コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
🔴
ライブは、翌日となった
北斗の体調に特に変わりはなかったが、耳は徐々に限界を迎えてきていた
そのせいで北斗は眩暈に苦しんでおり、少し立っていただけでふらつく程だった
医者からは
「松村さんは今体調に波があって、耳の事も重なっている為…何があってもおかしくない状況です。ライブとかは…さすがにね。やめた方が良いかと 」
その通りなんだ、その通りなんだけど…
俺たちは医者の忠告を無視して、ライブを待ち望んだ
そして、ライブ当日
北斗は会場に着くと静かに涙を流した
北斗が病気を患う前ならば、俺たちは北斗をいじったはずだ
だけどこの北斗の涙には、誰も触れなかった
公演10分前、俺たちは円陣を組んだ
北斗は
「皆にはほんとに感謝してる。このライブで6人で活動するSixTONESは終わる。だけど、いつになっても俺はSixTONESにいさせて下さい。」
皆が大きく頷いた
“SixTONESは最強です”
北斗は胸を張って自信満々に言った
SixTONESに北斗がいてくれて、本当に良かった、そう思った
会場は、溢れんばかりの熱気とファンの子たちの歓声で満ちていた
俺たちは、6人での最後のライブをスタートさせた
1曲…2曲そうライブが進んでいくうちに、今までの思い出が頭にどんどん流れていった
色んな辛い過去を乗り越えて…葛藤と戦って、俺たちはここにいる
皆んなの横顔を見ると、皆んな、涙を堪えていた。そういう俺も堪えているんだけど
ライブが始まる前、北斗に「水とって」と言われて鞄を見ると、頓服薬やら何やらが山程入っていた
それに気づいた北斗は俺に気を遣い、笑って誤魔化したが、わかってる
北斗はとうに限界を迎えてるんだって
歌いながら、そう考えてしまった
涙のせいで、俺やSixTONES本来の歌唱力は発揮できなかった
でも…皆んな満足だった
15分の曲の時間は終わり、残り15分。
樹は震える手でマイクを口元に持っていき、自身の精一杯のMCをしていた
「6人でのSixTONESは、もう見られないかもしれません…北斗…今までありがとう」
ライブ会場は、静寂に包まれていた
「まだ俺死なねぇよ…今までありがとうは、死んだ時に言ってください…」
北斗以外の5人は、泣き過ぎて過呼吸の様になっていた
「大丈夫だよ!5人でもきっとどこまでも行けるんだよ!いつまでも見守ってるから!!」
北斗は1人1人の背中を勢いよく叩きながら言った
「はぁっ…なんで北斗がこんな目にあうんだよぉ…」
大我がふとそう口にした
普段あまり干渉していなかった2人も、心の中では思い合っていたのだ
ライブも終盤、全体がしんみりとした空気になっている中北斗は1人前にでて、皆に語りかけた
「俺はみんなの事が大好きです。
俺がこれからどうなっても、みんなも好きでいてください!
みんな!病気には気をつけてください。
俺みたいにはならないでね…
今まで、本当にありがとうございました」
ライブは無事、終了した