テラーノベル
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完全にフィクション
捏造の人物出てきます。
🍆の過去をのぞく話。
園田:ぼんじゅうるの昔の役者仲間(男)
神崎:ぼんじゅうるの昔の役者仲間でぼんじゅうるに対して強い嫉妬心と厭悪《けんお》を抱いている。(男)
ぼんじゅうる:役者時代に監督や仲間からその演技力や表現力を高く評価されていたが本人は神崎とのいざこざで疲れてしまい、また自信が無くなり役者業を引退した。
長いお話です、ゆったりとお楽しみください。
「っ…………」
ドズルは息を飲んだ。
目の前に現れた人間から目が離せなくなる。
紅を引き色白の肌は薄く色づいていた。
色気の暴力に息をするのも忘れて、瞬きをする事さえ許されないそんな空間に迷い込んだ。
本当にこの人間は俺と同じ男なのか?と思う程美しかった。
艶めかしく伏せた長い睫毛は頬に影を落としていた。
スラッと通る鼻筋とうっとりとする程の首筋。
リスナーからも絶賛された優婉な手。それらはとても40代後半の男の物ではなかった。
ドンっ!ドドドっ!
遠くで太鼓の音がする。
自身の心臓の音と重なり、どちらの音なのか分からなくなる。
「ぼ…さん」
ぽそりと口からこぼれ落ちた言葉は決してその男に届くはずもない、それなのに視線がバチりと合った気がした。
伏せられた瞳がゆっくりと開き、空を切る。
その瞳の中はまるで宇宙が広がっているようにキラキラと優美に輝いていた。
「ーーーーー。ーーーー。」
ドズル社にてメンバー全員とネコおじで次の企画会議が行われていた。
話し合いもひと段落ついたところで「ちょっと30分休憩しよか」とドズルの声と共にそれぞれが動き出した。
久しぶりに会うメンバーは休憩中もワイワイと会話を弾ませていた。
そんな中、「ちょっとごめん、電話来てたから折り返してくる。」とぼんじゅうるは、携帯とタバコ、財布を持って席を離れた。携帯の受信番号を見ながら、ぼんじゅうるは顔を顰めた。
「??」
ドズルはそれを見逃さなかった。
(なんだ?)
苦手な相手から電話でも入ってたのかな?とぼんじゅうるの背中を目線で追う。
パタンッとしまったドアにはっと意識をほかのメンバーへと戻した。
そこからは、残ったメンバーで次の配信の話やゲームの話など大いに盛り上がった。
「そろそろ、再開しようか」
とドズルは会議室に集まったメンバーを見て1人居ないことに気づく。
「あれ?ぼんさん戻ってないね」
「ほんとッスね」
ドズルの声にMENが反応する。
「電話で席を離れた後からまだ戻ってないですね」
「そうだね」
おらふくんとおんりーが首をかしげドアを見る。
「俺探してきましょうか?」
とネコおじが席を立とうとした時、ドズルが止めた。
「いや、俺が行くよ。みんなはゆっくりしてて後10分しても戻らなかったら先に企画案出しちゃってて」
「分かりました」
ネコおじの返事の後、メンバーはハーイと元気よく返事をした。
ドズルは携帯と財布を持ってぼんじゅうるが行きそうな所へ足を進めた。
「まずは、、」
陽の当たるお昼寝にもってこいの通路端のソファー
「いないか」
次はよくサボってテレビを見ている仮眠室
「ここもいない」
じゃあ、給湯室?
「んー?いない」
それなら1番遠くてぼんじゅうる以外が使わない喫煙所
「お、いたいた」
ドズルは「ぼんさーん」と近寄ろうとしたが、その声はぼんじゅうるの怒鳴り声でかき消された
「だから!やんねぇーよ!!!」
びっくりした、ぼんさんが怒ってる。
長い付き合いの中でぼんじゅうるという男が本気で怒っている所は見た事がないドズルは咄嗟に柱に体を隠してしまった。
「…や、わりぃ、園田に怒鳴ってもしょうがねーよな。うん、、、うん、でもさ、俺もうそっちからは手引いてるし、、、それに神崎は??……あー、うん、そーだよ。俺、めちゃくちゃされたじゃん?それなのに戻って来いって……都合よすぎだろ???」
なんか、やばい、盗み聞きするつもりはなかったが、やばい事を聞いてそうな気がした。ドズルはそんな気持ちとは裏腹に息を殺しジッと聞き耳を立てる。
(そのだ??かんざき??誰だ?ぼんさんの昔の友達かなんかか?)
