テラーノベル
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ORVAS本部――。
久しぶりに集まった唯我と一祟は、懐かしい司令室へ足を踏み入れた。
「お久しぶりです、ジュリーさん」
一祟が丁寧に頭を下げる。
「ここは相変わらずだな」
唯我は静かに辺りを見渡した。
「本当に久しぶりね、二人とも」
ジュリーは優しく微笑む。
その横で腕を組んでいた畑中が口を開いた。
「お前たち、修行は怠ってないだろうな?」
「当然だ」
唯我は即答する。
一祟も静かに頷いた。
「はい。お寺で組手を続けています。今では子どもたちの指導も任されています」
「それなら安心ね」
ジュリーは満足そうに笑った。
ふと辺りを見回す。
「……ところで、公太は?」
「まだ来ていませんね」
一祟が答える。
「まったく、あいつは変わらんな」
唯我は苦笑した。
その瞬間――
バタバタバタッ!!
勢いよく廊下を駆ける足音が響き、司令室の扉が大きく開いた。
「悪ぃ!! 遅れたッ!!」
息を切らせながら飛び込んできたのは、公太だった。
畑中が鋭い目を向ける。
「……何やってた」
公太は頭をかきながら笑う。
「久しぶりの任務って聞いたら楽しみで寝つけなくてさ!
気づいたら寝坊してた!
三十分前に起きて、飯かき込んで、そのまま全力で走ってきた!」
唯我は呆れながら笑う。
「……相変わらずだなお前は」
一祟も苦笑した。
「公太さんらしいですね」
唯我は思い出したように尋ねる。
「お前の家からここまで、一時間くらいあるだろ」
「ああ」
公太は平然と答える。
「だから走ってきた」
その場が静まり返る。
公太は汗こそ流していたが、呼吸は乱れていなかった。
畑中は鼻で笑う。
「……少なくとも、サボっていたわけじゃなさそうだな」
「当たり前だろ!」
公太は胸を張る。
その姿に、司令室の空気が少しだけ和らいだ。
しかし――
畑中の表情が真剣なものへと変わる。
「よし、全員揃ったな」
その一言で、空気が一変した。
「今回、お前たちを集めた理由を話す」
「久しぶりの任務だ」
三人の表情が引き締まる。
ジュリーは静かにリモコンを操作した。
大型モニターが起動し、一枚の新聞記事が映し出される。
『古の伝説――鬼をも断った名刀《鬼哭丸》発見か』
その見出しを見た瞬間――
唯我の瞳が鋭く細められた。
「……鬼哭丸」
低く呟く。
「まさか、本当に存在していたとは」
対照的に、公太は首を傾げた。
「鬼哭丸?
なんだそれ?」
「初めて聞いたぞ」
一祟は新聞を見つめたまま、小さく息を呑む。
「鬼すら斬ったと伝わる伝説の名刀……」
「文献では読んだことがあります」
「ですが、実在していたなんて……」
ジュリーは静かに頷いた。
「ええ。
もし悪人の手に渡れば、とても危険な存在になる」
「アビスとの戦いは終わった。
でも、世界から悪意が消えたわけじゃない」
画面には、古びた一本の刀の写真が映し出される。
鍔には見たこともない紋章。
黒く鈍い刀身。
画面越しでさえ異様な存在感を放っていた。
「鬼哭丸には持ち主を選ぶという伝承がある」
「そして選ばれた者には、人智を超えた力を与えるとも言われている」
ジュリーの声が静かに響く。
「使い方を誤れば……
国一つ滅ぼすことさえ可能だと言われているわ」
司令室が静まり返る。
畑中が一歩前へ出た。
「そこで、お前たちに任務を与える」
三人を見渡し、力強く告げる。
「鬼哭丸を探し出し、確保しろ」
公太と唯我が同時に答える。
「了解!」
一祟も背筋を伸ばした。
「了解しました」
畑中はさらに続ける。
「だが気を付けろ」
「鬼哭丸を狙っているのは、お前たちだけじゃない」
「裏社会の組織、武器商人、能力者……
すでに多くの連中が動き始めている」
「誰よりも先に鬼哭丸を見つけろ」
「それが今回の任務だ」
公太は拳を握る。
唯我は静かに龍焉刀の柄へ手を添える。
一祟はゆっくりと目を閉じ、呼吸を整えた。
伝説の名刀――鬼哭丸。
その一本の刀を巡り、新たな運命が動き始める。
コメント
1件
みぅです🥀 第95話、読ませてもらいました。 久しぶりに唯我、一祟、公太がそろった司令室の空気、すごく懐かしくて温かかったです。特に公太の「走ってきた」のくだり、相変わらずだなあって笑っちゃいました。でも本当に強くなってるんだなって感じられて。 そこから一気にシリアスになる温度差がたまらないですね。「鬼哭丸」の存在感、写真だけで異様な雰囲気が伝わってきて、これから始まる戦いの予感にドキドキしました。 たけっちさんの描く、世界の裏側の空気感、やっぱり好きです🌙
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