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「援助交際でないなら、その男は誰だ?」 「余の側近のマコティーだ。男に見えるが女だ。おまえがセランティウスだったときに戦ったこともある。覚えてないか?」
マコティーの名を聞いて世羅がニヤリと笑った。
「マコティー? おれがネロンパトラを殺そうと向かっていったら、わたくしに任せてくださいと言いながら横から出てきて、おれに一方的に叩きのめされたあの恥ずかしいやつか? 最後は殺されそうになって、ネロンパトラに救われてたよな? まったく大笑いだ」
「おまえ、勇者のセランティウスか? わたくしを一方的に叩きのめした? 嘘を言うな! わたくしの方が優勢だったじゃないか。油断して剣を弾き飛ばされてしまったが、あんなのはマグレにすぎない。百回戦えばわたくしが百回勝つ。陛下の性奴隷だった分際で調子に乗るな」
「一番言われたくないことを……。おまえが女だとしても関係ない。今度こそぶっ殺す!」
「死ぬのはおまえだ。せっかく転生できたのに、すぐにまた死ぬなんて愚かな男だ。おのれの愚かさをせいぜい地獄で後悔するがいい」
マコティーは魔力で、世羅はスキルで、それぞれ派手で大きな剣をどこかから調達して、そしてかまえた。
「争いはよくない」
と余が言うと、
「おまえが言うな!」
と二人からなじられた。
もう知らぬ。相討ちになって二人とも死ねばいい。
キンキン、キキンキン――
死闘が始まった。戦いは今回も互角。勝負が決まるのは当分先だろう。
周囲から人が集まってきた。誰も本気の決闘だとは思っていない。ラブホテルが客集めで始めた余興だと思われているようだ。
これ以上つきあっていられぬ。夢中で戦う二人を残して、余は一人でさっさと帰宅したのだった。