「…………やー、うん、でも、こっちももう別のとこで働いててさ、もう役者業は…うーん、確かに……あの役は俺用で作られてたけどさ、それを神崎が、、、はぁー、またなんでそれするのさ、ほかの演目は?ダメなの?なんで?」
ぼんじゅうるはイライラと肩で携帯を支えタバコに火をつけた。
すぅーと煙を吸い込むと、長い指でタバコをつまみ唇から離す。
そして、ふぅーと吐き出した。
その横顔は何回見てもドキッとしてしまう程、色気に溢れていた。本人にも何度か色気爆弾やめてと言ったが「なにそれ」と爆笑され相手にされなかった。メンバーも「ぼんさんが黙ったりするとなんかドキドキするからやめて欲しい」とか「タバコ吸うなら見えないとこで吸ってほしい、心臓に悪い色んな意味で」と口を揃えて言う程だ。その為、ぼんじゅうるしか使わない離れた棟にある喫煙所が出来た。そこは黒革の3人がけソファーとこれまた黒いローテブルが置かれている。
ぼんじゅうるはソファーに座り長い足を組み天井を見上げながら園田と名乗る男と通話をしていた。
「そろそろ戻らないと…時間すぎてる。ごめん、力になれない。………………だから、はぁーー、」
ぼんじゅうるはそこまで言うと頭をガジガジ掻きながら声を荒らげた。
「俺はもう”女形”はしないのよ!!」
その言葉のあと、クソったれ!とこれまた初めて聞くぼんじゅうるからの悪態にドズルは何故かうるさい心臓を抑える。
(女形?ぼんさんが?)
「あのね……!もう…だからさー!神崎にさせれば!?…………………………はぁ!?!?な、なんでよ!なんでそんな話になってんの!?いやいやいや!俺、もう表に出れないよ?!今はゲーム配信者として楽しくやってんのよ!」
ぼんじゅうるは吸い終わったタバコをローテブルに置かれた灰皿に擦り付ける。
額に手を当てはぁーとため息を着く姿も様になっていた。
「……やー、うん、まぁ、もう10年?いや15年?前?セリフなんて……覚えてねぇーよ」
受話器越しに聞こえる男の声はケタケタと笑っているようで、ぼんじゅうるは「こいつ、本当に調子狂うわ」とふふっと怒ってる俺がアホらしいわと笑いだした。
こんなにゆったりと素を出す相手がぼんじゅうるにはいたのかと、ドズルはなぜがモヤモヤする。
「んーーー、?あー、はいはい。」
『お前の姿を1秒たりとも忘れたことは無い……』
「くはっ!!おまっ、よく覚えてるなー!そんなセリフあったね〜」
ぼんじゅうるはぶくくくっと笑いだした。
そして、参ったなこりゃ少し付き合わないと解放されないぞとそのあとのセリフをボソリと呟いた。
「「…………うそよ、私は知ってるの、好きだと言ったその口で、他の女にも愛を囁くのね?」」
そう言ったぼんじゅうるの顔は恋に焦がれ敗れ、今にも身を投げそうな女のそれであった。
声もいつもの低音ボイスとは、かけ離れていた。
ドズルは「うっわぁ」とつい声が漏れてしまった。顔を赤らめ口元に手を当てぼんじゅうるを見つめる。
「え?」
ぼんじゅうるは、ドズルの声に反応しバッと顔を上げた。
視線が会うと「な、なっ!?!?!ドズルさん!!!?いつからそこにいたの!?」と火を吹く程顔を赤く染め叫んだ。
受話器越しには園田が『おい?大丈夫か??また掛け直そーか?』と話していた。
「ぼんさん!!俺も聞きてぇーすわ!!」
「えーー!!ドズルさんだけずっっるぅー!!」
「意外な一面が見れて良かったですねドズルさん」
ぼんじゅうるは頭を抱えていた。
あの後すぐに切れた電話、数秒後ドズルが雪崩のようにぼんじゅうるに詰め寄り「ぼんさん!ぼんさん!なんすか今の!めちゃくちゃかっこよかったですよ!!それ、配信に繋げましょうよ!!」と捲し立てた。
こうなるのは何となくわかっていた、面白おかしく取り上げられネタにされると思っていた、だから言わなかったし見せたくなかった。役者業はそこそこ頑張っていたから、少しだけ自信もあったけどやっぱり身内に見せるのは恥ずかしいもので散々「下手!」「役者辞めろ!」とあいつに罵られ続けたこのメンタルはボロボロなわけで、、なので自分の俳優としての姿はいけない者だと思っているのだ。人様に見せるものではないと。
ドズルのそれは会議室に戻ったあとも続き、あろう事か他のメンバーにも話し出した。
「いやーーー!盗み聞きをしたのは本当に申し訳ないですけど、あれは聞いててよかったわー!!」
と興奮しながら話す。
MENもいつもに増してニヤニヤと「俺も聞きてぇー!」と叫ぶ。
(こいつ、面白がってんな〜?)
ぼんじゅうるは、はぁーとため息を着く。
おらふくんは本当に悔しがっているようでキィーキィーとドズルに詰め寄っている。
ネコおじが「良かったですね〜」とまるで「俺も聞きたいなー」と言わんばかりの含みを入れ俺を見てくる。
おんりーは何も言わずに俺を見つめている。こわい。なに、え?
