せっかく帰るならキレイになったほうがよかろうと、水を怖がるショウタをなんとか風呂に入れて洗ってやり、俺もその後で風呂に入り、寝床に入ることにした。
明日は土曜日。
朝から飼い主を探して、ショウタを送り届ける大切なミッションがある。
ショウタに聞いてみて、家の場所はだいたいわかった。聞いた場所のあたりをショウタを連れて歩いて回れば、おそらくすぐに見つかるだろう。
飼い主の名前は、レン、というそうだ。
風呂上がり、ふわふわの髪をドライヤーで乾かしてやりながら、聞く。
💛「いつ、猫に戻ってるんだよ」
💙「明け方戻るみたい。俺にもよくわかんない。でも、人間になるようになったのはここ最近だ」
💛「そうなのか?」
💙「うん……」
少し気になるのは、飼い主のところへ帰すと言ってからショウタがなんとなく元気がないこと。もしかして、家に帰りたくないのかな。俺がいない間、窓を開けておいたのに帰らなかったし…。
💛「よし、終わり。寝るか」
💙「………」
ショウタは、俺のパジャマの裾を掴むと、上目遣いに俺を見た。
💛「どうした?」
💙「ひかる。頼みがある」
ショウタの飼い主のレン、はショウタが人間になった初めての夜に、ショウタを無理やりに犯したらしい。説明がたどたどしかったので、細かいことはよくわからなかったが、ショウタはあんなレンは見たことないから怖かったと話してくれた。
あまりに衝撃的な内容に、俺は言葉を失ったが、ショウタはだからと言って、レンを嫌いになったわけではないようだ。
💙「レンのことが大好きなんだ。子供の頃から一緒だし。猫の俺のこといつも可愛がってくれた」
💛「そうか」
💙「人間になった時、初めてレンと話せて嬉しかったよ…でも」
ショウタの頭を撫でてやる。目にはうっすら涙が浮かんでいた。
💙「帰るの、ちょっと怖いんだ。きっと怒ってるから…。俺と一緒に謝ってくれる?」
💛「それは構わないけど…」
いいのか?
そんなところに帰して。
新たに湧いた悩みに、俺の胸にはもやもやが浮かんだ。
その飼い主ときちんと話をしなければならないだろう。でも、人間になった飼い猫に乱暴するなんて、一体どんなやつなんだろうか。
コメント
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主のことになると色々わかってて、ほんとに一緒にいて好きなんだなぁって思う。自分も怖かったのに、怒ってるから一緒に謝ってなんて健気だぜ🥺