前回良いところで終わったけど、今回はどうなるのか…レッツゴー☆
〈❤️side〉
💚「……え?…空を、飛ぶ?」
言われた言葉の意味を理解できていないすち。まぁそうだろうな………急にこんなこと言われたら
💚「……それってどういうこと?」
❤️「そのまんまの意味、すちは空を飛びたいか…飛びたくないか…それを確認するだけ。」
❤️「もちろん、自力で」
💚「!?!?…自、力………それって……」
❤️「…すちの羽を使って空を飛ぶってこと。」
💚「…何言ってるの?俺の羽を使ってなんて、できるわけないじゃん」
❤️「今はお前にできるできないを聞いているわけじゃない……飛びたいか、飛びたくないか……それを確認しているんだ。」
💚「……その言い方だと本当に飛べるって、思っていいの?」
❤️「……100%とは言えない。やろうとしてることは初めてのことだから、何が起こるのかは分からない…成功か失敗、はたまた別ベクトルの事が起こるのかもしれない。」
💚「…………」
❤️「それでも…すちが“飛びたい”なら、俺は力を貸したい。」
前のすちなら、俺はこんな提案しなかった
“人間”を望んでいたすちなら、俺は羽を使えるかもしれないという可能性を…希望を与えない、絶対にそうするだろう。
でも、今のすちは過去のトラウマに勝ち、妖精であることを俺以外の奴に曝け出せるようになった。これは大きな成長であり、妖精の自分を受け入れた証拠。
“人間”ではなく“妖精”としてこれからを過ごすのなら、この提案を伝えるのに渋る理由はない。
まぁ伝えても…すちが嫌なら俺は身を引く。羽を使う使わないは完全な個人の自由であり、俺が関与して良いわけじゃないからな。
❤️「(そこら辺は…すち次第だな)」
💚「…………ひまちゃん」
❤️「どうした?」
💚「……空から見る景色って…綺麗?」
❤️「…あぁ、とてもな」
💚「そっか……」
💚「分かった、その提案乗るよ。」
❤️「…本当にいいのか?何が起きるのか分からないことをやろうとしてるんだぞ?」
💚「ひまちゃんがわざわざくれたチャンスを俺は逃すほど、俺は羽への興味関心は浅くない。それに……ずっと憧れてたから」
💚「飛んでいた妖精たちの姿と……チラッ」
❤️「?」
💚「友達と空を飛ぶというシチュエーションに!」
❤️「!…なら成功させねぇとな。」
💚「うんニコ」
笑っているすち……すげぇ綺麗だな、そのぐらい…楽しみなんだ……。
すちへ希望を、今俺が与えたんだ。なら失敗で終わらせてたまるかよ…。
そんな思いを心に秘め、すちの承諾を得たところで俺はすぐに説明をし始める。
❤️「それじゃあ今から何をするのか、伝えていくぞ」
💚「うん」
❤️「まず…すち、確認だ。羽をできる範囲でいいから動かしてみてくれ。」
💚「羽?……バサバサッ!!!(激しく動かす)」
❤️「……この感じ…やっぱり…」
💚「やっぱり?」
❤️「すちは羽が使えないわけではないな。」
💚「使えない…わけではない?」
❤️「今改めて確認したけど、羽の羽ばたき方はしっかりできている。むしろ上手い方だ。」
💚「なら…何で俺は飛べないの?」
❤️「消去法で、羽自体の“飛ぶ力が足りない”んじゃないかと思う。」
💚「………つまり飛ぶ力の欠如…それが俺の飛べない理由ってこと?」
❤️「そうだ。どれだけ身体が大きくても、筋肉がなければダンベルは持ち上げられない…それと同じ。どれだけ大きな羽でも、飛ぶ力がなければ飛ぶことはできないんだ。」
💚「…………でもそれが、羽を使えることと何の関係があるの?」
💚「俺が羽を扱えてるってことを理解したところで、結局飛ぶ力が足りないんじゃ何も変わらないよ。」
❤️「いや、それが分かるだけで…すちは進化できるんだ。」
💚「えっ?………」
すちが“羽自体が使えない妖精”だったら対応できなかっただろう。
でも、すちは“飛ぶ力が欠如している妖精”だから……変わる事ができる。
❤️「ここで、すちにはやってほしいことがある。」
💚「……やってほしいこと?」
❤️「その力を…上手く扱ってほしい。」
❤️「突然変異種で授かった「風」の力を。」
💚「!!……何をするの、この力で」
❤️「それは……」
すちの能力である「風」はとても強力な力だ。ただの妖精なら、この能力1つで大体は蹴散らせるほど圧倒的で最強、それに加えて特殊魔力という強化版……。
それだけの力があれば………羽の“飛ぶ力の欠如の補助”ができるんじゃないかと俺は考えた。
❤️「風の力を羽に流して、羽に風の恩恵を付けてほしい。」
💚「………風の、恩恵?」
❤️「要は羽に風の力を纏わせれば“羽の飛ぶ力”を“風の力”が補完し、完璧な羽になるんじゃないかってことだ。」
💚「……なるほど、風は力が強ければ強いほど物や生物を“飛ばす”ことができる。なら俺の風の力も“飛ばす力”を持っているってことか。」
❤️「そういうこと」
❤️「ただ……羽に能力を纏わせる前例なんて俺は知らないから…何が起こるのかは分からない。加えて突然変異種の特殊魔力持ちだ…もっと予想なんかできねぇよ。」
すちの風の力は竜巻や風の刃のような攻撃的なものばっか。俺たちが求めているそよ風のような靡かせる優しい風を、すちが生み出しているところはあまり見たことない。