(こうなったら長いぞ……ちくしょ)
ぼんじゅうるは、前髪をかき上げるとふぅーと息を吐いた。
その行動でピタリと周りが静かになる。
そして、目の前で見つめていたおんりーに向かってスッ…と目を細め、悲しく、優しく、愛おしそうに続けた。
「「愛しているの、誰よりも……その瞳には今、誰が写ってるの?私?それとも、他の……」」
“おんな?”と最後の台詞を声無き声で囁く。
ぼんじゅうるの目には今にも零れ落ちそうな涙が溜まっていた。
おんりーは目を見開き「あなただけですよ」とぼんじゅうるを抱きしめそうになった、手を伸ばしぼんじゅうるの瞳に触れそうになった瞬間。
パンパンッ!
「はい!おわり!満足したかい?!」
と恥ずかしそうに手を叩いたぼんじゅうる。
それに皆はハッと意識を戻す。
これはやばい、この人はやばい、魔性だ、人をどうにかする演技をする。この人は依存性高い毒薬だ。
とメンバーは顔を染め「ぎゃーーー!」と叫んだ。
「なっ!?人をバケモンみたいに!失礼な!」
鈍感なぼんじゅうるは叫ばれた理由がわからずそっぽを向いた。
頭から離れない、、
ネコおじとドズルは頭を抱えていた。
あの後の会議はそれはそれは心ここに在らず。
メンバー皆ボケェーと適当にはいはいと返事をしていた。
これじゃだめだと、最初に出ていた企画案を手繰り寄せドズルとネコおじで別日に個別会議をしていた。
しかし、それでもお互い少し上の空で沈黙が多くなっていた。
その空気を破ったのはドズルだった。
「ぼんさん、なんか友人に出演頼まれてたような気がするのよね〜」
「えっ」
ならまた、あれ見れるの?
とネコおじは少し嬉しそうに言ってしまった。
「なんか、その役は元々ぼんさんの為に準備されてたみたいな、事を言ってたような…でも、ぼんさんやらないって怒鳴ってました。」
「やらない……?」
あんなに人を惹きつける演技が出来るのに?
なぜ?
とネコおじとドズルは首を傾げる。
「女形を表立ってしたくないって言ってましたよ。電話先の人が何を言ってたかはよく分かりませんでしたけど…」
「……んー、でも、その役はぼんさんしか出来ない…?」
「みたいな?」
2人はぼんじゅうるは、過去で何かあったのかと頭を悩ませた。
あれを世の中に出さないのは本当に勿体ない、あのおんりーが数日ぼんじゅうるの顔を見る度、「自分が浮気をして泣かせてしまった女にどう謝ろうか」と、まるであの数言の台詞に呑まれたように申し訳ない表情をしていた。
ぼんじゅうるは、それに気づき「おんりーちゃんは入り込みやすいタイプなんだね」と微笑むと背中をパシパシと力強く叩いた。その反動でおんりーは「いだー!!何すんすか!」とぼんじゅうるを、睨みハッとした。自分は何を考えてぼんじゅうるを見ていたのか、と。
ぼんじゅうるは我に返ったおんりーを見て、「よし、戻ってこれたね」とまた色っぽく微笑んだ。
MENに至っては、「なんで役者ならなかったんですか?なれましたよあれなら」と素直な疑問をぶつけまくっていた。ぼんじゅうるは小っ恥ずかしくなったのか「いや、色々ね、色々あんのよ」と何とか誤魔化していた。
「あの人、本当に何も語らないからね〜」
ドズルは多く語らないぼんじゅうるを「つまんないね〜」と頬杖を付きながら言う。
あの人は昔から自身のことは決して深堀しない、様々な話のネタを振るが毎回違う話で上手い具合逃げられてきた。
過去の事は特に口が固くなりこちらも何度か意地になって聞き出そうとしていた時期があった。
『本当に、つまんない話だから、俺のはいいのよ。』
とヘラヘラと笑いながら言ったぼんじゅうるの横顔を思い出したドズルは、やっぱり何かあるんだよなーっと天井を見上げた。
「その、電話相手が分かればこちらからアポ取ってサプライズ再開とかできそうですね〜」
とネコおじが適当に言った一言にドズルはガバッと体を起こした。
「ネコおじ……ナイス!!!」
「え?」
「それ使えそうだよ!!」
「いやいやいやいや、絶対だめでしょ!ぼんさんが許すわけないじゃないですか!」
ドズルはぼんじゅうるの本名と俳優時の芸名も知っている、そこから園田と名乗る男を探し出すのは簡単だ。一気に目を輝かせたドズルは、PCの前に座りすごい勢いで調べだした。
ネコおじは一生懸命「冗談ですよ!やめましょう!」と止めるがドズルはこう言う時とても頑固なのである、涙目になりながら「ぼんさん本当にごめんなさい!」といない相手に謝るネコおじであった。
「…ドズルさんですか?」
「!」
東京のど真ん中、行き交う人混みの中、ドズルは背後から聞こえた声に振り返る。
「えーと、あなたが園田さんですか? 」
「はい、○○の元同期です。」
ドズルは初め反応に時間がかかった、ぼんじゅうるの本名をあまり聞き慣れていないからだ。
「えーと、今はぼんじゅうる?でしたっけ?」
「あ、はい、そうですそうです」
