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エレンス帝国の処刑所
殺せ、悪女を処刑しろなどの国民達の声が聞こえる。
今日アステル・フォン・エレンスはラファエルの愛人ロリエナを殺そうとした罪で処刑される。
「罪人アステル、最後に言い残す事はあるか?」
ラファエルの冷たい声がアステルを絶望させる。
「私は神に誓って誰かを殺そうと思った事はありません。」
アステルが涙を溢す。
ロリエナが勝ち誇った笑みをアステルに見せつけ、ラファエルの腕をくむ。
「もう決まった事だ。」
最後まで冷たかったラファエルの声はアステルのトラウマになりかねない。
ギロチンの刃が落ちる。
キリッ
次の瞬間
皇宮の皇后宮に悲鳴が響き渡る。
「いやー」
「皇后様、どうなされました。」
侍女長リコが慌ててアステルの寝室に入る。
「リコ、貴方も処刑されたの?」
リコが不思議そうに答える。
「何を言ってるのですか?処刑?」
「え、ここは死後の世界じゃないの?」
「何を言うのですか?ここはあの世じゃありませんよ。皇后様は生きていますよ。」
アステルが自分の首に触る。ギロチンで斬られた事を思い出すと青白くなった。
だが首に感覚はあった。脈も平然とありアステルは完全に生きている。
「夢?リコ今何月何日の何年?」
「え、今は1801年の6月30日ですよ。」
「ねえリコ、ロリエナって女性を知らない?」
「ロリエナってあのマリーシェ子爵家の?」
ロリエナ・フォン・マリーシェ
マリーシェ子爵家の娘
彼女はアステルの誕生日に現れて側室になったことをニコニコ平気で言う。
その後、彼女はアステルに濡れ衣を着せて処刑させた。
どうやら彼女は皇后の座とラファエルを狙っていたらしい。
アステルはこの事をタイムリープ前の時に処刑日の前日にロリエナがアステルの前で堂々と言ったからだ。
「リコ、私の誕生日は何月何日か覚えてる。」
リコが驚く、なぜならリコは幼い頃からアステルに使える侍女だから何でも知っている。
「9月30日ですよ。その日がどうかしました?」
「何でもないわ、早く着替えましょう。」
リコがドレスを持ち、アステルに着せる。
アステルの紺色の髪とルビーのように真っ赤な瞳がドレスを目立たせる。
「良いわね。」
「そういえば、アステル様。陛下へのご挨拶はどうなされますか?」
「リコ、陛下への挨拶は今日からやめるわ 」
リコが驚く。
「どうしてですか?今まで、日課のように行っていたではないですか 」
「もう、時間の無駄遣いをしたくないの分かった?」
リコが頭を下げる。
「かしこまりました。 」
皇帝の書斎
エレンス帝国皇帝ラファエル・フォン・エレンス
「おい、ハンス」
ハンスが返答する。
「今日はなぜアステルが私の朝の挨拶に来ない?」
「それはアステル様が今日限りで陛下への挨拶をやめるとの事です。」
ラファエルは動かしていた万年筆を止めた。
「どう言うことだ。」
「時間の無駄遣いをしたくないとの事でございます。」
その夜晩餐会
「アステル、今日限りで私への挨拶はやめるのは本当か?」
アステルは冷たく答える。
「はい、そうですが」
「今日はなんだか冷たいな」
「そうですか。」
ラファエルが困惑する。
「アステル、一体私が知らないうちに何があった。 」
「陛下に話すことはありません。」