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畝澄ヒナ
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臣桜
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#短編
五來 小真
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「山上さん、あそこに見える大きな建物気になりませんか?」
「麗華さん、気になるんですか?行ってみましょうか!」
会場を出て少し歩くと大きな洋風の建物があった。二人で近づいてみると周りに人はほとんどいなかった。
「あぁ、今日は休館日みたいですね…麗華さん、結構ワクワクしてたのに残念ですね」
「うぅ、美術館巡るの好きなんですけど…残念です」
まさかの美術館は休館日だった。そんなこと考えもしてなかったので、驚きすぎて少し表情を隠さねばならなかった。この後本当にどうしようという悩みでいっぱいなの。
「山上さん、少しこの辺りお散歩してみませんか?」
「いいですね。ぶらぶらしましょうか。」
二人でこの街の探検に出かけることにした。と言っても周りには何もなく、何かを見てお話ししたくても本当に何もない。このデートが白けてしまわないか心配だったが案外、山上さんは楽しそうにしていた。しばらく歩くと、お堀のようなものがありそばに警官が立っていた。何を守っているのかわからなかったが相当大事な土地なのだろうか。二人で話し合ってみたがわからず、山上さんが地図を見てそこに何があるのかわかったと教えてくれた。
「皇居が近くにあるんですね!」
「そうなんですね!なるほどだからお巡りさんが立ってたんですね!」
プチ謎が解けてスッキリした私は山上さんの横顔を見つめていた。すると、彼もこちらを見て不思議そうに笑っていた。なんだか、二人の気持ちが一緒になったような気がして心が躍っていた。そんなこんなで辺りは暗くなり時間もちょうど良くなっていたのでマーケットに戻ることにした。
「やはり夜になると寒いですね」
と一言山上さんは言った。私は結構な装備をしてきたので案外寒くない。山上さんの格好は意外と軽装だったみたいでコートは着ているもののかなり薄着らしい。
「まあ、12月ですしそりゃ寒いですよ」
「じゃあ、腕でも組んで温まりますか?」
え?急にそんなこと言われてちょっと引いた。冗談なのか、本気なのか、それともワンチャン狙いなのか山上さんの考えていることがわからなかった。だけど、極めて明るい声でサラッと言い流すことにした。さも気にしていないかのように。
「大丈夫です。そういえば私、ホッカイロ持ってるので要りますか?」
「え!いいんですか、麗華さん、大丈夫です?ありがとうございます。」
「私、2個持ってきてるので、遠慮しないで使ってください」
と言いホッカイロを渡した。役に立てたようでなんだか誇らしく思えて気持ちが良かった。夜のマーケットはイルミネーションがありよく輝いていた。彼の笑顔もキラキラと輝いていて素敵だった。夜ご飯にビーフシチューを食べマーケットを後にする。もうこの時間が終わってしまうのかもと思い少し悲しくなっていた。だけど、彼から解散しましょうという声は聞こえてこなかった。なので、まだ一緒にいられて嬉しい気持ちもあったが、また何をしようかなと頭の中でぐるぐる考えていた。私たちは歩き出し光で包まれた街中を二人で見ていた。くだらないことをたくさん話した気がする。道の途中で神社を見つけたので私はどうしてもお参りしたかった。気になりすぎてじーっと見ていたら彼が気づいて
「神社好きなんですか?」
と聞いてきた。私は結構スピリチュアルなことに興味があるので、
「はい、神社を見るとついつい入ってしまいたくなるんですよね」
と言った。二人で神社に入ってお参りをした。私は神にこの横にいる山上という男がいい人でありますように、この関係がうまくいきますようにと願って外に出た。すると山上さんが
「結構長く祈ってましたね。なんのお願いしたんですか?」
と聞いてきたので私はこう答えた。
「お願いは人に話すと叶わなくなっちゃうんですよ!だから、秘密です」
と言ってはぐらかし少し笑った。山上さんは少し不思議そうに『ふーん』と言って境内を出た。駅に向かう途中、離れたくない、まだ一緒にいたい。そんな気持ち、ここ最近感じていない。二人で電車に乗った。何を話したのか忘れてしまったけれどこのまま解散していなくなってしまうそのことだけが頭の中を巡っていた。気がつけば私の最寄りの駅だった。私は降りた。彼も降りてきた。
「麗華さんがさっき言っていた公園のクリスマスツリーが見たくなって降りてしまいました…」
と言い、少し乾いた笑いを響かせた。
「ちょっと遠いですけど案内しますね!」
二人で駅を出て商店街を駆け抜けた。公園まであともう少し。目の前に素敵なクリスマスツリーが見えてきた。それは綺麗にイルミネーションが施されており下には座れるスペースもある。そこで恋愛についてのおしゃべりをした。
「山上さん、前の人とはどうして別れちゃったんですか?」
「まあ、自分が悪かった。それだけですよ…」
「なんでそう思うんですか?そんなことなさそうなのに」
「最後に、『私のこと本当に好きなの?』と言われて振られました。時間をうまく使うことができなくて、当時仕事が忙しくてリソースを割けなかったんです。本当に申し訳ないことをしたと思っています。」
「そうだったんですね…。私も恋愛でうまくいってなくて…難しいですよね」
なんて恋愛の話をしていたら、急に雨がザァザァ降ってきた。結構強い雨だったのですぐには止まなかった。大きな木の下にいるとはいえ少し濡れた。気づけば時間もあっという間に過ぎてしまい山上さんの終電は無くなった。雨が止んでから私のマンションまで送ってもらった。
「ここの坂きついですけど景色が綺麗なんですよ。富士山見えますし、反対は都会でスカイツリーとか見えるんです」
「おお、本当だ!素敵ですね」
「あ、私の家もうすぐです。8階に住んでるのでそこからも景色見れるんですよ」
「麗華さん、軽率にそんなこと言っちゃダメですよ!そういう発言で犯罪とかに巻き込まれるかもしれないじゃないですか!」
「山上さんがそんなことするとは思ってないから言ってるんですよ!」
そんなことを話していたら私のマンションに到着した。
「山上さん、すみません。終電無くなるまでお話ししてしまって…」
「いや、いいんですよ!自分も楽しくて時間忘れてしまいました!明日お休みなので大丈夫ですよ。どっかで時間潰して始発で帰ります!」
「気をつけて帰ってください!今日は本当に楽しかったです!ありがとうございました。」
そう言って私は少し躊躇いを感じながらマンションに入って行った。