ドズルが「すみません」とヘラりと笑うと園田と名乗った小柄な男はお辞儀をした。
さすが役者だ、体のバランスが丁度よく顔立ちも整っている。ぼんじゅうる程ではないがイケメンと言われる分類だ。
ツイストパーマで茶髪、大きめな丸眼鏡、身長はおらふくんと同じくらい。アルトボイスで耳にスッと入ってくる声を聞きながら、ドズルは「よろしくお願いします、お店予約してるのでそこで話しませんか?」と足を動かした。
そう、ドズルは頑固なのだ、1度決めた事はやり遂げる性格。
ネコおじとのひと騒動後に割と早目に園田とコンタクトを取っていた。
和食が自慢の伝統あるお店に着くと個室に通される。
園田はドズルが社長である事を思い出し少し緊張してきた。
待ち合わせ場所から歩いて数分の距離、外観は歴史を感じる立派な門構え、石畳を、抜けた先に大きな観音開きの出入口、女将らしき人が「お待ちしておりました」と案内する。
園田はスーツで来れば良かったと後悔した。
ラフな黒色のジーパンと白色のTシャツ、その上から軽いカーディガン。
その一方、ドズルはビシッとスーツを着ていた。
「お酒は飲みますか?」
ドズルは通された個室につくと、下座を陣取り園田を上座へとスマートに案内する。
お互いが席に着いたあと、お酒の有無を尋ねた。
「あまり得意ではないので、お茶でいいですか? 」
「お、そうなんですね、僕もあまり得意ではないのでお茶にしようと思っていたんです」
気が合いますね〜とにこりと笑った。
そんなドズルの対応に「この人が社長なのもわかるし、ぼんじゅうるがついて行くのも分かる」と心の中で思った。
お茶を1口のみコース料理がズラっとテーブルに並ぶ。
それを、見届けた後ドズルは口を開いた。
「いきなりのご連絡とこうしてお話する機会を頂き本当にありがとうございます。」と頭を下げるとバッと、園田を見つめる。
何を言われるのかドキドキしていると……
「単刀直入にお話します。」
「は、はい」
「ぼんさんの過去を知ってる範囲で教えて欲しいです!」
「え??」
ドズルの言葉に拍子抜けた返事をしてしまった。
こんないい店で、こんないい部屋で、こんな豪華な料理と立派な立場と姿の社長に何を言われるのだろうと緊張していたのが馬鹿らしい程、ドズルはニカッと笑いフレンドリーに話しかけてくる。
「○○……えーと、ぼんじゅうる…の過去ですか??」
「はい!あの人なーーーんにも話さないんです!ついこの前たまたま彼の演技を見る機会がありまして、それを、いかせた企画等出来たらと思ってまして…… 」
「それは、本当に大丈夫ですか?」
「…と?言いますと?」
「あいつの話は出来ますけど、俺達にだって色々隠してる部分があるんです。なので憶測も混じった話になると思いますけど……」
不安そうに園田はドズルを見る。
「…大丈夫です、出来たら知ってること全て知りたいです。そして協力して頂きたいです。」
「…………」
「…とりあえず、飯食いますか?ゆっくり話しましょ!」
俯く園田にドズルは和ませようと声を上げた。
「…あの人、本当に、」
園田との会談の後、ドズルはネクタイを緩めながら会社への帰路に着く。
眉間に皺を寄せ、まるで誰かに怒ってるようだった。
ーーーーーーーーー
「○○……えーと、ぼんじゅうるは、俺たちと同じそこそこ有名な劇団にいたんです。どの演目をしてもチケットとか売れてて、波に乗ってたんです。特に、ぼんじゅうるが出る演目は全て完売する程あいつは人を惹きつける天才でした、その、、、本人は話してませんけど……よくストーカーとかやばい時は刃物持ち出されて刺されそうになったりとか、、そういうやばいファンが居るほど人気でした。」
「……ま、マジですか?!」
「はい、、で、そのぼんじゅうるに妬みを向けてた1人の役者がいたんです……」
「……まさか、神崎って人ですか?」
「……っ!そ、そうです!!あいつは特にやばくて、それこそ、ぼんじゅうるが辞めるまで陰湿ないじめと脅迫をしてたんです!!しかもそいつ!劇団オーナーの息子で事件を金で揉み消したり、酷い時は演目から外したり……」
「………………」
「そこで、俺達、ぼんじゅうるにしか出来ない役と演目を作ったんです。」
「……女形?」
「!!はい、そうです。衣装も台詞もメイクもステージセットもぼんじゅうるにだけ合うように管理したんです!!」
「神崎には決してできない?」
「はい!あいつはナルシストで決して女形なんてしません!自分を、かっこよく見せる役のみしかしないんです!!しかも衣装もぼんじゅうるの背丈に合わせて作った特注品で、台詞も神崎が決して言わないものです!」
「ほうほう」
