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ゆ
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#specter
ゆ
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偉大なるFORSAKENの主、スペクター様へ。
あなたが統べる、混沌と血煙に満ちた世界より――
先日、ひとりの小さなお客様が、こちらの領域へ迷い込んでまいりました。
名は、ヴァニティ。
あなたのもとで育まれた、実に苛烈で……そして、なんとも愛らしい殺戮者でございます。
彼女がSWAPSAKENへ足を踏み入れた瞬間。
この白銀の世界に、今まで存在しなかった「赤」が生まれました。
彼女は何もかもを嫌っておりました。
白い床。
白い壁。
白い空気。
そして何より――
命の気配すら感じられない、この完璧すぎる静寂を。
あなたの庇護のもとで育った彼女にとって、血と恐怖と絶望こそが「美」なのでしょう。
その価値観は、とても純粋でした。
いえ。
純粋すぎる、と申し上げたほうが正しいかもしれません。
彼女の包丁捌きには、一切の迷いがございませんでした。
無駄を嫌い。
美しさを求め。
命の最後の瞬間さえも、ひとつの作品として完成させようとする。
まさに――
「愛の精密さ」
その言葉が、これほど似合う方も珍しいでしょう。
ところで。
私は少しだけ、彼女にこちらの文化を教えて差し上げようと思いました。
白銀の食卓。
美しい食器。
そして、優雅なテーブルマナー。
……結果は、皆様も容易に想像できるかと存じます。
彼女は見事なまでに拒絶いたしました。
フォークとナイフを持たされた時の、あの表情。
今でも忘れられません。
まるで世界の終わりを目の当たりにしたような顔をしておりました。
「こんなのボクの美学じゃない」
そう叫びながら必死に抵抗する姿は――
失礼。
少々、可愛らしすぎました。
そして。
私があなたについて尋ねた際、彼女は誇らしげに語ったのです。
あなたのことを。
あなたがいかに偉大であるか。
いかに圧倒的な存在であるか。
そして、あなたがどれほど「命」というものを理解しているのか。
彼女はあなたを、
「生命の神」
と呼びました。
その言葉を口にした彼女の瞳には、一片の迷いもありませんでした。
あれほど強い信仰を向けられるとは。
少々、羨ましくなってしまいましたわ。
もっとも――
その直後、私は彼女から、
「空っぽの女王」
などという、たいへん不名誉な称号を頂戴いたしましたけれど。
……ふふ。
実に素敵な方でしょう?
そして、別れ際。
彼女は私に、素晴らしい贈り物を残してくださいました。
白銀の世界には決して残らないはずだった――
赤い痕跡。
この領域の修復すら拒絶する、たった一本の傷跡です。
完璧だった白の中に、彼女だけが刻める赤。
それはまるで、
「私はここにいた」
と宣言する署名のようでした。
私は、あれほど美しい贈り物を受け取ったことがございません。
……ええ。
もちろん、彼女には大変嫌がられましたけれど。
最後には「二度と会うものか」とでも言いたげな顔で、私を蹴り飛ばして帰ってしまわれました。
少し残念です。
ですが――
あれほど素晴らしい作品を残していただいて、忘れろというほうが無理でしょう。
ですから、スペクター様。
もしあなたが、ほんの少しでも退屈なさっているのでしたら。
どうかまた、彼女をこちらへお送りくださいませ。
もちろん――
彼女でなくても構いません。
あなたの領域には、まだまだ彼女のような個性的で、魅力的で、そして少々壊れてしまった方々がいらっしゃるのでしょう?
ぜひ一度、私の箱庭へお招きください。
次はもっと素晴らしい食卓をご用意いたします。
もっと豪華な部屋を。
もっと美しい食器を。
そして――
もっと長く残る「お土産」を。
今度こそ、彼女にも気に入っていただけるよう、完璧に仕上げておきますわ。
……もっとも。
ヴァニティ本人は、二度と来たくないと仰るでしょうけれど。
その反応も含めて、とても楽しみでございます。
最後になりましたが。
偉大なるFORSAKENの主、スペクター様。
あなたの永遠なる繁栄と。
あなたが統べる、終わることのない宴に。
心より敬意を表します。
またいつの日か――
あなたの「素敵なお客様」を、この白銀の箱庭へ。
喜んでお迎えいたしましょう。
SWAPSAKENの女王
アクチュアリティより
コメント
3件
一気見させていただきました!VANITYが銀食器を嫌っているところ、傷跡が残らなくてイライラしているところなどもVANITYの虐殺が好きな性格をあらわしていて自分を傷つけてなんとしてでも赤を残そうと言うのがVANITYらしい美学を表現していると思います!最後の手紙でやはりアクチュアリティは格が違うという事がわかりましたね....