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星一つない夜空にミサイルが飛ぶ。
上空で何かが落ち、爆発音が聞こえる。
 2×××年、常に警報がなっている街に佇む少年は虚ろな目で空を見つめていた。
 戦争中のこの土地では毎日危険物が落ちてくる。
辺り一面を覆う土煙は目の前さえ見えないほどだ。
 飛び交う罵声、泣き声、聞こえる声はどれも汚い。
 
 ただ、そんな世界でただ1人、君だけは白い髪を汚しながらも
 「大丈夫よ」と笑いかけてくれた。
 だから、僕は君とずっといっしょにいたい。
 君だけは守る、そう決めたのに。
 
 
 「なんで、?」
 血を流して倒れる君を見て、時間が止まったように感じた。
 他の何も目に入らなくて、音も何も聞こえなくて、ただソレを見ているだけだった。
 なんでよ。君には、君だけには死んでほしくなかったのに。
 君がいない世界はもう灰色にしか見えない。、
 大人たちはこちらをチラッと哀れみの目で見るだけで、自分のことで必死で素通りしていくだけ。
 それが悔しくて、悲しくて、憎くてしょうがなかった。
 いつの間にか、周りには誰もいなくなっていた。
 でも、自分は、自分だけは君を1人にしたくなくて、横に腰を下ろした。
 
 「ねえ、おらふくん。おらふくんはこの世界のこと、好きだった? 僕は嫌い。君を見殺しにする世界なんて、大嫌い」
「だから、僕もそっちに行くよ。君がいないこの世界なんて、ただつまんないだけだから」
いいでしょう?
 
 もう何日も何も食べていない。目の前が霞んでいて、動く体力もあまりない。
…このまま寝てたら死ねるかな。
 寝っ転がって空を見る。
 青なんてまったく見えなくて、くすんだ煙の灰色しか見えない。
 最期の日には向かないなぁ。
 …まあいいか。
 
 
 
 「おやすみ」