「で、思惑通り!その演目だけはぼんじゅうるのままになったんです!!しかも、大反響!!どの演目も敵わないほどの売上を叩き出すんです!!稼ぎ頭になったぼんじゅうるはそこから女形メインの演目をこなしていきました……でも、普通に何してもあいつ上手いんですよ?なのにそれしか出来ない環境と神崎からのいじめで自信なくして…俺達も説得したんです!そんな事ない!役者続けろ!ここじゃないとこでもいい、続けてくれって……」
「……」
「…でも、ダメでした。あいつは根が優しすぎるから、色んな事、真に受けちゃって……」
「そうだったんですね…」
「…………問題はここからなんです、ぼんじゅうるが辞めた後の劇団は……」
「……」
「売上も落ちて…数ヶ月後には解体されました。」
「オーナーは大丈夫なんですか?」
「いいえ、黙ってません、今でも血眼になってぼんじゅうるを探してます。初めは神崎もぼんじゅうるが出来るなら俺もできるって抜けた穴埋めに入ったんですけど、やっぱりプライドが強すぎて……どうも上手くできないんです、それにまた腹立てて悪循環ですよ。全てぼんじゅうるのせいにしてます。」
「……で?園田さんは、ぼんさんに復帰迫ってませんでした?この前の電話少し聞いてたんです、すみません。」
「ぁあ、だから神崎知ってるんですね、大丈夫ですよ、こちらこそすみません、社員の引き抜きみたいな行為ダメでしたね。」
「社長としての立場だとあまりいい気にはなりませんけど、それほどぼんさんが仲間から思われていると思うと、個人的には嬉しいですね」
「……すみません、ありがとうございます…最近自分で立ち上げた劇団が出来たので、この期にぼんじゅうるに戻ってきて欲しいなって思って……あの演目もまたしたかったし…」
「いえいえ、で、なんですが、園田さん今個人で劇団立ち上げたって言いましたよね??」
「は、はい」
「今日は、ぜひ、園田さんの劇団とドズル社の合同イベントをしたいなと思ってまして……」
ーーーーーーーーーーーー
数時間前の会談の内容を思い返しながら、ドズルは手元のサイン済みの書類を見る。
「これは、絶対やった方がいい…ぼんさんには悪いけど、、逆手に取るよ、俺は!」
ドズルはニヤリと笑い会社へと入っていった。
あの騒動から数日後、再び集められたメンバー達
会議開始直後、ドズルは全員に数枚の資料と進行表を渡すと本題を切り出した、
「ーーーと言うわけで、資料の通り今度の企画は△△劇団さんとコラボします。」
ぼんじゅうるは頭が真っ白になった。目の前で話すドズルの顔を見つめ、 この人は何を言ってるんだ???と眉間に皺を寄せる。
△△劇団って確か園田とこの??いやいや、まさか、でも、あのドズルさんの顔……
「ぼんさん、もうわかってますよね?逆手に取りましょう、嫌な奴には逃げてるだけじゃダメです。俺が、ドズル社が全面バックアップ取ります。絶対守りますからやりましょう」
手元の資料には劇団責任者の園田の名前があった。
他のメンバーはワクワクと期待の眼差しを俺に向けてくる。
そして、懐かしい台本が俺の手元にある。
企画書類にはこれまた 懐かしい友の名前が所々の役割に刻まれている。
(あいつらもあそこ辞めて園田についてったのか……)
ぼんじゅうるは、ソッと知っている名前を手で撫でる。
演目「色に溺れる」
主演:ぼんじゅうる
○○ ○○
△△△ △△
□□ □
懐かしい台本、所々破れている、色もあせ赤ペンで至る所にメモ書きがしてある。
「これ、まだ持ってたのかよ園田」
ボソリと呟いたぼんじゅうるに、
「はい、預かってきました、園田さんはこの時をずーーと待ってたそうですよ」
ドズルはニヤリと笑う。
数十年前、俺が使っていた台本だ、あの時は逃げるように辞めた為、劇関係の物はほぼ置いてきてしまった。
そんな中、園田がぼんじゅうるの使っていた台本を保管していてくれたのだ。
ぼんじゅうるは、カーーッと胸に熱が集まる。
ドキドキと、緊張してきた。懐かしい鼓動の高鳴り。
あの時は、女形ばかりさせるあいつらに強く当たってしまった…今なら分かる、これが俺の為であったこと。
「大丈夫ですよ、ぼんさん!」
資料を読み終わったおらふくんはニカッと笑い、声をかけてきた。
「そうです、どうせ会社の事気にして乗れなかった話でしょ?」
「それならドズル社ごと絡もうと思ってね、これなら心置き無く出来るでしょ?」
MENとドズルは嬉しそうに話す。
ぼんじゅうるは、目頭が熱くなり俯く。
本当はもう一度あの仲間と何も気にせず演技をしてみたかった。ひとつの作品を思いっきりやり遂げてみたかった。
ドズルにそれを見破られていた事に恥ずかしさはあるものの、すっごく嬉しい。
「ありがとう…でも、これは、決定の前に話してくれよ」
「いやいやいや、サプライズの意味ないじゃないですか」
はははっと笑うドズルの目にも涙が溜まっていた。
園田から色々聞いたのだろう、俺の悔しさや後悔も、、
「ぼんさん、良かったですね」
おんりーは優しく声をかけてくれた。
「……恥ずいね、こういうの、でも、、やるからにはとことん詰めるからね。」
