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野々さくら
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#ラブコメ
猫塚ルイ

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太めのストローをくわえて吸い込むと、とろりとした濃厚なスムージーが滑り込んできた。
人工的なシロップの味じゃない
イチゴ本来のフレッシュな甘酸っぱさと、華やかな香りが鼻腔を贅沢に抜けていく。
ひんやりと冷たい液体が喉を通るたび
今日一日の学校生活で張り詰めていた身体の力が、すうっと抜けていくのが分かった。
果汁の瑞々しさが、疲れを優しく洗い流してくれるような感覚。
いつもなら、俺がこうして大袈裟に感動していると
「大袈裟すぎだろ」とか
「食レポかよ」って、突っ込んでくるはずの圭ちゃんが、妙に静かだった。
ふと、不思議に思って彼に視線を向けると
圭ちゃんはどこかムスッとした不機嫌そうな表情のまま、無言でコーヒーを啜っていた。
サンドイッチにはほとんど手が付けられていない。
俺が口の中でイチゴの余韻を楽しみ続けている傍らで、圭ちゃんは時折
窓の外を見るフリをして視線を外しつつも、チラチラと俺を盗み見るような動きを繰り返している。
「…圭ちゃん、どうしたの? なんか、怒ってる……?」
「別に」
「え、だってなんかずっとムスッとしてるし……あっ!もしかして、この席、イチゴの匂い強すぎてキツい?」
「それもあるけど……」
「けど?」
「…面白くねぇだけ」
「え、何が?」
「……なんでもねぇ」
あからさまに視線を逸らされ、俺はフォークを持ったまま首を傾げた。
(やっぱり、甘いものの匂いが充満してる場所に無理に連れてきちゃったから、イライラしてるのかな…)
申し訳なさが勝り、俺は少しトーンを落として提案した。
「そ、そう?…ごめんね。その、次からは圭ちゃんに無理して頼まないで、甘いもの好きな他の友達を誘うようにするからさ……!」
その言葉を聞いた瞬間、圭ちゃんがコーヒーカップを持つ手がピタリと止まった。
「友達って?」
「え?ええっと……あっ、さっきの吾妻くんとか誘ってみようかな…!すごく甘いもの好きみたいだったし、一緒に甘いもの食べに行けば、友達になれるかもだし───」
そこまで言いかけたところで、圭ちゃんが低く地を這うような声で遮った。
「りゅうさ……お前、それわざと言ってんの?」
「えっ?どういう…」
言いかけた俺の言葉は、圭ちゃんが呆れたように深く吐き出したため息にかき消された。
圭ちゃんはカップをソーサーに戻すと、身を乗り出すようにして俺を睨みつけてきた。
「…お前はさ、俺が『りゅうは坦々麺食えねぇから、他の男誘って飯行くわ』って言っても、何とも思わねぇの?」