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——河口と内宇利の無事は、月原の「贖罪」を私怨から「絆」へと変えた。彼の心は、法では守れない無念を晴らすため、仲間たちの心の「迷宮」をも背負い、真の敵に立ち向かう。—— 公安部の秘密病院。月原は、河口と内宇利が眠る病室のガラス越しに、彼らの無事な姿を見つめていた。警視総監・桑野誠弥からの温かい言葉と、メンバーの必死の捜索によって彼らが助け出された事実は、月原の心を深く揺さぶった。彼は、これまで「両親の復讐」という孤独な私怨を「贖罪」という名で背負ってきたが、今、その重荷が仲間との**「絆」**という確かな力に変わるのを感じていた。
その時、病室のドアが開き、吾妻月遥が入ってきた。
「主任。河口さんの衣服から、解析に必要なものが見つかりました」
吾妻が差し出したのは、河口が身に着けていた防犯カメラから得られた、ノイズ混じりの映像データ。データには、河口と内宇利が連れ去られる直前の、闇の中での一瞬の出来事が記録されていた。
『吾妻、解析は』月原は冷静に問うた。
「あの『人間じゃねえ』という声の正体……その一端が判明しました。映像のノイズを補正したところ、彼らを連れ去った犯人の中に、性別不明のフードの人物がいたこと、そして、その人物の手に、**電子的な処理が施された「痣」があることが分かりました。そして……」吾妻は言葉を区切った。「このフードの人物の目元に、『ある種の恐怖心』**の痕跡を見つけました。彼らは、何らかの恐怖に駆られて、今回の犯行に及んでいます」
月原のプロファイリングの直感が警鐘を鳴らす。テロ組織が恐怖を抱いている?それは、彼らの背後に、さらに強大な、あるいは不可解な存在がいることを示唆していた。
「吾妻。お前は、この事件の全ての関係者、そして我々『ゼロの執行室』のメンバー全員の心理分析に集中しろ。彼らが抱える**『迷宮』の深さが、この事件の真実に繋がっている」月原は、吾妻の心に潜む、過去の事件で失ったものへの『悲嘆』**をも感じ取りながら指示を出した。
月原は、吾妻、そして全てのメンバーに語りかけた。「俺の**『贖罪』は、孤独な復讐じゃない。俺は、この『絆』を守るため、法で裁けない無念を晴らす。そして、お前たちの心に潜む『迷宮』**、過去の傷も、俺が必ず見つける。誰も一人にさせない」
その言葉は、メンバー全員の心に響いた。河口の命を救ったことで、月原の「私怨」は、彼らを強く結びつける「絆」へと昇華したのだ。