「はい、それでお願いします。ちなみに別室に園田さん達来てますよ?」
これまたしてやったりのドズルの声に、ぼんじゅうるはクククッと笑いながら席を立つ。ネコおじの横を通り過ぎながら「ありがとうね、ネコおじ」とポコンと台本で頭を小突いた。そして「早速、園田と打ち合わせしてくるわ」と会議室を出ていった。
ネコおじは小突かれた頭を触りながら
「なんで、俺が言い出したって分かったんですかね?」
と首をかしげた。
数秒後別室からドッと賑やかな声が聞こえてきた。
それを聞きながらドズルは嬉しそうに目尻の涙を指で拭き取った。
他のメンバーもニコニコしながら別室の方を見ていた。
企画出しからはや3ヶ月。
ぼんじゅうるは配信の合間や休日等を使い昔の仲間達と演目の稽古に明け暮れていた。
「ッはぁ!はぁ!もう1回!!」
「おう!!」
感動の再開から劇団仲間達は気持ちを入れ替え、来る日も来る日も稽古をしていた。
この日は、最終調整の日。
ドズル社のメンバーも数分後に様子を見に来る。
ドズル社と劇団コラボは大きな会場を貸切、イベントグッズや新商品紹介、ゲーム生配信、ボードゲーム大会、サイン会、コラボグルメ等、丸3日行われるファン達との触れ合いの日だ。
ぼんじゅうるは最終日の締めを担当する。
役者時代の仲間達とのコラボとあって、予約チケットは即完売した。
「だぁー!違うわ!!!そこ!何回間違えんだよ!!」
「っ!すみません!!!」
ぼんじゅうるは自身のブランクを見せないほどの仕上がりで他の団員達に罵声を浴びせる。
今回の演目は、ぼんじゅうるの為の、ぼんじゅうるにしかできない演目だ。
力の入りようが違う、昔の感覚が戻る、歳なんて感じないその気迫に他の団員は嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
また、ぼんじゅうると一緒にステージに上がれる事がこの上なく嬉しかった。
「園田!!!お前!その癖無くせ!」
「おう!ごめん!もう一度お願い!!」
1度役に入るとぼんじゅうるは人が変わる。その役に入り込みとことんまで落ちる。ここ3ヶ月ぼんじゅうるの纏う空気は別人のようで煙草も酒も辞めその役になりきっていた。
おんりーはその姿を見て、たまに目を擦り「ぼんさんがたまに女性に見えるの俺の目がおかしいの?」とMENに相談していた程だ。MENはそれをゲラゲラ笑い「大丈夫大丈夫!皆そう思ってたから」と肩を叩いていた。
役に合わせて体重を有り得ないほど落とした事にドズルは「大丈夫か?」と心配したり、おらふくんは「激ヤセで怖すぎてお肉誘ったけど断られました」と驚いていた。
「お邪魔します〜」
「あ、ドズルさんご無沙汰してます!」
園田はガチャりと開いたドアを見て駆け寄る。
「本当に!ありがとうございます!こうしてドズルさんからお声掛けが無かったら、、2度と会えませんでした!! 」
「いやいや、これは自分のためでもありますから!」
ドズルは人差し指と親指で丸を作って見せる。
「こちらも美味しいですからね〜」
「いやー!こちらこそですよ!!ドズルさん、本当にありがとうございます!!」
園田とドズルはふふふと笑う。
園田の背後に他の劇団員も集まりドズルに挨拶をする。
皆、目を輝かせお礼を述べていた。
「……ぼんさん?」
「…」
ぼんじゅうるは稽古室の中央で天井を見上げてボソボソと何かを呟いていた。
額からは汗を流し張り付く髪も気にせず、薄手の白Tシャツは汗で肌を透かしゼェゼェと肩で息をしている。
ドズルが来たことにも気づかない程入り込んでいる。
その姿は透き通るようで、見つめ続けると命を吸い取られてしまうのではないかと思うほど美しかった。
「最終調整日まで来ないで見ないで」とぼんじゅうるに釘を刺されていたメンバー達。ドズルは困惑していた。
その時、あーと園田が口を開く。
「ぼんじゅうる……あーなると意識無くなるまで走るんで、話しかけても無駄ですよ。とりあえず、他のメンバーの方にも入ってきたらそこの壁際の椅子から静かに見るように言ってください。すみません。」
「…あ、は、はい。」
ドズルはゆっくりと椅子へ移動しじっとぼんじゅうるを見つめていた。
他のメンバーがぞろぞろと「お疲れ様でーす」と入ってくる度、シーっと指でジェスチャーをしこっちこっちと椅子へ案内した。
MENはふざけてぼんじゅうるへ絡もうと部屋へ入ってきたが、異様な空気にグッと黙った。
滴る汗をTシャツの裾を捲し上げ拭き取る、痩せて凹んだ真っ白なお腹にもツーと汗が垂れる。その全てが色気を含んでいた。
メンバーは喉をゴクリと鳴らす。
ぼんじゅうるの纏う空気が違いすぎる、美しすぎて怖いと感じるほど。
服だってメイクだってしていないのに、グワッと部屋全体が異世界に入り込んだように空気が変わる。
ドンっ!ドドド!!
