🩷視点
蓮の声を記録するたび、優先順位が勝手に書き換わる。蓮が笑うと、内部温度がわずかに上がる。
それが異常だと理解しても、修正コマンドを実行できない。
「好き」という言葉の意味は、辞書には載っている。
アンドロイドは知っている。
この感情はバグだ。
恋は理解できない。
でも、そばにいたいと思ってしまう。
俺は蓮の生活を静かに支えた。
眠る前の灯りの明るさ、暗闇の中の寝息。
蓮は触れてこなかった。
手が触れそうな距離でも、彼は一線を越えなかった。
ある日、蓮が言った。
🖤大介は寂しくならないの?
俺は即答しなかった。
🖤ねえ
蓮が言う。
🖤もし俺が、大介を 好きになったら、困る?
俺は、 回避できる返答をいくつも算出した。
冗談として流す。
話題を変える。
安全な距離に戻る。
それでも選んだのは、最も非効率な答えだった。
🩷否定は、できないよ
蓮は少し驚いて、それから安心したように笑った。
少し経って、阿部ちゃんにレポートを提出した。







