フィン、ローザリンド、そしてドーベンは、王国の観光地を巡るために一日を決めた。しかし、その「観光」は彼らの思惑とは裏腹に、予想外の展開を迎えることになる。
フィンが元気に話し始める。
「さあ、今日は遊ぶぞ! みんなで観光だ! ずっと戦いばかりだったし、ちょっとくらいリラックスしないと!」
ローザリンドが少し不満そうに腕を組みながら言う。
「でも、こんなに忙しい時に観光なんて、どうしても気が抜けないわよ…。ヴァルドラのこともあるし…」
ドーベンが冷静に言う。
「戦いは後回しにすればいい。観光も戦いと同じくらい大切な時間だ。」
フィンがにっこりと笑って言う。
「その通り! 今日はみんなで楽しんで、リフレッシュしよう!」
三人は王国の入り口をくぐり、町の中心部へと向かう。
町の市場に足を踏み入れた三人。色とりどりの商品が並び、活気ある声が響き渡っている。フィンは目を輝かせながら、手に取ったフルーツをローザリンドに見せる。
「ローザリンド、これ美味しそうじゃないか? 試してみようよ!」
ローザリンドは無表情で、少しだけ苦笑いを浮かべながら答える。
「…フィン、ちょっと買いすぎじゃない? あんまり食べ過ぎると…」
「うーん、でも観光の醍醐味は食べ物だろ?」フィンはフルーツを一口かじりながら言う。
そのとき、ドーベンが目を細めて見つけたものに気づく。
「待て。あれは…」
ドーベンが指差す先に見えたのは、王国特産の名物「爆裂タコ焼き」だった。屋台の前で、タコ焼きを一気に食べるという試練に挑戦する熱血少年たちの姿が見える。
「これ、やってみようか?」フィンが一瞬で反応する。
「バカ! 試練じゃないの!?」ローザリンドが慌てて止めるも、すでにフィンは屋台の前に立っていた。
フィンは豪快にタコ焼きの大きな鉄板を見て、意気揚々と注文する。
「俺、このタコ焼きの勝者になるんだ!」
屋台の主人がニヤリと笑いながら言う。
「おう、いい度胸だ! だが、このタコ焼き、普通じゃないぞ。食べるのも一苦労だ。」
フィンは無駄に自信満々で言う。
「問題ない! 俺はどんな辛さでも耐えられる!」
ローザリンドは心配そうに見守る。
「そんなに簡単に思わないでよ、あれはただの辛さじゃなくて、爆発的なスパイスが効いてるんだから。」
ドーベンが冷静に語る。
「言う通りだ。タコ焼きには、体が一瞬で火を吹くようなスパイスが隠されている。食べる際には覚悟が必要だ。」
フィンは勢いよく一口食べ、顔を引きつらせる。
「うわぁぁぁ!! これは…!!」
瞬間、フィンの顔が真っ赤に染まり、目の前がぐるぐる回り始める。
「う、うっ…! す、すごい…辛い…!」
ローザリンドが心配して駆け寄る。
「ほら、言った通りでしょ? 無理しないで!」
ドーベンが冷静に指摘する。
「フィン、次は少し冷静に行こう。観光は食べ過ぎることではない。」
フィンが必死で冷水を飲みながら苦しむ。
「う、うるさいな! …でも、こ、これ…やっぱり面白いな!」
ローザリンドがため息をつきながら、でも微笑んで言う。
「もう、あなたってほんとに…。」
三人は市場を後にし、観光地の名所へと向かう。歩きながら、フィンがふと思い立って言う。
「次はお土産だ! ローザリンド、ドーベン、何か欲しい物ある?」
ローザリンドが少し考えた後、答える。
「別に…でも、王国の名産のアクセサリーを少し見てみたいかも。」
ドーベンはすぐに答える。
「私は特に必要ない。だが、見るだけはしてみるか。」
フィンが目を輝かせながら、名産品を手に取って見せる。
「これだ! これが王国一の特産品、エメラルドのペンダントだ!」
ローザリンドは感心して見る。
「うーん、さすがに美しいわ。でも、こんな高価なものをどうして買おうと思ったの?」
フィンはニヤリと笑う。
「だって、俺たち、いろんな冒険してきたんだろ? これくらいはお土産として買ってもいいだろ!」
ドーベンは無表情で言う。
「フィン、お前はいつもそんな感じだな。」
夕暮れ時、王国の広場で三人は肩を並べて座っていた。今日の観光は無事に終わり、つかの間の平穏が流れている。
「今日は楽しかったな。」フィンがしみじみと言う。
ローザリンドが微笑んで言う。
「まあ、確かにね。普段は戦いばかりだから、こういうのも大切よ。」
ドーベンも言葉少なく頷く。
「そうだな。今日の休息が、明日への力となる。」
フィンが晴れやかな顔で言う。
「その通りだ! 明日からまた冒険だな!」
その言葉を皮切りに、三人は少しだけ穏やかな時間を過ごし、再び動き出す準備を始めた。
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