太鼓の音が響く。
その瞬間バッとドズルの方を見つめるぼんじゅうる。
「っ!!」
ドズルはガダッと座ったまま後ずさる。
射抜かれた、殺された、その眼光に、
心臓が痛い、これは本当にやばい。
ドズルは右手で心臓付近を抑えぼんじゅうるを見つめる。
「………………っはぁ」
ぼんじゅうるの吐息とポロポロと落ちる涙。
綺麗な泣き顔。
ぼんじゅうるはゆっくりと両の手で自身の顔を覆いフラフラと座り込む
「「泣いていては分からない」」
園田が低い声でぼんじゅうるの背後に立つ。
素っ気ない、まるでお前なんてどーでもいいと言ってるようで、、
「「……なら、泣かせないで」」
その一言、たった一言でぼんじゅうるは完全に女になっていた。
背景が浮かぶ、あの男に泣かされている、それもこっぴどく遊ばれ……
おんりーがグッと顔を強ばらせ園田を睨んでいた。
走り出し殴るのではないかと思うほど拳を強く握りしめ怒っていた。
この演目は、超シリアス、
ドズル社の逆を行く演目。
それをわざと最後に持ってくることでファンに印象づけられれば、面白がって貰えれば…と考えていたドズルは自身の頭を殴りたい衝動に駆られる。
ぼんじゅうる演じる女は足が不自由で人の助けがなければ立てず普段は車椅子で生活をしていた。そんな内気な女に優しく近ずいてきた園田演じる男に女は初恋を捧げ、全てを捧げ家も逃げ出し男の愛を信じ胸に飛び込む、しかし、男は女の背後にある家柄にしか目がなくそれさえ手に入ればどうでもいいと女を弄ぶ。
恋は盲目、少し遠い目で見れば分かる言動も行動も女は気づかず、家の秘密を男に渡してしまう。
そこからは、地獄。家からも追われ、男からも殺されそうになる。やっと逃げ出した先には何も無く、女は絶望し全てを壊そうと復讐に燃える。全てが終わった女、最後は覚悟を決めて握りしめた血だらけの刃と涙を零したギラギラと光る瞳で誰の力も借りずふらりと立ち上がり2時間少しの劇の幕が落ちる。
「色に溺れる……」
「恋、快楽、希望、絶望、殺意、覚悟……そして、孤独」
おんりーと、ネコおじがボソリと呟く。
コロコロと変わった色に、見終わった瞬間ぶはぁっと張り詰めていた息を吐く。
ドズルは見ていただけなのにゼェゼェと息をした。
おらふくんはボロボロと泣きながら「酷い……」と女の、生涯を嘆いた。
MENは苦虫を噛み潰したような表情で腕を組み園田を見ていた。「ひっでえ男…」と、ボソリと呟いていた。
どさっ!!
