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俺はまた毛布に包まり先ほどの召喚された部屋へカムバックした。
「ふむ、サクラか、どうしたのだ?そんな血相を変え__」
「ど、どうも」
「アナタはいつ服を着るんですか」
もはや俺の身を色んな意味で守るのはこの毛布一枚だけ!
「お父様、詳しく説明してもらいましょうか」
「「何を」と言っても無駄みたいだな」
ほむほむ、王様に対して“お父様”……この子は“王女様”って事なのか……なるほど言われてみればオーラがある。
なんかプリプリ怒ってるな。
すこーしずつ距離とっとこ……
「見ての通りだ、我が国で勇者召喚を行った」
「勇者を召喚する際、各3国の同意の許、それぞれの国で一人ずつ召喚をする……古い規定ですが知らないわけではないですよね?」
あ、そういうルールがあるのね。
確かにアニメや漫画でも異世界勇者の力は強大だ。
それを知ってるって事だろうな?
ん?あれ?え?
確か、ここに居たのは弟と俺とイケメン君の3人……て事は3国分ここに召喚したって事?
「そして、規定に反いた国は他2国から粛清を受ける」
「如何にも」
「アナタは戦争を起こすつもりですか!」
うへぇ!?
つまり全力で他の国が俺達を滅ぼしに来るって事じゃん!?
え?ヤバくね?
「バレなければ良いのだ」
うわ、王様がそれを言っちゃう?
バレなきゃ犯罪じゃないとか、もうやり慣れてる人の発言じゃん……隠蔽とかゴリゴリの国って事じゃん暗殺とかしてそう。
「そして……この方の存在」
「彼女が何か?」
ん?俺?俺が何か?
「しらを切るつもりですね、なら私から言いましょう」
ふむ、良かろう俺も聞こう。
「……「女勇者が召喚された場合『女神』が関与している可能性があるので抹殺せよ」」
「!?」
え……???
「何故それを!」
『どうしてでしょうね?』
女勇者?……はて?そんな奴は……俺じゃん!!?!?!?
いや!男だけどさ!女じゃん!今俺!もしかしてあのイケメン君が女とか?いやいやいやいや!俺じゃん!?
「え?え?え?」
「落ち着いてください」
これが落ち着いてられるか!?
「それをさせない為に私は今、ここに居ます……あなたは1000人の命を生贄に召喚されてる……ここで死んだら、その方達も報われません」
「せ、1000人!?」
どう言う事!?
次から次へと情報が出てくるんだけど!?
「あなたにも知る権利がある、良いですよねお父様」
「……」
皇女は俺を真っ直ぐ見て話す。
「勇者召喚の儀式……用意する物は【神の石】と呼ばれる希少鉱石と生贄を1000人__」
「__ちょ、ちょっと待って!さっきも言ってたけど俺……僕達を召喚するのにそれだけ死んでるの!?」
「はい、それにあなた“達”ではありません」
「え?」
王女様は人差し指を立てる。
「1人につき1000人です」
「!?!?!?!?!?」
う、うそだろ!?
「それに関しては問題ない、罪人や志願者を__」
「__罪人や志願者を使っている、ですよね、お父様」
「……」
「“クバル村集団失踪事件”に何かお心当たりはありますか?」
「っ!?」
あー、これは心当たりある反応だな。
「どうやったかは知りませんが流石に3000人は中々集まらなかったみたいですね、闇の奴隷商まで手を出して買い占め、さらに無関係な人達まで巻き込むとは」
「ぐぬぬ」
な、なんかごめんなさい……呼び出されたのが俺で。
「お父様、これ以上罪を重ねないでくださいませ……」
「……だとしても『女神』が関与している可能性がある以上このまま放置しておけぬ……分かるだろう」
待って!女神って何!女の神だろ?それが何か悪いのか?
「かつて、世界を滅ぼそうとした者は勇者でありながらも自分の事を『女神』だと名乗っていた“絶対悪”の象徴」
「も、もしかして」
「はい……アナタと同じ、女の勇者でした」
お、おぅふ、すげー当てはまるじゃん俺!?
て言うか、そんな理由で殺されんの!?
俺だって頼んでこんな身体になったわけじゃ無いんだぞ!
嘘だろ嘘だろ嘘だろ!?
異世界きていきなり絶対悪判定とかハードモードすぎね!?
俺どうすりゃいいんだよ!
「ならば、私のこの行動は……正義!」
「ち、ちょ!」
王様が手を上げた瞬間、部屋の騎士達が全員武器を俺に向けてきた。
さらにその後方の騎士は魔法陣を此方に向けて来てる。
……初めて見る魔法陣が俺を殺すための魔法陣ってどう言う事!?
「私から離れないで」
「是非!」
俺は距離を取ってたが王女様の背中に隠れる。
女性恐怖症の不快感はかなりある……が!それはそれ!これはこれ!我慢するだけで死を免れるなら何でもしてやる!
「そいつから離れろサクラ、駄々をこねてもどうにもならんぞ」
「そうでしょうね、騎士達もよく見ればお父様の側近ばかり……他の騎士達は召喚された事すら知らないでしょう」
気がつくと俺は身体の芯から震えだしていた……これが殺される時の恐怖……。
「う、ぐ……」
涙が出てくる。
嫌だ、死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!
「フフッ……」
そんな俺に気づき王女様は目を見つめて来る。
「大丈夫ですわ、目が覚めたら全て終わってますわよ」
あれ?王女様の目の色って……
『寝なさい』
そんなに……赤かった……っけ……。
全身麻酔をかけられた様に力が抜けていき俺はそのまま気絶した。