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#めめだて
雪月❄️
398
クリオネ?
100
学園祭、2日目。
昨日までの賑わいをそのまま引き継ぐように、朝から校内は活気に満ちていた。
けれど宮舘にとって、この日は少しだけ特別な1日だった。
――今日は、演劇の本番の日。
❤️『ごめんね。明日は準備で朝からずっと忙しいから、会えないんだ』
前日のうちに、宮舘は目黒へそう伝えていた。
❤️『俺は裏方だから、演劇には出ないよ』
改めて、そう念を押した。
前日だけでなく、念には念を入れた。
――理由は、たった1つ。
❤️「目黒に見られるの、恥ずかしいんだよな……」
誰にも聞こえないように、宮舘は小さく呟く。
楽屋の鏡の前に映っているのは、いつもの制服姿の自分ではなかった。
鮮やかなドレス。
整えられた髪。
いつもより丁寧な化粧。
鏡の中には、誰が見ても立派な【白雪姫】がいた。
❤️「……やっぱり、恥ずかしい」
自分で見ても落ち着かない。
制服で慣れたはずなのに、どうして乙女な思考をしてしまったのだろう。
🩷「涼太ー!そろそろ最終確認するぞ!」
❤️「うん、今行く!」
佐久間の声を聞き、宮舘は気持ちを切り替えるように息を吐いて舞台袖へ向かった。
王子様役の佐久間と最後の確認を交わす。
台詞。
立ち位置。
場面転換。
何度も練習してきたことだから、大丈夫だと自分に言い聞かせる。
🩷「涼太、緊張してる?」
❤️「……少しだけ」
🩷「大丈夫だって!俺がちゃんと涼太を守ってやるぜぃ!」
❤️「ふふっ、頼りにしてるよ」
二人で笑い合う。
そして、いよいよ幕が上がった。
***
照明が、舞台を明るく照らす。
宮舘は白雪姫として、ステージの中央に立った。
❤️『小鳥さん、おはよう。今日も朝から素敵なお歌ね♪』
最初は緊張していたのに、いざ演技が始まれば、不思議なくらい自然に身体が動いた。
『さぁ、森の奥へお逃げ』
❤️『狩人さん、ありがとう』
狩人に連れられて逃げ込んだ森。
『あんたは誰だい?』
❤️『私は、白雪姫よ』
そこで出会った7人の小人達。
『白雪姫、帰ったぞー!』
❤️『小人さん、今日もお疲れ様!』
彼らと過ごす穏やかな日々。
❤️『ふふっ!皆で歌いましょう♪』
笑い合い、踊り、物語の世界へと入り込んでいった。
――そして、物語は終わりへ近付いていく。
『お嬢さん、リンゴはいかが?』
❤️『まぁ、美味しそうなリンゴ!』
『一際、真っ赤なリンゴをあげよう』
女王が変装した老婆から差し出された、真っ赤なリンゴ。
❤️『いただきます』
宮舘は、それをゆっくりと口元へ運んだ。
齧る直前、何気なく客席へ視線を向けた。
薄暗い客席に遮光された窓の隙間から、一筋の光が差し込んでいる。
その向こうに見覚えのある姿があった。
❤️「(…………え?)」
その人物と、目が合った。
❤️「(目黒……っ!?)」
そこにいたのは、来るはずのない目黒だった。
❤️「(なんで……?)」
頭の中が真っ白になった。
昨日、あれだけ『裏方だ』と言って、来ないように何度も伝えたはず。
それなのに、目黒は客席からじっとこちらを見つめていた。
宮舘の胸がざわつく。
しかし、今は舞台の上だ。
ここで演技を止めるわけにはいかない。
宮舘は必死に気持ちを切り替え、予定通りリンゴを齧るふりをする。
❤️『うっ……』
そのまま静かに倒れ込んだ。
こうして、白雪姫は眠りについた。
.
.
.
