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まきぴよ
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オンエア禁止の境界線
「はい、オッケーです! 5分休憩入りまーす!」
スタッフの威勢のいい声が響き、スタジオの照明が少しだけ落ちる。
『それスノ』の収録中、セットの転換。
メンバーは各自、水分を摂ったりメイク直しをしたりと動き出す。
目黒蓮は、セットの裏にある巨大な機材の影で、少しだけ荒くなった息を整えていた。
今日の収録はダンス企画。
全力で踊った後の体は熱を帯び、Tシャツが背中に張り付いている。
「……お疲れ、蓮」
背後から響いた、低くて落ち着いた声。
振り返る間もなく、大きな、節くれだった逞しい腕が目黒の腰を後ろから抱きすくめた。
「……っ、岩本くっ……っ! びっくりした……」
「はは、ごめん。でも、さっきからずっとここのライン、気になってたんだわ」
岩本の大きな手が、目黒の細い腰をなぞり、そのままTシャツの裾から熱い掌を滑り込ませる。
鍛え上げられた岩本の指先が、目黒の汗ばんだ腹筋をゆっくりと這い上がった。
「ちょっ……岩本くん、ここ、すぐそこにスタッフさんいるから……」
「大丈夫。この角度、カメラからも死角だし。……ねぇ、蓮。さっきのペアダンス、阿部と距離近くなかった?」
岩本の声が、耳元で低く囁かれる。
嫉妬を孕んだその響きに、目黒の背筋にゾクりと熱い震えが走った。
岩本は目黒の耳たぶを甘噛みし、そのまま首筋に深く鼻を押し当てる。
「……仕事だよ、あれは」
「わかってる。……でも、俺以外の男にそんな顔見せんなよ」
岩本の独占欲が、その力強い抱擁から伝わってくる。
目黒は抵抗するどころか、岩本の男らしい香りと体温に当てられ、知らず知らずのうちに自分から背中を預けていた。
「ん……ぅ、っ……あ、照兄……そこ……」
「ここ、弱いよね。……蓮、顔見せて」
強引に向き直らされ、機材の影に押し付けられる。岩本の鋭い、けれど愛おしげな瞳が至近距離で目黒を射抜く。
重なった唇は、驚くほど熱かった。スタッフの話し声や機材の動く音がすぐそばで聞こえるという、最悪で最高のシチュエーション。
「んむ……、ふぁ……っ、んんっ……!」
岩本の舌が、目黒の口内を支配するように蹂躙する。
逃げ場のない快楽に、目黒の膝がガクガクと震えた。
岩本は空いた方の手で目黒の片足を自分の腰に絡ませ、さらに密着を深める。
「……っ、岩本くん……もう、時間、だよ……」
「……あと1分。……蓮、もっと鳴いて。他の奴らに聞こえないくらいの声でさ」
岩本の指が、目黒のズボンの隙間からさらに奥へと侵入しようとしたその時。
「はーい、再開しまーす! メンバーの皆さん、位置についてくださーい!」
スタッフの大きな声が、二人の世界を強引に引き裂いた。岩本はちっと小さく舌打ちをすると、目黒の唇を最後にもう一度だけ強く吸い、パッと体を離した。
「……続きは、終わってから。覚悟しとけよ?」
何事もなかったかのように、完璧なリーダーの顔に戻ってセットへ戻っていく岩本。
目黒は、赤く腫れた唇を手の甲で隠しながら、崩れそうな足を必死に叱咤して彼の背中を追った。
その後の収録中、目黒の視線が自分にばかり向くのを、岩本は満足げな笑みを浮かべて見つめていた。