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「……面白い。アウラを子供扱いするか」
ゼーリエが不敵に口角を上げ、ゆっくりと空中に浮き上がる。
彼女の周囲の魔力が黄金の粒子となって弾け、オイサーストの空が夜のように暗転した。
「リムルと言ったな。お前が持つ、その魔法ではない『理外の力』……私が全て暴いてやろう。――死なせてやるほど、私は優しくないぞ」
「……はは、やっぱりこうなるか」
リムルもスライムの姿を捨て、銀髪をなびかせた戦闘形態へと変わる。
「ラファエルさん、フルサポート頼む。……相手は本物の化け物だ」
『了解。マスター。全能力(スキル)を常時発動状態で維持します』
「――『全魔法解禁』」
ゼーリエが指を差し向けると、神話時代から彼女が収集してきた数万の魔法が、雨のようにリムルに降り注ぐ。
炎、氷、重力、精神破壊。あらゆる属性が混ざり合った混沌(カオス)の濁流。
「全部見えてるぞ! ――『多重結界』『能力改変』!」
リムルは襲いかかる魔法を一つ一つ解析し、自分に届く直前で「無害な魔素」に変換して吸収していく。
「ほう。私の魔法を食べているのか? 欲張りな奴だ」
ゼーリエは一瞬でリムルの背後に転移し、手に凝縮した超高密度の魔力弾を叩き込む。
ドォォォォォォォン!!
爆煙の中から、リムルが黒い刀を抜き放って飛び出す。
「――『神之怒(メギド)』・収束形態!」
一点に集中された光のレーザーがゼーリエを貫こうとするが、彼女はそれを「素手」で受け流した。
「遅いな。光の速さと言えど、放つ前の『予兆』を読めば回避は容易だ」
「なら、これならどうだ! 『暴食之王(ベルゼビュート)』!!」
リムルが空間そのものを喰らうように影を広げる。
それに対し、ゼーリエは杖を地面に突き立てた。
「面白い。ならば私は**『世界を固定する魔法』**で応じよう」
二人の衝突によって、周囲の空間がガラスのようにひび割れる。
フリーレンやフェルンは、その余波だけで吹き飛ばされないよう必死に結界を張っていた。
「……信じられない。ゼーリエ様と互角に……いえ、押し返している?」
フェルンが震える声で呟く。
数十分の激闘の末。
二人は同時に攻撃を止めた。
ゼーリエの服の一部が焦げ、リムルの頬には薄い切り傷がついている。
「……ふん。これ以上は、この街どころか大陸が消えるな。やめだ、やめ」
ゼーリエが先に魔力を霧散させ、地面に降り立つ。
「助かったよ……。あんた、本当に底が見えないな」
リムルも肩の力を抜き、苦笑いした。
「リムル。お前は魔法使いではないが、誰よりも『魔法の深淵』に近いところにいる。……私の弟子にするのは諦めてやる。代わりに、対等な**『友人』**として遇してやろう」
ゼーリエが差し出した小さな手に、リムルは自分の手を重ねた。
大陸最強のエルフが、異世界の魔王を「対等」と認めた歴史的な瞬間だった。