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貰った毛布で全身を包み、広い廊下を歩いていく……
え?毛布の下?もちろんTシャツにガラパンだぜ!めっちゃスースーする。
そんな服の事なんてどうでも良くなる程の衝撃的な事実に脳が混乱している!
異世界に召喚されたというパンチでさえ強力な一撃なのに“身体が女になってた!”って数十倍強いパンチがもう一度クリティカルヒット!
やめて遊戯!もう僕のヒットポイントはゼロよ!
「……」
「……」
「……」
一緒に移動している弟とイケメン君は俺から距離をとって歩いている。
……そりゃそうだ、俺でも気まずくてこんな痴女が居たら距離をとる……
「ここです」
「あ、はい」
そのまま特に何も会話も無く俺は目的の部屋へ入れられた……のだが__
「うん!そうなるよね!」
さぁ!部屋を紹介しよう!
ほんわりと香る甘い匂い!
ハートの鏡やアニメでしかないようなゴシックなベッド!
さらに化粧品や紅茶セット!
全体的にピンク!ピンクピンクピンク!
めっちゃ女の子の部屋!!!
なんでこんな部屋に?いや!だって!!!
「っ!!!!!」
鏡の前に行ってガバッと毛布を脱ぎ捨てる!
腰まである金髪!
青い澄んだ綺麗な目!
豊満な形の整ってる胸!
腰のクビレに大きい太もも!
「おぇぇぇ……」
血の気が引いていき吐き気を催す。
この吐き気は二日酔いのではない……
それもそうだ、マシになったとは言え俺は“女性恐怖症”保持者……女性の顔が綺麗で整ってる奴ほど嫌悪感を抱くようになっているのだから……
「こんなの……鏡見れないぞ……」
異世界に来る時に他の種族になるパターンのアニメや漫画は見てきた……だけど!!!
「なんで女なんだよ!聞いたことねーよ!!夢にまで見た異世界転生!なんなんだよコレ!普通にチート能力で世界を救うとかでいいじゃん!神様ぁ……俺が何したって言うんだよ!蜘蛛とかスライムとか骨とか!他に絶対有っただろ!ちくしょー!」
寧ろそっちの方が先輩が居る分良かったわ!!
「はぁ……」
ため息をつきながらクローゼットを開ける。
どちらにしろ今の格好のままならただの痴女だ。
「うげ……」
中にはギッシリと女物のフリフリしたドレスが詰まっていた。
「これ、着なきゃダメなのか?」
派手派手な真っ赤なドレスや白いドレス。
そんな自己視聴の激しいドレス達を避けて選んだのは一番奥にあった青黒いドレスにした。
「これ、どうやって着るんだ?」
ドレスなんて着たことないし分かんねぇて。
解らない時は……あれだ、知ってる知識で応用すれば良い!
「ドレスと言えば外国の浴衣か!」
確か日本の浴衣は下着をつけないってネットに書いてた……つまり!
「ふんぬ!」
俺は唯一のTシャツとガラパンを脱ぎ捨てた。
「……」
自分の身体なのになんか罪悪感あるな……って
「脱いだから何なんだぁ!状況は変わらねえ!」
さらにタイミングの悪い時に限って部屋のドアが開いた。
“しまった”!鍵をかけ忘れた!いや!扉は開いたけど!
「……」
「え……」
部屋に入ってきたのは栗色セミロングの髪に、トロッとした綺麗な翠の目が特徴の19歳くらいの女性だった。
彼女はここのクローゼットの中にあるものと同じ種類のピンクのドレスを着ている……お姫様みたいだな。
「……」
「ど、どうも」
全裸なので手ブラに大事な所を隠しながら挨拶。
「えーっと、ここは一応私の部屋なんですけど……」
なるほど、理解した。
「そ……」
「そ?」
「そうとは知らずに失敬した侍、我は今日この国で召喚された勇者で候、今宵女騎士殿に案内されここに馳せ参じた所でござる!」
なんじゃこりゃこりゃ!?
自分で言ってて自分を見失った。
「あなたが!?ま、まさか!」
あ、良かった、なんか伝わってるっぽい。
「時は一刻を争います!来てください!」
「え!?ちょ!?」
彼女は俺の手を掴み。
「行きますよ!」
「ち、ちょっと待って!服を!」
「服!?あーとりあえずこれを!」
「うぇえ!?」
俺は先程、脱ぎ捨てた毛布をまた押し付けられた……
下が真っ裸になってるからさっきよりヒドイ状況なんだけどおおおぉ!?