yajpです
地雷、苦手な方は見ないことを強く推奨します。
「jp〜?」
一緒にゲームをしようと誘おうと思い、リビングへ向かったがそこに居たのはnaさんだけだった。仕方がないので料理をしているnaさんのそばまで行き、ちょんちょんと人さし指でつつくと何?という顔をしたnaさんと目が合った。
「jp知らない?」
「jpさんなら自分の部屋に居るんじゃないんですか?昨日遅くまで仕事してたみたいですし」
「そっか、ありがと」
そのままリビングを出てjpの部屋へと来た。数回ノックをするが反応がなかったのでそのまま部屋を開けると、パソコンの前で眠っているjpが居た。どうやら編集をしたまま寝落ちをしてしまったようで、目の下には隈ができていた。心なしかほんの少し痩せたようにも感じられる。また一人で無理をしたのかという言葉をぐっと堪え、jpの髪に触れる。
「…頼りないって、分かってるんだけどさ」
俺は最年少で、jpから見れば餓鬼になる。そんなこと分かっていて、分かっていても好きという気持ちを抑えきれなくてようやく答えてもらえた。あの時も子供みたいにはしゃいだ俺を大人ぶって止めてきたjpを見て、複雑な気持ちになった。確かに頼りなく見えるだろうし、jpは一人で何でもやろうとする努力家だって分かっている。でも、恋人という関係になれたにも関わらず頼ってくれないのはつまらない。
「…みんな、心配してるんだぞ」
俺だけじゃない。みんな、みんなjpを信頼しているのと同時に心配している。一人で頑張ろうとするヒーローを支えたいと思っている。でも、彼はたった一人で突き進もうとする。その背中を見ることしかできなかったあの頃の俺は、もうどこにも居ない。
「…jp、おいjp起きろ」
「…な、に…yanくん、?」
目を覚ました彼はとても眠そうに目を擦りながら、でも自分の眠気よりも俺を優先してくれたことの嬉しさと同時にもっと自分を大切にしろと叱りたくもなった。
「また寝落ちたの?ちゃんとベッドで寝ろよ…」
「んー、でも…ほらここなら起きた瞬間編集できるしさ?」
「はぁー?」
どこまで行っても自分を優先しない男に心配を通り越して呆れてしまった。怒っているのが顔に滲み出ていたのか、jpはふと大人びた笑みを浮かべて左手で俺の頭をくしゃくしゃとやや乱雑に撫でてきた。突然の行動に思わずjpの顔を見ると、相変わらず子供を見るような目で見てきた。
「子供扱いすんなよ!」
「yanくんは何時までも可愛い子供だよ?」
「あ〜の〜な〜!!」
しかし、ふと気が付いたのだ。あの頃、まだ俺がずっとずっと幼くて、声だって今よりずっと高かった頃に撫でてくれた時と手は変わらない。暖かい、優しい手。人は変わっていく、変わらない人なんて存在しない。でも、この優しい手と優しい目だけは変わらなかった。俺の大好きな手。頑張った時も、泣きたい時も、怒ってる時もいつだってこの手で触れてくれた。男にしては少し小さくて、少し頼りなく感じるけれど不思議と安心感のある手。
「…変わらない」
「?なにが?」
「jpはさ、一人で頑張りすぎなんだよ」
そう言うと、困ったような笑顔を浮かべながら撫でる手を少しだけ緩めてきた。そうして、不意にこの男を撫でたいと思った。この、脆くて人一倍頑張りやなこの男を。
「…ゆ、yanくん?」
「…変わらないだろ。jpのほうが年上だとしても、変わらない。子供だろ」
大人と子供の違いを問われれば、大抵の人は年齢を引き合いに出す。でも、それは単なる見た目だけの話で子供でも大人びたやつくらい居る。大人は単なる我慢を覚えただけの見栄っ張りな子供なんだ。だからこそ、誰かに頼らないといけないんだ。
「…yanくんが大人になっちゃうよぉ〜寂しくなるね」
「なんでだよ、俺は居るだろ」
「一番長くyanくんの成長を見てきたからね、yanくんが大人に近付けば近付くほど、嬉しくなるし寂しくもなるよ」
その時のjpの目は、もう俺を子供だとは思っていなかった。その目に映って居た俺はもう大人で、やっとjpの隣に立つことが出来た。
「つまり、もう俺jpに手を出してもいいんだよな?」
「ん、ん?な、何言ってるのyanくん?」
「俺が手を出そうとしたら子供はダメっていってたけど、もう俺子供じゃないんだよな?なら、手を出してもいいよな?」
「ん、ん〜?ちょ、!?」
「待たない」
まだあなたの優しい手に縋りたいけれど、待ち望んだあなた自身に縋りたい。
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