くなり、寒さが増す。
浮かんでいるから、どれだけもがいても腕が虚しく空を切るだけ。
言葉を出そうにも出ないことに、恐怖が産まれる。
「あの、大丈夫ですか?」
と、言う言葉で暗闇に光がさす。
「つばっ…」と言いかけて、その声が警備員の声であると認識する。
あたりは暗く、夏といえど少し冷える。その涼しさに身が震える。
「もう、閉校時間過ぎてますから、帰ってください。」と言う、業務的な言葉は既にひどいメンタルを、また強く刺してくる。
「はい…」と、勝手にローテンションな声で返事をして、そのまま指示のままに見慣れた帰路に付く。
時刻は既に9時頃。まだ眠気があり、少し目をこする。座って寝ていたので腰が痛い。その痛みに意識を研ぎ澄ませて、自分の思考を制限する。
腰の痛みに意識を向けていなければ、……今は本当に完全に心が壊れてしまいそうなほど、疲れていたから。
寝ていた間、夢を見ていた気がする。今となっては覚えていない。でも起きた時の、冷や汗が夜の寒さを際立たせている。
家に帰って早く寝よう。
そう思ってアスファルトに目を向け、足を速める。
涙は隠せただろうか。
程なくして、我が城であるそこそこのアパートについた。
階段を登り、自分の家の扉を開ける。
部屋は暗い。今日は親がいない。
手を洗って。
パン焼いて食って。
風呂に入って。
着替えて。
歯を磨いて。
ベットに入って。
寝た。
眠れなかった。
寝たんだから、寝れないのは当たり前って言えば当たり前である。
仕方ないのでゲームをした。
ゲームにも力は入らなかった。
軽くお話でも作って、文にしてみたり。
漫画読んだり。
全部、力が入らなかった。
こういうとき、燕ちゃんとか、千蔭とか、冬美がいたら、きっと楽しい。
どうなんだろう。
私は燕ちゃんが好きなのだろうか。
好きではあると思う。どう好きなんだろう。
考えて考えて。
土曜の太陽が登り始めた。