テラーノベル
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自然の造形物とは思えない風景の中、前を歩くレイブにギレスラの声が届く。
『グログラアァ、グウゥララアァ』
「ああ、判ってるよ、ラアァ」
簡潔に答えたレイブの声に、先導していたラタトスクのリーダー、パイロが足を止め振り返って聞く。
『何です?』
「いいや何でもないさ、それよりここの景色は凄いな、『小人の隠し穴』だったか…… この道も小人が作った物なのかな? 素晴らしい技術だね」
笑顔で聞き返したレイブの後ろでは、いつに無い無表情で何かを値踏みするような視線を送るペトラが屹立している。
一見すれば圧迫されそうな姿にも、灰色リスは頓着なく前方に向き直って歩を進めながら言葉を返す。
『いいえ、『小人の隠し穴』もこの『岩の回廊』も別の方々が作られた物ですよ、小人は何もしやしませんのでね、只生きているだけ、それが小人です』
「生きているだけ? どう言う意味なんだい、何かの比喩、とか?」
首を傾げて聞いたレイブにパイロは澱みなく答える。
『いいえ、そのままの意味ですよ』
「そのまま?」
『はい、小人は何もしませんし何も考えちゃいませんのでね…… あれらは暗い穴ぐらの中で生まれ、只食べて、只眠り、只まぐわって、只死んでいく、それだけの存在なのですよ、ずっと昔からです』
「昔から、ね」
『ええ、ずっとずーっと昔からです』
訝しそうな表情を浮かべて黙り込んだレイブに代わって、後ろから質問を続けたのは巨大な黒猪ペトラである。
『それでこの回廊を作ったのは一体誰なのかしら? これもずっと昔からある物なの? パイロさん?』
『…………さて、到着しましたよ』
ペトラの言葉に対して、直ぐには答える事無く歩き続けたパイロは暫く行った先で立ち止まり再び振り返って笑顔を向けて来た。
その背には左右の岩山同様の、滑らかに磨き上げられた様に垂直な岩壁が直立して行く手を遮っていた。
どうやら今度こそ行き止まりの様に見える。
レイブは左右と前方、空まで続くかのように切り立った壁を見回してから、自分の前で微笑むパイロに視線を戻して言う、その表情から既に笑顔は消え失せている。
「ここが『小人の隠し穴』? 何も無い行き止まりにしか見えないけど…… 若しかして俺たちを騙したとか、かな? だとしたら一体何の為に? 説明して欲しいな」
普段通りの話し方とは裏腹に、少しだけ凄みを加えた表情を浮かべたレイブであったが、対するパイロは笑顔を崩さないままで答える。
『騙すだなんてとんでもない、こちらの壁の中に『小人の隠し穴』は確かにございますよ、お三方、いいえお友達のバッタも居られましたね、皆さん揃ってご案内させていただきますよ』
「そうか、それは良かったよ」
『ええ、当然ですとも…… レイブさんが魔物になっているようでしたら小人として、まだ正気を保っているのでしたら小人のお世話係りとして、隠し穴の中で一生過ごして頂きます、ああ、お友達は小人の餌として役立っていただきますのでご心配いりませんよ、あしからず♪』
『何っ!』
#ダンジョン
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