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昨日出会った時には野生生物だと思った為、流暢に話し掛けられた時には面食らったレイブである。
話せる、つまり知性ある獣、魔獣である。
だが一般的に魔獣といえば巨大である事が普通である。
ペトラやキャス・パリーグは言うまでも無いし、シンディが助けて獣奴にしたクズリのグログロですら、ラマスの治療を受けた後、見る見る巨体化して今ではシンディを背に乗せて走り回る位にはなっているのだ。
それらと比べた時、このラタトスクの群れの面々は、元々のサイズが大差ないデスマンのカゲトやクロトに比べても異常に小さい、そう言わざるを得なかったからだ。
『まあそんな事も御座いましょう』
そんな言葉に何と無く流されていると群れのリーダー、パイロが突然提案してきたのである。
『お三方、これからどちらに向かわれるのです? もし宜しければ、安全で、近道で、快適な、地下の抜け道をお教えしましょうか?』
会ったばかりの魔獣、それも普通とは言い難いサイズ感の相手からの提案である、訝しく思っているスリーマンセルの、特にレイブの興味を引いたのはパイロが続けて発した言葉である。
『ご心配には及びませんよ、抜け道の名は『小人の隠し穴』、古い古ーい古代から残る便利な通路なのですから』
「っ!」
古代と聞いた瞬間にレイブは腰に巻いていたずだ袋を外してラタトスク達に見せながら聞いた。
この文字に見覚えが無いか、と。
アスタロトが書き示した数々のキーワードは紛れも無く古代の物である、そこに気が付いたのだろう。
残念ながら一匹として書かれた文字を読める者はいなかったが、続けてパイロが洩らした呟きはレイブに行き先を決めさせるのに充分な内容であった。
『最長老なら、若しかして……』
確約は出来ないと繰り返すパイロの口から、最長老と呼ばれるラタトスクが『小人の隠し穴』に住んでいる事を聞き出したレイブは、仲間達に有無を言わさない勢いでこの日の同道を決めてしまったのである。
ラタトスク達に囲まれて歩き続け太陽が真上に位置した頃、周囲の景色が一変した。
涸れた沢を上流に向かって進んでいた一行は、いつの間にか左右の岩肌が天を衝いて切り立った隘路の只中に居た。
前方にも険しい岩山が立ち塞がり、幾度も行き止まりかと思えたのだが、その度に先導のパイロが選んだ通りに付いて行く事で、新たに開けた涸れ沢を奥へと進み続ける事が出来ていたのである。
やがて、周囲の景色はいよいよ不自然極まりない様相を呈し始めた。
荒々しい岩石が転がっていた地面が忽然と姿を消し、代わりに板材を精緻に切り並べた様な平坦な通路が現れたのである。
同様に左右の岩肌も垂直な壁へと姿を変え、地面と同様に岩で出来ているように見えた。
#ダンジョン