『白雪姫〜!』
小人達は白雪姫を見て泣き崩れていた。
すると、眠り続ける白雪姫のもとへ王子様が現れる。
🩷『あぁ!なんて綺麗な人だ!』
佐久間がゆっくりと宮舘へ近付いた。
呪いを解くための、物語の中の大切な場面であるーー
――キスシーン。
佐久間は演出通りに宮舘の顔へ自分の顔を近付け、距離を縮める。
舞台の上は、もちろん演技だ。
しかし客席から見れば、本当に王子様と白雪姫がキスをしているように見えるだろう。
❤️『……あら?私、どうして?』
王子様のキスで白雪姫は目を覚ます。
🩷『白雪姫!どうか私と結婚して下さい!』
❤️『はい、もちろんです!』
2人が抱擁を交わし、物語は終わりを迎えた。
盛大な拍手が体育館いっぱいに響き渡る。
「「「ありがとうございました!」」」
演者全員が舞台上に並び、手を繋いで深く頭を下げる。
体育館に盛大な拍手が鳴り響く中、幕はゆっくりと下りていく。
クラスメイト達の笑顔が溢れる。
まさに、大成功に相応しい舞台だった。
そして、完全に幕が下りると宮舘はホッと息を吐いた。
❤️「……終わった」
しかし、落ち着いている場合ではなかった。
目黒が来ていたのだ。
絶対に説明しなくてはいけない。
❤️「(早く行かなきゃ……)」
ドレスの裾を持ち上げ、控室へ急いで戻ろうとした時だった。
「舘さん……」
廊下の先から聞き慣れた声が耳に届き、宮舘の足が止まる。
❤️「目黒……!」
そこに立っていた目黒は、いつもの穏やかな表情をしていなかった。
❤️「……あの、これはーー」
🖤「来て」
宮舘が慌てて言葉を探すも、目黒は短い言葉でそれを阻むと彼の右手を取った。
❤️「え、目黒……?」
その手は強く握られていた。
そのまま連れて行かれた先は、誰もいない家庭科室だった。
扉が閉まると静かな室内に、2人分の呼吸だけが響いた。
❤️「目黒……」
宮舘が見つめるも、目黒は暫く何も言わなかった。
ただ、俯いたまま拳を握っている。
🖤「……俺さ。舘さんが、あんなに裏方だって言うから」
❤️「……うん」
🖤「逆に気になって、ちょっとだけ見に行ってみようって思った」
目黒は苦しそうに眉を寄せる。
🖤「そしたら、白雪姫だった」
❤️「……」
🖤「……キスシーンもあった」
❤️「……うん」
🖤「頭では演劇だって分かってる……」
目黒はゆっくりと顔を上げると、その瞳には怒りよりも強い感情が滲んでいた。
寂しさ、嫉妬。
そして、どうしようもない不安。
🖤「でも、……嫌だったんだ」
その一言が、宮舘の胸に落ちた。
🖤「……俺、舘さんのことになると、思ってたより余裕なくなるみたい」
❤️「目黒……」
🖤「ごめんね」
目黒は小さく息を吐いた。
🖤「勝手に怒って、勝手に連れてきて……。舘さんを困らせたかったわけじゃないんだ」
宮舘は暫く黙っていたが、そっと目黒の手を握り返した。
❤️「……俺こそ、ごめん」
🖤「え……」
❤️「嘘をついたから」
宮舘は困ったように笑った。
❤️「目黒に、ドレス姿を見られるのが恥ずかしかったんだ」
🖤「……舘さん」
❤️「白雪姫なんて、俺には似合わないと思ってたし……。目黒に見られたら、絶対に恥ずかしくなるから」
🖤「……似合ってたよ」
ぽつりと呟いたその言葉に、宮舘の頬が赤くなる。
❤️「……ありがとう」
2人の間に、静かな沈黙が続いた。
やがて目黒が恐る恐る尋ねた。
🖤「……俺のこと、嫌になった?」
❤️「ならないよ」
🖤「どうして?」
❤️「だって……」
宮舘は目黒の手を両手で包み込む。
❤️「それだけ俺のことを大切に思ってくれてるって、分かったから」
目黒の目が僅かに見開かれた。
🖤「……舘さん」
❤️「嫉妬してくれたのも嬉しいって思った」
🖤「……本当に?」
❤️「うん」
宮舘は優しく微笑んだ。
🖤「でも、次からはちゃんと話そうね」
❤️「うん」
宮舘の返事を聞いて、目黒も漸く笑った。
🖤「ごめんね、舘さん」
❤️「俺も、ごめん」
そして2人は、お互いを確かめるように静かに抱きしめ合う。
――仲直りの抱擁だった。
その瞬間、頭の中に聞き慣れた音が響く。
【学祭デート、及び目黒蓮の嫉妬、仲直りにより、好感度が20%上昇しました】
【現在の好感度は75%となりました】
❤️「……!」
ここにきて一気に、数字が跳ね上がった。
❤️「(……75%)」
宮舘は心の中で小さく呟いた。
その数字が、ただのゲームの数値には思えなかった。
目黒は宮舘を抱きしめたまま静かに笑っている。
最初はただの【恋人のフリ】だった。
でも今は、その言葉だけでは片付けられない程の確かな感情がそこにある。
宮舘は目黒の背中に添える手に、ほんの少し力を込めた。
❤️「……これからも、よろしく」
🖤「こちらこそよろしくね、舘さん」
家庭科室の窓から、午後の柔らかな光が差し込んでいた。
この静かな場所で交わした想いは、誰にも邪魔されることなく、2人の心の中へ残っていった。
コメント
13件

どうかこのまま2人の幸せが続きますように🖤♥️
幸せそうな🖤❤️最幸♡♡ 一気に75%!!いいぞぉ! 嫉妬しちゃう🖤可愛いなぁ!恥ずかしくて嘘ついちゃったのを素直に謝る❤️も可愛いなぁっ! こういうドキドキする🖤❤️書きたい…っ♡ でも私腐ってるからムリだ☆ だからzetsu.さんのストーリーで癒されよう♡ あ、でも何か試練があるんですよね…!く…っ!このままらぶらぶでいて欲しいのに…! 続きも楽しみにしています♡
わぁ〜最高ですね 嫉妬系大好きなので最高でした!行間の作り方とか上手ですよね〜(いいな〜) 次回も引き続き楽しみにさせてください!