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#独占欲
郊外のゲストハウス。都会の喧騒から切り離されたその場所は澄んだ冬空に包まれ、まさに結婚式場ふさわしい静謐さを湛えていた。
「陽一さん。私はこれからヘアメイクに入りますね。一時間半、いえ、二時間はかかると思うので、ゆっくり休んでいてください」
「あ……ああ。了解……。体力の……回復に……努めるよ……」
着替えを終えた僕は、吸い込まれるようソファへ倒れ込んだ。
(……限界だ。視界がモノクロームに浸食されている)
僕は目を閉じ、意識を手放した。
【システム状況:クリティカル】
【外部電源接続:ソファ(急速充電非対応)】
【充電中…… 5%…… 15%…… 20%】
微睡の中、頭上の仮想インジケーターが、鈍い速度で回復を告げる。
「陽一さん、起きてください。準備、できましたよ♡」
その声に、僕の意識は強制再起動をかけられた。
ゆっくりとまぶたを押し上げると、そこには――この世のものとは思えない光景が広がっていた。
「……っ、……!!」
純白のウェディングドレスに身を包んだ白石さんは、まさに神々しいまでの光を纏っていた。
繊細なレースが施された肩から、V字に開いたデコルテを縁取るように、精緻な刺繍が胸元を包み込んでいる。
ウエストからふんわりと広がるAラインのスカートは、幾重にも重なったチュールが雲のように軽やかで、そこに散りばめられたビジューが、窓から差し込む光を受けて浮かび上がるように輝いていた。
あまりの美しさに、僕の脳内処理系がオーバーヒートを起こしそうになった、その時。
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