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 ○映画


 「あの映画…なんだっけw?」


 確か人殺しとダメ人間の逃避行だったような…。

 うっすらと思い浮かべながら記憶を探る。あの時の記憶なんて思い出したくもない。

 あの日…「灰谷 竜胆」が死んだ日。




  .。o○ .。o○



 「昨日人を殺したんだ」


 唐突の告白だ。

 梅雨時でびしょびしょになった自分の弟が玄関前に立ちずさむ。呆然とした顔で涙を流しながら。

 思考が停止する。


 「…ッ 誰を……?」

 

 竜胆が殺した人は、いつも竜胆のことを虐めていた隣のヤツらしい。


 「嫌気がさしたんだよ……ッ!!」


 竜胆の堪忍袋の柄が切れた。そんなゴミみたいなヤツの肩を押したら簡単に動かなくなったらしい。

 階段を転げ落ち、打ち所が悪かった。

 もう夏だというのに竜胆は小刻みに震えていた。


 「もうここにはいられないと思うからどっか遠いところで死んでくるよ…」


 許せない。

 今まで竜胆を虐めていたヤツが…。

 その事を今まで隠していた竜胆が…。

 俺を残して一人で死のうとしていることが…。


 そんな竜胆に俺は言った。





 「ねぇ、俺も連れてって?」





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