テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。もしかしたら皆様が思い描いていたエンドじゃなかったかもしれません。
今回は「美容師×図書館司書」という一見穏やかな肩書きのふたりが実はどちらも相手を深く、時に常軌を逸して求め続ける双方向ストーカーの物語でした。
大森は「柔らかくて優しい、けれど理性の仮面をかぶった捕食者」
藤澤は「おっとりしているようで“知りたい欲”を拗らせた偏愛者」
そんな静かに狂っている者同士の愛を描きたいと思いました。
大森の執着は計算と演出に満ちています。
それに対して藤澤の愛は天然で無垢。だけどその無垢さが時に一番恐ろしくなります。
「気づいていない」という言葉ひとつとっても、本当に気づいていないのか、気づかないふりをしているのか。
彼らの行動や言葉の裏にある「本音」は、きっと読者一人ひとりの中にあるものとリンクするかもしれません。
愛してる、だから壊す。
怖い、けどそばにいたい。
逃げたい、でも独りはもっと嫌だ。
――そんな矛盾だらけの「好き」が積み重なった結果ふたりだけの「答え」として共依存という形のエンドを選びました。
バッドエンドとハッピーエンドの境界線なんてきっと本人たちにしか引けないもの。
彼らにとっての「正解」がたとえ常識から外れていたとしても、その歪さごと愛してやってほしい――そんな気持ちです。
もしも藤澤が「大森しか知らない自分」に気づいたら?
もしも大森が「藤澤に依存されている現実」に怯えたら?
どんな結末も書ける余白を残しながら今は、ふたりがふたりで完結している静かな結末に幕を引きたいと思います。
それではまたどこかの物語で。
ありがとうございました。
2025.07.15 ゆずりは
コメント
2件
世界観がすごくて一気読みしてしまいました…あとがきでこんなに考えられていたとは…!!