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玲央と一緒に歩いていると
徐々に周りに登校する生徒が 増えていった。
いよいよ校門に差し掛かり、 生徒の視線が玲央と私に やや集まりつつある。
うぅ、視線がきつい…
そーっと私は玲央から離れようとする。
が、ガシッと手を掴まれた。
「なつ?どこ行くの?
校舎目の前だし、ちゃんと着くまで
一緒にいてもらわないと、ね?」
そうして玲央は笑う。
いや怖い怖い、すごい圧を感じる!
そしていつのまにか手を繋がれている。
逃げられないではないかっ!
心も顔もピシッと固まっていたまま
歩いていたらあっと言う間に
昇降口へ着いてしまった。
靴を脱ぐために手を外そうと
すればギュッと一度
強く握られて離された。
何がしたいんだ…
怪訝な顔をして玲央を見ると
なぜか顔を逸らされた。
え、なになになに!?
なんかおもしろいことでもあった!?
周りをキョロキョロするけど
それらしいものも見当たらない。
まぁいっか。
「玲央バイバーイ」
上靴に履き替えそそくさと
その場をあとにした。
玲央がほんのり耳を
染めていたことに気づかずに…
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教室に向かうため、廊下を歩く。
角を曲がると
正面衝突、誰かとぶつかった。
デジャヴだ。
フローリングも痛いよね…
転ぶ覚悟を決めたけど 今回は転ばずにすみ、
顔をあげる。と、目が合い同時に…
「「 あ 」」
と呟いた。
き、昨日の男!
うわああ!どうしよう!?
驚きで固まっていると、 彼はニヤリと笑い、
なぜか私は腕を引っ張られ、 引き寄せられた。
いやなんで!?
「ぶつかってごめんなさい、
腕、離していただけませんか?」
私は口をひくつかせながらそう言った。
一応敬語を使う、 先輩かもしれないし…
すると、彼は顔を近づけてくる。
「昨日は暗くて あんま見えなかったけど、
やっぱ美人だなー」
え?今なんて?
驚きを隠せずにいると
「ねぇ、今度暇だったら遊ぼうぜ?」
と、彼は言う。
は?今度っていつよ、 てかなんの遊びだよ。
「そんな暇ないんで!さよならっ!」
背を向けて走りだす。
「ふーん…」
その青年は意味深に笑うのだった。