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#独占欲
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「ひよりぃぃぃぃぃん!!」
静寂をぶち壊す怒号とともに、一人の男が控室に乱入してきた。白石さんの父親――大五郎さんだ。
「パパ!? ちょっと勝手に入ってこないでよ!」
「こんな、こんな綺麗な子を嫁になんか出せるかぁ!!」
お義父さんは血走った目で僕を指差した。
「なんだその顔は! 目の下のクマはどうした! 膝のガクガクは何事だ! こんな、頼りない『ゴボウ』みたいな男に、うちの家宝はやれん!!」
「パパ失礼よ! 陽一さんはゴボウじゃないわ! 私が選んだ、最高に美味し……じゃなくて、素敵な旦那様なの!」
(今『美味しい』って言いかけなかったか……!?怖)
「このゴボウ野郎が嫌になったら、こいつを捨てていつでも実家に帰ってこい!パパはいつでもウェルカムだぞぉ!!」
お義父さんの叫びが、控室に響き渡った。
「……あなた。いい加減にしなさい」
背後から現れたお義母さんが、お義父さんの首根っこをガシッと掴んだ。
「私はこの方のこと気に入っているのよ。今日は『異夫婦』の日。草食動物は、肉食動物に永遠に捕食され続ける運命なのよ。ひより、あなた、本当にいい子を捕まえたわね♡ほら、行くわよ」
「離せ! まだ言いたいことが――!!」
ズルズルと引きずられていくお義父さん。
嵐が去った後の控室に、再び静寂が訪れる。
「……ごめんなさい、陽一さん。パパがちょっと興奮しちゃって」
「いや……いいんだ。……それより、本当に、綺麗だ」
「……ふふっ、ありがとうございます。でも……」
彼女は僕の耳元に顔を寄せ、昨夜の「肉食うさぎ」の瞳で妖しく微笑んだ。
「……パパにああ言われちゃうと、もっともっと陽一さんを愛してあげたくなっちゃいました♡」
(……バッテリー残量、再び5%に低下!!)
僕の絶滅へのカウントダウンを刻むように、挙式を告げる鐘の音が、高らかに鳴り響いた。