帰宅して自分の部屋にいたら、空野真琴という男が余を訪ねてきたと母が教えてくれた。誰だろう? と玄関ドアを開けたらマコティーだった。転生後はその名前になったようだ。
「どうして余の住む家が分かった?」
「セランティウスに聞きました」
「警察の個人情報管理はどうなっているのだ? もしかして戦いに勝利したマコティーが脅して余の住所を聞き出したのか?」
マコティーが苦虫をかみつぶしたような表情になった。
「引き分けでした。一時間戦いましたが、野次馬が増えすぎてこれ以上の戦いの続行は危険だと判断しました。セランティウスとは後日別の場所で決着をつけることを約束しました。あと五分あればわたくしが勝利したはずなのに、やつを命拾いさせてしまいました」
きっとセランティウスも同じように悔しがっているはずだと思ったけれど黙っていた。
「それで余の家に来たのはなぜだ?」
約束を果たしてもらうためだと答えたらその瞬間に抹殺するつもりだったが違った。
「少しお金を貸していただけないかと思って……」
金なら今日猪狩徹也たちからもらった十万円がほとんど手つかずで残っている。女子たちのプリン代はそこから出したが、余が食べた十個のプリン代は結局当初の約束通り美紅がおごってくれた。
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