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※かっこいい冴はいません。
キャラ崩壊注意。凛凪友情出演。
あぁ、なんでこんな目にあってるんだろか。それは数分前に突然起こった出来事だ。 珍しく凪が家に来たいと言い、折角のお家デートの最中だった。凪を後ろから抱え込みながら、最新のホラー映画を見ていた。そろそろクライマックスという所で俺の兄貴、糸師冴が来た。
「…で、申し訳ないって思わねぇのかよ」
「……いや、昔からの馴染みだし大丈夫だと思ってな。」
「良くないんだが?」
俺ら兄弟と凪は所謂お隣さん、幼馴染だ。俺と凪は正式に付き合い始めたのは中学。確かに兄もそれは知っている。うん、知っているんだけど。弟のデート邪魔するのは違うと俺は思ってる。凪も今から始まった事では無いから慣れている。
「まぁいいんじゃない?今更だし…それで相談って何?」
今回はどうやら相談しに来たという。何か嫌な予感しつつも聞くことにした。
「……実は閃堂から避けられてる気がしてな。挨拶さえも目を逸らされて逃げられるんだが」
「だとしたらクソ兄貴が何かしたって事だろ」
「あの人誰にでも明るく接する人だしね〜。絶対何かしたでしょ」
暫く考えていたが原因が分からないという顔をする兄貴。何したんだよ、兄貴。
「いつから避けられてるの?」
「……今週から」
今週からって……。絶対直近に何かやらかしてるなこの人。多分無意識に何かやったんじゃないか?話聞かないと全然分かんねぇ。
「…先週何かやった覚えは?」
「ない」
いや即答するなし。すると丁度よく凪のスマホに通知が入った。今日は夕方から潔達とご飯の予定があったのだ。通知を見るからに玲王からで中身は『さっき偶然にも閃堂と愛空に会ったから今日のご飯は2人も参加する事になった』との事。
凪は何か閃いたのか爆速で返事をしていた。他の人と話すのは気に食わないが言いすぎると拗ねるので辞めておく。
「……ねぇ、ほんとに身に覚えがないの?」
「これと言って何かした覚えはない」
「普段何してんだよ」
そうだ、絶対普段から何かしてることでやらかしてるはずだ。兄貴は所謂好きな子程虐めたがる人だ。何かやって傷つけたに違いない。俺も被害者だったから言える事。
「……そういや先週したと言ったらあるな」
「あるんかい」
隣から凪に肩を叩かれてスマホの中身を見せられた。玲王がどうやら理由を聞いてくれたのだが中身がなんとも言えないというか、弟として申し訳なく感じた。
『冴に尻を触られたから怖くなったんだってよ』
何やってんだこの人。え、付き合って無いよな?付き合ってなくてこれ?凪も同じ事思ったらしくまた爆速で返事を打った。
『冴と閃堂さんって付き合ってるの?』
『付き合ってもなければ告白さえもされてない。嫌いだからあんな事したのかなって思ってるってさ』
2人してうわぁ〜という顔をした。そりゃあ避けられるわ。まずその自覚あるかの確認するか。
「なぁ、何したんだよ兄貴」
「……彼奴の尻触った」
わかってんじゃねぇかよ。というよりも付き合ってなくてそれやるは流石に引くというか、弟としてほんとに閃堂に申し訳無く感じる。うちの兄貴がすみません。
実は兄貴が閃堂の事を好きなのは俺と凪しか知らない。他の人には言ってないらしい。というより話す人がいない。
「…付き合ってないのにやったの?」
「……ストライカーとして良い尻してるなと思って。」
その言葉に身の危険を感じた俺と凪はその場で抱き合ってしまった。
「まさか俺らにも同じような事する気とかじゃないよな」
「いや、お前達のは見るだけでいい」
「いやそもそもまじまじと見ないでよ」
ほんとにその通りだ。なんなんだこの人。流石に怒りたいというか、この人怒っても響くかさえ分からん。
「……いや、とりあえず謝りなよ。普通は怖いよ?」
「謝る所か避けられてる」
「あ〜……どうしようか」
謝りたくても避けられてるなら仕方がないんだけど何で今になって思い出してるんだこの人。早く気づけよ。
「ちょっと玲王に聞いてみるわ」
「…頼む」
頭が痛い。ほんとに。デートは邪魔されるやらとんでもない爆弾持って来られるやら……。詫びろよほんとに。玲王に言ったら一応OKは出たけど本人には言わないでおいてくれるらしい。潔達も了承との事。冴にもそれを伝えたら何か渡した方がいいのかと悩んでいた。
「いやまず謝るの優先。許してもらいなよ」
「だが…」
「恐怖心抱いてる人から渡された物程怖いものないから。落ち着いたら渡しな」
こういう時の凪は俺より早く言うのが謎。というより言ってくれた方が良いんだよな。俺より容赦なくぶった斬るからなんだけど。
「……色々落ち着いて心開いてきたらちゃんと告白しろよ兄貴。また同じことになるぞ」
「……わかった」
ほんとに分かってるのだろうかこの人。
その後どうなったかって?一応許してくれたけど1発殴らせろでもろビンタ食らってた。ビンタ1発だけで許すなんて優しいなと思ったけどあれでも加減していたらしい閃堂に少し怖いと感じた。
そういえばこの人、めっちゃ馬鹿力持ってるのすっかり忘れてたな。いつだったかの腕相撲大会でそれが判明したんだよな。たしか蜂楽が初戦で閃堂とやった時
「ねぇ、閃ちゃん。全然力入ってないじゃん……!力抜いてるなら全力でやってよね!」
「え、あぁ。じゃあ遠慮なく」
そこから一瞬で蜂楽が敗北した。誰が挑戦しても瞬殺レベルで勝ち進んであっという間に優勝していたのだ。
「……これが所謂優しい人ほど怒らせるなって奴か」
「絶対冴って尻に敷かれるタイプじゃない?」
数週間後、色々誤解も解いて告白して付き合えたのはいいんだが、別件でまた相談されるなんてあの時は思いもしなかったのは別の話。
少しは反省しろ兄貴。