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日常風景

4 - 話をしたい

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2025年07月10日

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 夕方、机の上に並べた教科書をぼんやりと眺めていた。明日提出のプリントがそのままになっていたけれど、なんとなく手をつける気になれなかった。時計の針の音だけが静かに響いていた。

外からは夕飯の匂いが漂ってくる。リビングでは誰かがテレビを見ている音がする。笑い声が遠くで聞こえるたび、どう反応すればいいのか分からなくなる。

昨日の夜、ふと聞こえた言葉が頭から離れなかった。悪気はなかったのかもしれない。そんなの分かってる。でも、どうしてか、胸がざわついて眠れなかった。

何かが喉にひっかかっているみたいに、言いたいことが言えなかった。

誰かが部屋のドアをノックする音を期待していた。話しかけてくれるだけで、きっと、今日の感じは変わったかもしれない。でも足音は通り過ぎていった。

そんな日が、何日続いただろう。

ふと、明日が来なかったらどうなるのかと考える。誰が気づくんだろう。誰が何か言ってくれるんだろう。誰か一人でも、本当に気にしてくれるのかな。

そうじゃなかったら、それはそれで仕方ないのかもしれない。

窓を開けた。風がカーテンを揺らしただけだった。

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