テラーノベル
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隼人, ❥ ↝😈🔥サブ垢
※一番初めの話から見ることをおすすめします。
できるだけ原作と一緒にするため、人格崩壊の可能性あり。
「ここが紫乃学園……!!」
丘の上にそびえたつ、大きすぎる校舎。
さぞ警備は厳しいのだろうと感じられる外壁の造りに、ここは学校なのだろうかと疑ってしまう。
まるで城のような造りだ。
紫乃学園……恐るべし。
幼小中高一貫校で、5年前までは男子校だったらしい。
そのため中等部はほぼ男子生徒で、男女比は8:2とか。
事前に先生からは正門前まで待っていればいいって言われたけど……。
「ねぇ」
背後から声を投げかけられた気がして振り返る。
ふわり、と、風が舞った気がした。
俺の視界に映ったのは、物腰柔らかそうな、ずいぶんとキレイな顔をした男の人。
身長は俺よりも少し高いくらいか?
タダモノではないと、俺の本能が感じた。
彼の全身から漂うオーラは、知性、品性、そしてうっすらと滲み出る脅威。
こいつ、きっと強い。
一瞬にしてわかった。
それほどに、目の前の彼からは常人ではない匂いが漂っていた。
それにしても……雑誌に出てくるモデルみたいに整った容姿をしている……。
美しく、どこか柔らかい雰囲気をした彼に、一瞬魅入ってしまう。
「君が、こんな時期に編入してくる男子生徒ですか?」
彼が薄い唇を開けて発した。
「は、はい……!」
編入生というのは間違いなく、俺のことだと思う。
でも、『こんな時期に』という言葉が引っかかった。ちょうど後期の始まるキリのいい時期だと思うけど……。
不思議に思いじっと彼を見つめていると。目の前の人は口角を上げ、うっすらと笑みを浮かべた。
「どんな人が来るかなって思ってましたけど、それなら納得です……。」
……否定できない……。
今の自分の姿はもう嫌というほど見てきたから、
ボサボサ頭にビン底メガネ……仕方ないか……。
「裏口編入かと思ったんですけど、その見た目なら納得です!」
……え?裏口……?
「ついてきてください。理事長室まで案内します」
そう言い捨てると、俺に背を向けて歩き始める彼。
「あ、あの……さっきの、どういう意味ですか……?」
「ん、何がですか?」
「裏口編入、とか……」
彼の言い方は、俺の容姿を見るまでは裏口編入を使ったと思っていた、とでもいうかのような言い方だった。
まるで編入は不可能という言い方が、引っかかる。
「……知らないんですか?」
少し驚いたかのように振り返り、俺の顔を見た彼。
知らないのって……何が?
表情で知らないと伝えると、再び前を向き、歩みを止めずに話し初めた彼。
「紫乃学園が、幼稚舎から一貫校なのは知ってますよね?」
「は、はい……」
「初等部への編入は、それなりの学力があれば合格可能です」
それなりの学力……。たしかに、紫乃学園は暴走族学園と言われながらも、国内トップクラスの進学校だ。
当たり前に、高い学力が求められる。
それは知ってるけど……。
「……けど、中等部、高等部への編入はありえない」
そう言いきった目の前の彼に、ますます疑問が膨らむばかり。
「いや、ありえなかった。今までは」
「どうしてですか?」
「中等部への編入試験は、難関高校の入試レベル。しかも、その試験で満点を取らなければ合格にはならないんです」
……え?
そのセリフに、驚いて言葉を失い、思わずぽかんと口が開いた。
「つまり、そんな学力の者は存在しないに等しいから、学園創設以来不可能とされていたんです」
「そ、そうなんですか……」
そんなに難易度高かったんだ……、ここの編入試験。
すべての謎が解決し、納得したように首を二度縦に振る。
すると、彼が再び振り返って俺を見た。物珍しいものを見るような瞳で。
「どうしてそんなに驚いてんですか?君は合格したのに……」
「あ……そんなに難しい試験だったんだなって……」
……あ、あれ?
