テラーノベル
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それは、じっくりと熟したイチゴのみずみずしい果汁の香りと
どこかホッとするようなミルクの優しい甘さが溶け合った
まさに「イチゴフェア」そのものの幸福な空気感。
一歩足を踏み入れただけで、学校での緊張感が一気に吹き飛んでいくようだった。
ウエイトレスに案内されて窓際の席につき、メニューを開く。
圭ちゃんは、開いたページに視線を一瞬落としただけで、すぐにパタンとメニューを閉じてしまった。
「とりあえず俺は、コーヒーとサンドイッチ。りゅうは?」
相変わらず決めるのが早い。
「圭ちゃん早いね」と苦笑しながら
俺はテーブルに置かれたメニューを両手で手に取り、ページをペラリとめくった。
やはり目に飛び込んでくるのは、お目当てである『イチゴフェア限定』の華やかな文字。
どれもこれも美味しそうで目移りしてしまうが
その中でも一番心を惹かれた組み合わせを選ぶことにした。
「じゃあ俺は…これ!『果汁入りイチゴスムージー』と『イチゴ生クリームロールケーキ』にする!」
注文を終え、料理を待つ間も
圭ちゃんは腕を組んだまま窓の外をじっと見つめていて、どこか上の空だった。
◆◇◆◇
それから暫くして
「お待たせ致しました~。こちら、ご注文の品になります」
オレンジ色の水玉模様が可愛らしいエプロンを身につけたウエイトレスが、丁寧に料理を運んできた。
「ぁ、ありがとうございます!」
目の前にコト、と置かれたのは、お洒落な木のプレート。
そこには、俺が頼んだ鮮やかなピンク色のスムージーと
真っ白なロールケーキが並べられている。
対面の圭ちゃんの前には
シンプルなサンドイッチと、湯気を立てる漆黒のブラックコーヒー。
俺の目の前では、まるで新雪のように白い生クリームの海から
艶やかに輝く真っ赤なイチゴがひょっこりと顔を覗かせている。
この完璧な三重奏を前にして、我慢なんてできるはずがなかった。
早速、小さなフォークをそっとケーキに沈める。
スポンジ生地が、かすかに「しゅわ」と繊細な音を立てたような気がした。
期待に胸を膨らませて口に運んだ瞬間──
ミルクのコク深い生クリームが、舌の上でなめらかにとろけていく。
そこに、大粒のイチゴのみずみずしく鮮やかな甘酸っぱさが弾けた。
「ん~~!!これはやばいっ、おいし~~!」
生地の優しい甘さとクリームの濃厚さを
イチゴのシャープな酸味がきゅっと引き締めている。
咀嚼するたびに口いっぱいに広がる贅沢な一体感に、思わず感嘆の声が漏れてしまった。
次に、ガラスのグラスに入ったイチゴスムージーに手を伸ばす。
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野々さくら
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