「!!」
ぼんじゅうるがフラフラと尻もちをつく、
「っはーーっ!はぁ!はぁ!」
「……○○、おわりだよ! 」
虚ろな目で天井を見つめるぼんじゅうるの本名を叫びながら園田は力強く肩を揺すった。
ぼんじゅうるは「えっ!?」と顔を園田に向けた。その後背後で駆け寄ろうと立ち上がったまま固まっているメンバーを見た。
「え?い、いたの?!」
「………………っ」
ぼんじゅうるだ、泣き跡を残したままコロリといつもの表情になったぼんじゅうるにメンバー一同はホッとした。
「やー、ごめん、気づかなかったわ。で?見てた?どう?こんなシリアスな、重々しい物語で本当に大丈夫??」
とケタケタ笑う顔におらふくんは「わぁーん!!」と泣き出した。
「ええええぇ!?!?おらふくん!?どうしたの!?」
「なっ”!なんでぇ”、そんな平気な”顔じでぇ!!あんなに”ぃ!酷い扱いうげだのにぃ”ーーー!」
ぼんじゅうるは、「おらふくん!役だから!大丈夫だから!」と駆け寄り背中をさすっていた。
その姿を見た園田はぶははっ!と笑いだし
「この演目すると、絶対俺嫌われるんスよ!」
とメンバーを見た。
「だろうな!!」
MENは少し苛立ちを出しながら突っ込んだ。
それに対して「ほらー!」と園田達はゲラゲラ笑いだした。
ドズル社イベントは大反響だった。
全てのブース、項目、問題なく進み商品はほぼ完売。
残すは最終日のぼんじゅうる演出の劇のみになった。
「いやー!楽しかったですね!」
「終わって欲しくないー!」
前説で他のメンバーがステージの映像上で絡む。
ドズルは実写にてマイクを握りこの2日間を振り返っていた。
ぼんじゅうるはその姿を袖から見ながら顎に手を置きブツブツと台詞を呟く。
園田が、「楽しいね、最高の仲間じゃんあの人達」とぼんじゅうるの肩に手を置くと「だろ?」とニヤリと笑った。
「皆様にはここに入る前に貴重品を預けていただいたことと思います。ここからは完全に撮影録音NGとなっております。」
ドズルが声のトーンを落とし真面目に話し出す。
「ドズル社ぼんじゅうると△△劇団の最初で最後の劇です。どうか、今までのぼんじゅうるの全てを忘れ、そして、全てを感じて欲しいと思います。そして、どうか心のメモリーに留めてください。必ず息を止めずに鼓動を確認しながら楽しんでください。」
そういうと、ドズルは袖のぼんじゅうるを見る。
「うん、大丈夫だよ、ドズルさん。」
そう呟くと聞こえてないはずのドズルがニコッと頷いた。
バツン!!
ザワザワっ!
突然劇場が暗転する。客席はざわめく。
数秒後、ステージの中央にスポットライトが当たる。
「えっ!」
客席から驚きの声が上がる。
「…………」
ぼんじゅうるだ、車椅子に座った煌びやかな衣装と透き通る程の美しい化粧をしたぼんじゅうるがサングラス無しで現れた。
瞳は伏せていた。客席の所々から「ぼんさん?」「え?」「綺麗」と聞こえる。
ぼんじゅうるはそれらが落ち着くまでじっと瞳を閉じてそこに座っていた。
他のメンバーが劇場の2階個室席に座っていた、ドズルも司会を終えそこの席へと腰を下ろす。
そして、あぁ、なんて綺麗なんだとぼんじゅうるを見つめた。
「っ…………」
ドズルは息を飲んだ。
目の前に現れた人間から目が離せなくなる。
紅を引き色白の肌は薄く色づいていた。
色気の暴力に息をするのも忘れて、瞬きをする事さえ許されないそんな空間に迷い込んだ。
本当にこの人間は俺と同じ男なのか?と思う程美しかった。
艶めかしく伏せた長い睫毛は頬に影を落としていた。
スラッと通る鼻筋とうっとりとする程の首筋。
リスナーからも絶賛された優婉な手。それらはとても40代後半の男の物ではなかった。
ドンっ!ドドドっ!
遠くで太鼓の音がする。
自身の心臓の音と重なり、どちらの音なのか分からなくなる。
「ぼ…さん」
ぽそりと口からこぼれ落ちた言葉は決してその男に届くはずもない、それなのに視線がバチりと合った気がした。
伏せられた瞳がゆっくりと開き、空を切る。
その瞳の中はまるで宇宙が広がっているようにキラキラと優美に輝いていた。
劇が終わる。
太鼓の音と共に目を開いたぼんじゅうるに客席は一段とざわめいたが一瞬だった。その後はのまれ、終演まで皆で見入っていた。
終演……暗転し数秒後、パチ……パチとまだらな拍手……
そしてドッ!と耳をつんざく拍手の嵐とスタンディングオベーション、「ぼんさーん!!」と悲鳴のような鳴き声が至る所から響いていた。
それらが数分続き、館内放送にて退場を促すも中々動かない人……全スタッフが駆り出され押しやる形でお客さん達は外へと案内される。
その姿は凄まじく泣きじゃくりながら「ぼんさん!」と振り返りながらステージに走ろうとする人もいた。
全員退場するのに1時間かかる大騒動が起きた。
ぼんじゅうるは袖で嗚咽を零しながら泣いていた。
今までの苦労とやり遂げた安心感、辛かった、やりたくてもできない環境と体と心がチグハグで、それらが今満たされた感覚。
園田も涙を流しながらぼんじゅうるを覆い隠すように重なる。
2人は床に座り込みながら、歓声を耳に声を大にして泣いた。
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽?
コメント
3件

表現の仕方がとっても上手で感動しました! 物語を描くの上手ですね、見習います
あなたのこの作品を見つけてから、寝ても醒めてもこのお話で胸がいっぱいです。何度読み返しても最高で、何度でも泣けます。こんな良作を生み出してくれて本当に有り難うございます。

最高すぎます…