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学食で昼食を食べている時だった。

「なんだなんだ!?」

食堂の窓全てのカーテンが閉まったことに驚き、上鳴は声をあげる。

「戦闘訓練か!?」

隣席にいる切島は、背もたれに手をつき中腰状態で身構える。向かいの爆豪は座っているものの、個性を出せるようにして何が起こるか待ち構えている。

これって、もしかして…!

周囲がざわつくなか、音楽が流れ出す。照明が出入口を照らすと現れた4人組のバンド。そしてドローンがそれぞれの通路の上をホバリングし始めて、3Dホログラムでボーカルを写した。ベルベットのアイシャドウが特徴的な彼女に、上鳴の心は思わず高鳴る。彼女が歌い出すと、さらに食堂内のボルテージが上がる。

「すげー!!ゲリラライブじゃん!!」

「チッ。紛らわしいわ、クソが。」

テンションが上がってノリノリの切島と、不満を漏らし、黙々とご飯を食べる爆豪。

「す、すげー…!!超カッケー!!」

上鳴は感嘆のため息をしたと思えば、切島と肩を組んでノリノリで歓声をあげる。2曲めに入ると衣裳と曲調が変わる。辛辣な歌詞と悲鳴のような歌声に、思わず全員が聞き入る。

「ヤバい。歌に呑み込まれる…!!」

その曲が終わるとカーテンが開き、出入口にいたバンドは姿を消していた。

「…い。おーい!!」

「うぇ!?鋭ちゃんどした??」

「ライブ終わったぞ。残りのメシ食って戻ろうぜ。」

「そ、そだな!!」

「早よ食えや。」

とイライラしながらも待ってくれる爆豪。

久しぶりだねノマドのライブ!!

卒業までに聞けて良かった!!

2曲め、新曲だよね!?

食堂を出てから教室に戻るまで、周囲はバンドの話で持ちきりだった。

「あんなバンド、うちにあったんだ??」

「みたいだな??普通科にあるんじゃね??」

と切島と話しているところに、芦戸と耳郎がやってきてので、食堂での出来事を話すと。

「良いなぁ!!うちも聞きたかった!!」

「2人とも超ラッキーじゃん!!雄英の七不思議になるくらい有名なんだよ!?ノマドって!!」

「オレもいたわ!!」

興味がなかったと思っていたが、有名だと分かって、急に反応する爆豪。

「七不思議ってつまりは、どゆこと??」

「学校で活動してる形跡が全くないのに、突如として食堂に現れる幽霊バンド。」

「ライブ告知も一切なし。だからほんとに羨ましいよ。」

芦戸と耳郎の説明に納得の3人。そこで予鈴が鳴った。

「幽霊バンドか…」

上鳴は小さく呟く。そしてあのベルベットのアイシャドウを施した彼女の顔を思い出す。「(オレが卒業するまでに、またやってくんねーかな…)」

色々思いを巡らせていたので、午後の授業は全く身に付かなった。



歌でしか聞けない君の声

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