テラーノベル
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「お疲れ」
「おぅ」
翌日の夜、お互い別のサウナ帰りに翔太と落ち合った。
運転して俺の家に連れて行く。
「水しかないけど」
「飲みたい」
ミネラルウォーターを受け取り、一気に飲み干す。
「まだいる?」
「大丈夫」
ダイニングに向かい合わせで座る。翔太は指先を見たり、部屋をキョロキョロ眺め落ち着かない様子だ。
「外のほうが良かった?」
「いや、そんな事ない」
誰にも聞かれない所で話したかったから、と言いつつ全然切り出さない翔太を見て、俺が口火を切ることにした。
「この間、俺の誤解で嫌な気持ちにさせてごめん」
「……」
「言おうか迷ってたんだけど。俺、翔太が好きだよ」
俯いていた翔太が思わず顔を上げる。
「だから、阿部にくっついてる翔太見て嫉妬したんだと思う」
「照…」
所在なさげにテーブルに置かれた白い手に、自分の手を重ねた。
触られたら嫌かなと思ったけど、翔太は嫌がらなかった。
「何で迷うんだよ」
重なった手を見ながら翔太が言う。
「俺だって、照がす…好き、だ」
尻込みしたらしく変な語尾になった翔太に思わず笑ってしまって睨まれた。
「人の告白を笑うな」
「そんなつもりじゃないよ、ごめん」
「…照から結構連絡くれてた時嬉しかったけど、その嬉しい感じで顔見て接するの恥ずかしくて、なんかキョドった時期あって…阿部ちゃんはそういうの茶化したりして来ないから、一緒にいて楽だった」
「それで阿部にやたらくっついてたってこと?」
「うん」
俺の手の下で、翔太の手がもぞもぞ動いておずおず指を絡めてきた。
「めめも仲良いし…相談とかも、してたけど……好きなのは、お前だから」
白い肌がもう真っ赤になっている。可愛くて可愛くて、席を立って翔太の方へ行こうとしたら、翔太も思わず立ち上がったのでそのまま腕に収めた。
腰のあたりの服をきゅっと掴む翔太がまた更に可愛い。少し抱き合ってから、身体を離して見つめる。
「俺と、付き合ってくれますか?」
「…いいよ」
恥ずかしくて耐えきれなくなったのか、返事をすると翔太はまた顔を隠すように胸に頭を押しつけてきた。
ぎゅっと抱きしめて、今度はしばらくそのまま。外の喧騒も届かない無音の部屋、世界に二人だけなんてロマンチックな事は思わないけど。
「俺、めっちゃ嫉妬するよ?」
「知ってる」
「離さねぇよ?」
「離れるかよ、バカ」
しばらくくっついてたけど何となく目が合って、そっとキスをして、また抱き合う。
離れ難くて完全に帰り時を見失った翔太は、そのまま家に泊まる事になった。
コメント
18件
はふーん
💙の「離れるかよ、バカ」って キュンってきたわ~👏👏
あとタイトルの意味がいつ説明されるのか、、、