俺、今……失礼なこと言っちゃったかな……。
弁明しようと頭の中で言い訳を考えていると、彼が突然吹き出した。
「……あははっ、君面白いですね」
「へ?」
くすくすと楽しげに笑う彼に驚き、思わず変な声が出る。
お、怒って、ない……?
「あの試験、僕も試しに受けさせてもらったけど散々だったんですよ。あの難題に引っかからないなんて、すごいんですね。素直に尊敬します」
「あんな試験を通る人がいるなんて到底思えないけど、何よりもその見た目が証明ですよ。見るからに今まで勉強しかしてきませんでしたって容姿ですから、真っ当に試験を受けて通ったんでしょう。認めます」
……ん?
今さらっと貶されたような……。けど、今の見た目が真面目にしか見えないのは事実だから、気にせず流そう。
「僕はこの中等部の3年、黄瀬るぅとです。生徒会副会長もしてます。なにか困ったことがあったら、いつでも僕を頼って下さい」
どうやら気分を害すどころか、なぜか楽しげな彼の姿にほっと胸を撫で下ろす。
……って、副会長!?
このマンモス校の生徒会役員ってことは……やっぱり、すごい人物らしい。
「ありがとうございます!俺は紅瀬あっとです」
「僕のことはるぅとでいいですよ」
「さ、さすがに先輩を呼び捨ては……るぅと先輩って呼んでもいいですか……?」
「もちろんです!」
先程よりも警戒心が解け、さらに柔らかそうな態度で、優しい声色の副会長、もといるぅと先輩。
表情もこころなしか柔らかくなって、うっすら笑みすら見えた。
よかった……思ったよりも優しそうな人だ……。
昔から、父さんに初対面の人には疑心暗鬼なくらいで接するようにきつく言われていた。
そのせいか、人を疑う癖のようなものがついたんだ。
……というより、鼻がきくようになったのだ。それなりに力のある人物は、直感でわかる。
彼も俺の“それ”に反応があったから怖い人だったらどうしようと不安になったけど……どうやら、常識のあるいい人そう。
「俺のことはあっとって呼んでください。これからよろしくお願いします!」
安心からか、自然と笑みがこぼれる。
るぅと先輩はそんな俺を見て、一瞬目を見開いた。
次の瞬間、なぜか顔を赤らめるるぅと先輩。
……あれ?どうしたんだ?
不思議に思いそのままじーっと見つめると、そんな俺に気づいてか、急に顔を背けた。
「……っ、よろしくお願いします」
それだけ言って、歩く速度を上げるるぅと先輩。
どうしたんだろう……?
「……まさか、……。“あの子”に似てるわけないですよね」
ぼそりとひとり言のようになにか呟いたけど、聞き取れないほど小さな声だった。
チラッと覗き込むように顔を見れば、やっぱり赤く染まっていた頬。
……るぅと先輩、風邪気味なのか……?
