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颯ちゃんの言うとおり。自分が何年もかけてやってきたことが大ブーメランとなって戻ってきたんだよ!誰のせいでもない、自分のせい!やかましいわ! 大丈夫?はリョウちゃんの方だよ🥺冷静になるって言ってたけど…颯ちゃんがいるから大丈夫かな?だね! 颯ちゃん恵麻がリョウちゃんになにも手出しできないように仕留めてくれ〜!
「クソの言うことは気にするな。行くぞ」
颯ちゃんに指を絡めた手を引かれると
「どうして颯佑くんがヨシコと手を繋いでここにいるの?」
はじめに声を掛けた時より一段と大きい声を出す恵麻ちゃんに呆れたように向き合った颯ちゃんは、繋いだ手を自分のお尻の後ろに引き、私を一歩後ろに立たせた。
「クソこそ、ここにいるのはどうしてだ?」
「クソ、って失礼ね。まあ、綺麗な私の名前を呼ぶのが照れくさいかな?颯佑くん?今日はね、仕事で着るドレスを見に来てるの。やっぱり東京でしょ?ふふっ」
「ドレスって必要な仕事じゃないだろ?地元の古くさいスナックに勤めてると、向かいのじいさん経由でうちには聞こえてきてるが?キャバクラでもあるまいし、田舎のじじい相手にドレスって…ケッ…吐き気がする」
そうだったんだ……仕事見つけたのか、恵麻ちゃん。
ぼんやりそう思った時
「古くさいスナックとか…じじい相手ってっ……」
怒りに震えるような恵麻ちゃんの声に彼女を見ると、可愛い顔を鬼瓦のように豹変させ
「一番言われたくないっ!言うなっ!」
颯ちゃんに呪いをかけてしまいそうな声で叫ぶ。
自分に言われたわけではないけど、硬直した私をチラッと見た颯ちゃんは
「リョウ、ちょっとだけ待て。ここで仕留めるから…ムカつくクソをな」
これまた恐ろしいことを私にだけ聞こえるように言う。
思いもよらない展開に‘ヨシコ’と聞こえた嫌なドキドキとは違うドキドキに包まれ、颯ちゃんの手をぎゅっ……と握った。
「ねぇ、いま‘ムカつく’って言った?言ったわよね?」
聞こえてたの?地獄耳……?
「ああ、言った。ムカつくものにムカつくと言って何が悪い?」
「ムカつくのは私の方よっ!」
そう吐き捨てた恵麻ちゃんは
「ヨシコのせいで何もかも滅茶苦茶よっ!ムカつくのはヨシコよ!ヨシコのせいでうちは滅茶苦茶っ!」
髪を振り乱し叫ぶ様子は何だか変だ……酔ってる?
「全部、クソのお前が蒔いた種だ。うまく芽が出て実ったんだろ?」
颯ちゃんは何か知っているの?
ヨシコと呼ばれることよりも重大なことが含まれている気配に、頭はとても冷静になる。
「ヨシコがいなくなるから私が悪者にされたのよっ。近所の人たちが口々に、私がヨシコをいじめた、ずっといじめてただとか、私がヨシコを追い出したとか、揃いも揃って言うから、私の働く場所がないどころかお母さんもおかしくなっちゃったわよっ!恵麻ちゃん、ひどいねぇって皆に言われるって…会う人皆に言われるって言って、家でずっとお酒飲んでおかしくなっちゃったわよっ!」
「だから、それもお前が蒔いた種が実った結果だ。お前の責任。暗くなってからパジャマ姿でこっそり酒を買いに行ってたらしいな、お前の親。風呂にも入ったか入ってないかわからない様子だと近所の評判らしいぞ。お前が母親をそこまで追い込んだんだ。お前の母親はもう自分でそうとも言えない状態だろ?だから親切な俺が言ってやる、教えてやる……お前が何年もかけてコツコツと蒔いた種が、一気に花咲かせて自分に降ってきたんだ。責任持って受け止めろよ」
颯ちゃんを睨み付ける恵麻ちゃんは小刻みに体を震わせている。
大丈夫……?