「翔太君、ごめん…」
「何で、目黒が謝るんだよ…?」
せっかく気に入ってもらえて、懇意にさせてもらっていたプロデューサー
渡辺の仕事の中には、男が指名して始まったモノもあったはずだし…俺のせいで、その仕事が全て失われてしまうかも知れない
「もしかして、俺の仕事の事を心配してくれてるのか?」
「………」
「まぁ、少し位は減るかも知れないけど…全部、俺が好きでやった事だから…お前が気にする事じゃないよ」
そう言って、笑いかけてくれる
「翔太君…」
「お前がそんな奴じゃないって、俺達が1番良く知ってるから…」
頭の上に手を置かれ、強めに頭を撫でられる
それに抵抗するフリをして俺は渡辺の手に触れてみた…
『やっぱり好きだ…』
こんなに美人で怖がりなのに、こんなに強くてカッコイイなんて…
『こんなの、好きにならないなんて絶対に無理でしょ…』
溢れる気持ちを胸に秘め、目黒は渡辺を見つめて微笑んだ
◇◆◇◆
それから、しばらく経ったある日…
朗報が突然飛び込んで来た
「あのプロデューサー…タレントに手を出して、辞めたらしいよ」
どうやらあの男は、他の男性タレントにも手を出していて…
それが問題となり、相手の事務所に訴えられたらしい
裁判が終わるまでの間、自宅謹慎だったのだが…
元々プライドの高かった男は、自分の経歴に傷が付き…それに腹を立て自主退職したというのだ
「とりあえず、助かった…のかな?」
あの男の逆鱗に触れ、突然降板させられた番組も
裏で色々と調査が進み…男の勝手な判断だと認められ、無事に復帰出来る事となった
「翔太君、良かったね」
「目黒が色々と話してくれたんだろ?」
誰か事情を知った人間が、上に掛け合ってくれでもしないと
こんなに早く、復帰出来るはずはない…
そうなると今回の事を全て知っている人間は、俺と目黒と…あの男に限られてくる
あの男が、自分を貶める様な事をするはずはないし…自分もそんな事をした覚えがない
「目黒、ありがとう」
「そんな、俺は…」
自分は、お礼を言われる様な事をしたつもりは無い
ただ翔太君の為に、何かしたかっただけだった…
救われるのはいつも自分の方で…背中を見つめて追いかけて来た
今度は横に並びたい…自分の想いを伝える為に…
コメント
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ぐあー!じれったい!!!😆😆😆