心配になりながらも、るぅと先輩があまりに挙動不審だから何も聞かないことにした。
校舎の方に近づくにつれ、人影が増えてきた。
今日は休日のはずだけど、全寮制だから生徒がいてもおかしくないんだろう。
それにしても……。
「見て……!るぅと様がいる……!」
「きゃー!ほんとだっ……!」
女の子たちからの視線がすごい……。
視線を集めているのは、もちろん俺ではなく隣りにいるるぅと先輩。
みんな目をハートにして、先輩の方を見ていた。
「るぅと先輩もだけど、生徒会メンバーってほんと素敵だよね〜」
「ほんとほんと!あたしはななもり様がかっこいいと思う!」
「わかる〜!優しくて頼りになる兄貴分って感じだよね!でも、かっこよさじゃばぁうくんが一番じゃない?」
知らない名前がちらほらと聞こえるけど、どうやら女の子たちは生徒会の話をしているらしい。
生徒会って、人気なんだ……。
「みんな素敵だよね!でもやっぱり一番は……」
「「「まぜ太様でしょ〜!」」」
声を揃えてそう話す声が聞こえた。
よくわからないけど、まぜ太っていう名前の人がいちばん人気なのか……。
というか、るぅと先輩はこんなに視線を集めているのに気にならないんだろうか……堂々としている……。
すたすたと平然とした様子で歩いているるぅと先輩の姿に、感心する。
女の子たちは相変わらず、楽しそうに話していた。
「まぜ太様って首席で勉強も運動もできてそのうえ生徒会長なんて、ハイスペックすぎるよね……!」
「あー、人嫌いじゃなかったらお近づきになりたい人生だった……」
「一度でいいからまぜ太様と話してみたいなぁ……」
そんなに人気な人がいるのか……。
「……ていうか、るぅと先輩の隣りにいる地味な奴、誰?」
ぎくっと、体がこわばった。
これ……俺のことだよな……。
「さー、なんか案内してるみたいだし、生徒会の仕事中かなにかじゃない?」
「るぅと先輩が汚れるから近づかないでほしい〜」
くすくすと笑い声が聞こえて、恥ずかしさとるぅと先輩への申し訳なさで視線を下げる。
俺みたいなのが隣を歩いてすみません……!
そう心の中で謝罪した時、るぅと先輩が口を開いた。
「気にしなくていいですよ。品のない方もいるけど、なんとでも言わせておきましょう」
あれ……?聞こえてたんだ……。
るぅと先輩にとって、騒がれるのは日常茶飯事なんだろう。
こんなに顔が整ってるから当然か……。
「は、はい。ありがとうございます」
俺をお礼を口にして、視線を前に戻した。
校舎に入って廊下を進む。ある部屋の前で、るぅと先輩は足を止めた。
「つきましたよ、あっとくん。ここが理事長室です」
立派な造りの扉の前、表札にはるぅと先輩が言うように、理事長室の文字。
「ありがとうございました」
ここでるぅと先輩とは別れるかと思ったけど、どうやら先輩も理事長室に入るようで、俺の先を進んでくれる。
三度ドアをノックし、るぅと先輩はドアノブに手をかけた。
「失礼します。編入生を連れてきました」
中から、返答はない。
しかし、先輩は重たそうな扉をいとも簡単に開け、俺に先に入るように促した。
細身に見えるのに、意外と力持ちなのか……?って、意外は失礼か……。
「失礼します」と言って、足を踏み入れる。
扉の先はクラシック調の広い空間があり、奥の席にひとりの男性が座っていた。
「初めまして、紅瀬あっとさん。理事長の紫乃真人です」
「初めまして」
「よく来てくれたね。キミのような優秀な人材が我が校に来てくれてうれしいよ。教師一同皆、歓迎している」
物腰柔らかそうな、理事長にしては若いと思われる男性。
「そんなふうに言っていただけてうれしい限りです。ありがとうございます」
「どうぞ座ってくれ。キミには少しだけ、今日からの学園生活について離させてもらおうと思ってね」
「失礼します」と頭を下げて、ソファに座った。
俺の隣に、るぅと先輩も腰を下ろす。
「我が校については知っていると思うが、国内でもトップクラスの学力を誇っている。その他、部活動や野外活動にも力を入れているから、すべてにおいて、他の中学では経験できないようなレベルで勝負できるだろう」
活発な学校なのか……。
「……と、表の説明はこんな感じだ。裏のことは……そこにいる副会長にでも聞いてくれたまえ」
……裏?
聞き返そうとした瞬間、理事長が話を続けた。
「なあに、少し乱暴な生徒もいるが、校内での暴行事件は即刻停学だ。ここで問題を起こすものはいないから安心してくれ」
意味深な言葉に引っかかったけど、理事長から詳細を告げる気はないらしいから、あとでるぅと先輩に聞くしかないか……。
「それと…ひとつ、キミに謝らないといけないことがある」
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