テラーノベル
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枢空 乃希
『読んで、みる、?』
突拍子もなく、突然、君が言った。
棚に置かれたノートを、顎で示す。
心臓が、ドクンと鳴る。
読みたい。
でも、 読んでしまったら、 何かが変わる気がした。
『……いい』
そう答えた。
自分でも、少し驚くくらいあっさりと。
『…どうして?』
『今、聞けるやろ』
言葉にするのは、少し怖かったけど。
『直接、言え』
逃げるな、って意味じゃない。
今ここに居る君の言葉を、 ちゃんと聞きたいだけだ。
君は、少し黙ってから、 小さく息を吐いた。
『……ありがと』
その一言だけだった。
でも、それで十分だった。
それからの日々。
俺は、出来るだけ病院に通った。
学校終わり。 休みの日。 時間を見つけては、君のところに行った。
他愛もない話をして、 時々、勉強を教えてもらって、 くだらないことで笑って。
まるで、 昔に戻ったみたいだった。
違うのは、 点滴の音があることと、 時間に限りがあることくらい。
でも俺は、 それを“特別な時間”だとは思わないようにした。
思ってしまったら、 終わりを意識してしまうから。
冬の始まり。
君の体調は、 少しずつ、でも確実に悪くなっていった。
それでも君は、
『俺、医者なるし』
なんて、笑って言う。
絶対に、無理してる。抱え込んでる。
その言葉に、 何も返せなくなる自分が、 少しだけ嫌だった。
少しなんかじゃない。とてつもなく、だ。
コメント
4件
やだなぁ、この作品読むといつも泣きそうになる