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「人間、だんだんと褒められない人生になっていくからね。男も女も関係なく」
「そうですね。会社でも年々、出来て当たり前、やって当たり前という評価になるから」
俺もスギに賛同する。
俺が最近褒められたのって、いつだ?
ああ…既婚者合コンで知り合った女、佐野キミを抱いた時だな。
「努力とか、これは合わないな、という自分の思いと別に“当たり前”っていう目を向けられるとしんどい時がありますね」
「わかる気がします。ううん、すっごくわかる」
女性二人がそう言いながら、頷き合っている。
二人ともヘアメイクに気を遣っている感じの、綺麗な女性だ。
「僕は月一くらい、こうやって全く知らない人と話をして軽くリセットする感じ。別に仕事が嫌な訳でも、妻に不満がある訳でもないんだけど、期待に応えるのがしんどくなる前に、バーっと喋るんだよ。珈琲を語ったりしてね。家で珈琲を語ると“もうマシンはいらないよぉ”って言われてしまう」
「ふふっ…スギさん、サイフォンまでにいくつ使われたんですか?」
「8台かな…」
「結婚後ってこと?」
「そう」
「それは奥さんの“いらないよぉ”が正しい」
俺がそう言った時、隣の席の男女が立ち上がって店を出て行く。
テーブルの会話は一瞬止まり、4人はなんとなく男女を見送った。
「ここは時間制限があるから場所を移動したか、目的が一致したか…分からないけどね」
「……はい…」
「そうだよね…」
「もしかして…ココさんたち、このあとの目的あり?だったら他の人と話してみる?僕はソレなしなんで…」
「いえっ、いえいえ…このあとなんて…そんな…」
「私もなしです!」
「二人とも、綺麗だからいくらでも求められると思うよ?」
スギから同意を求める視線を向けられた俺は、コクコクと頷きながら、関係を持つ者の方が少数なのか……でも毎回いることはいるよな、と前回の自分の行動を肯定しようとした。
そこでは話をして終わったが、その翌日、一度抱いた女、佐野キミからの連絡があった。