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──湖畔に建つ会員制ホテルに車が回され、部屋へ通されると、
「こちらへ」と、彼が座るベッドに呼ばれた。
少しだけ距離を空けて脇に座ると、片手で肩が抱かれ、
「なぜ、そんなに固くなっていて?」
と、顔を覗き込まれた。
「こういうところは、慣れないので……」
そう、うつむいて口にすると、
「今まで誰も、そんな反応をした女性はいなかったのに」
私の頬に、彼の手がスッと当てがわれた。
「誰もがみな当たり前のような顔をしていたのに、君は……」
言いながら彼は、するりと頬を撫でそのまま顎の下に手を添えると、私の顔をさらにじっと覗き込んだ。
「誰も……?」と、彼の顔を上目に見つめ返す。
「ああ…他の女性の話などをして、気を悪くされましたか?」
首を横に振って応え、
「そうではなくて、先生から私はどういう風に見られているんだろうって……。他の誰とも違うんだとしたら、どんな風にって……」
気にかかっていたことを話した。
「さっきの言葉の続きを、気にされていたんですか?」
見透かしたように尋ねられて、「いえ…」と否定の言葉を呟く。
「聞かせてあげましょうか? “君は……”の先の言葉を」
肩が引き寄せられ、距離がぐっと一気に詰められると、
「……かわいいですよ」
不意打ちで、耳元に低く囁きかけられた。
「君は、かわいくてと……、そう続けようとしたんです」
告げられた言葉に、「えっ……」と驚いて、思わず目を丸く見開いた。