そんな攻撃的な力を羽に集めたら……もしかしたら羽を中心に風の刃が散乱して、すちの羽…もしくは俺自身が切断されてしまうかもしれない。そんな可能性だってあるんだ、必ずしも俺が思っている通りになるとは限らない。
💚「なるほどね…」
❤️「俺の提案を聞いて……どう思った?聞いて嫌になったのなら正直に言っていい。」
💚「………何を言ってるの?」
💚「俺が了承したんだから、辞めるわけないでしょ?」
❤️「!…そんな余裕ぶってていいのか?」
💚「もちろん、誰に能力と魔力を教えてもらったと思ってんの」
💚「……安心して、必ず成功させるから。」
❤️「……信じてるぞ。」
💚「うん、心配はさせないって約束したんだから」
すちのその言葉を信じて俺は、すちから距離を置き見守る体制を作った。
〈💚side〉
ひまちゃんは俺から距離を置く。心配性な彼が託してくれたんだから、俺はその期待に応えないといけない。だから、失敗とかいうオチにさせてたまるか。
❤️「テクテク、ピタッ…この距離から見守ってる」
💚「分かった、ありがとう…それじゃあ始めるね。」
❤️「(さて、どうなるか)」
💚「やるか……スゥー…ふぅ(深呼吸)」
まずは集中。魔力を扱う際、乱れた意識じゃ使えるものも使えない…研ぎ澄まされた意識の中で魔力を扱うのは能力者の基本中の基本。そして身体に巡る、魔力の感覚を掴め。俺の身体に流れる魔力を、ゆっくりと羽に流し込むんだ。
❤️「(やっぱり、すちは魔力の扱い方が上手い…莫大な魔力を全て操れている。特殊魔力の妖精は、大体自身の魔力を完全に扱うには約2年…俺でも半年かかった。けど、すちはたったの数ヶ月で完全に扱った)」
❤️「(ここまでできているならきっと…)」
💚「…………スゥー…(深呼吸)」
感じる…感じている、身体中の魔力の存在。
ここまではっきり魔力を感じることができたのは初めてだ……これなら、問題ない。
💚「(……後は、羽に風の力を流し込むだけ)」
丁寧に羽に風の力を落とし込む。聞くだけなら簡単だけど、やることはとても難しい。注ぐ量が多すぎても、少なすぎても駄目…必要な量を、ずっと維持しながら注がないといけないのは、かなり繊細な作業だ。
だからこそ…大切なのは焦らないこと、ゆっくりでも確実に羽に魔力を落としていき、羽いっぱいに風の力を満たしていく。どんな時も冷静な人が1番結果を出すんだから。
💚「……さぁ、行け(魔力を羽に流し込む)」
❤️「!!!、すちの羽が………」
💚「(すごい不思議な感覚………)」
魔力で満たしているのに、満たせは満たすほど羽も身体もどんどん軽くなる。
本当に俺の身体なのか疑いたくなるぐらい、いつもの時とは違う。
羽が使えると……ここまで変わるんだ。
そりゃあ……誰も妖精を捨てようとしないわけだ。
💚「こんな素敵な羽があったらね…」
💚「今なら…飛べるかな?」
そう思い、まるで子供なような足取りで俺は、空へのジャンプした。
感じたのは心地良い風と確かな浮遊感、そして羽ばたく羽の感覚。
💚「あぁ、やっと……俺は飛べたんだねっ…。」
そう思い…視線を下にしてみる。
💚「……すっごい綺麗、空からの光景…」
映った光景は絶景で、全てが初めてで新鮮な経験、感動の対象だ。
💚「…っあ、やばッッ!?」
空にばっか意識を向けていたせいで、バランスを崩し落ちかける
❤️「ポスッ!!!!!……たく、浮かれ過ぎだっての」
💚「!!…ひまちゃん」
❤️「でも、本当によかった…俺の仮説は正しかったんだな」
嬉しそうな優しい眼差しを俺に向ける。そして、俺の羽を見て一言…
❤️「……すちの羽、完全に覚醒したな」
💚「覚醒?」
❤️「自分の羽、見てみろよ」
💚「……チラッ、!?」
ひまちゃんの言葉通りに、自分の羽を見てみると、俺の羽の色がいつもの白色ではなくて…緑色に変わっていた。
💚「羽が緑色に…」
❤️「それが本来のすちの羽、突然変異種のすちが持っている羽の完全系だ。きっと今まで羽の色が白色だったのは、羽を満たす力が何もなかったから、無の白色だったんだろうな。」
💚「……俺、白色じゃなくて緑色なんだ」
❤️「ええやん、すちに似合ってるよ」
💚「…これも、ひまちゃんにとっては…綺麗?」
❤️「その答えにNOと答えると思ってんのか?」
💚「!…ありがとう」
❤️「……さてと、すちの羽も完全に飛べることが分かったところで……、まだ飛び足りねぇだろ?」
💚「!」
❤️「今度は、俺がサポートしてやるから……全力で楽しめ!」
💚「…うん!!!」
そう言いひまちゃんは俺の手を握りながら、もう片方の俺の身体を抱えていた手を離した。
離された身体は羽により、落下することなくひまちゃんの横で飛ぶ。
❤️「何がしたい?」
💚「…ひまちゃんと…空を、駆け巡りたい!」
❤️「!…いいねぇ、王族の速さを見せてやるよ。手を離すなよ?」
💚「握りつぶすぐらい強く握るわ」
❤️「…やっぱ離そっかな?」
💚「えぇ!?w」
❤️「www」
俺にとって羽はコンプレックスだった。自分の弱さを映す汚物だった。でも、もうこの羽は…コンプレックスなんかじゃない!
この羽は……妖精の象徴だ!!
適正率ー100%、適合者の素質。
第12話「迫りくる魔の手」
コメント
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すちくん飛べてよかった😊 次の作品が楽しみ(^^)
続きが楽しみです✨️