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「起きて!!ルイ!!!」
「……え、?」
ゆら、と揺れるサイドテールにピンクの髪。
髪と同じ色の目に珍しい濃いピンク色の睫毛。
僕は、この子を知っている。
「……ミズキ?」
「ルイ!!起きたんだねっ!!?あ、騎士団長様と女王様と…呼んでこなきゃ!!」
「え、」
いまいち状況が呑み込めない。
仮死状態だったミズキが忙しく走って、大きく声を出す事も出来ている。
どうして?と考える暇もなく、シュヴァリエとネネ様とエム様が部屋に駆け込んでくる。
「ロゼ、休めって言ったのに休まなかったの?」
「ロゼさん〜っ!心配できゅーーーってなったんだよ!?大丈夫なのっ!?」
「ロゼ!!オレと話したあとどうしたんだ!?」
本当に状況が呑み込めない。
寝て、夢を見たのを思い出して、それから苦しくなって…気付いたら王宮の医療室に居て、そこに元気なミズキがいて、ネネ様とエム様とシュヴァリエが来た。
うん、全くよく分からないね
そもそもなぜ苦しくなったのか?どうして医療室に居るのか?仮死状態だったはずのミズキがどうしてここに居るのか?
考えることの量に対して脳が追い付いていない。
全く、良く回る頭もこんな状況じゃ動かないのか、
「ミズキ」
「何?ルイ」
記憶があって良かった。
少し、話したいことがあるからね。
「ネネ様、エム様、騎士団長様。ミズキと2人で話させてください。」
「分かった」
あぁ、なぜかは分からないが頭が痛い。
首が痛いのは恐らく寝違えてしまったのだろうか。
「さて…ミズキ」
「うん。」
思ったより低くなった声でミズキを呼ぶと、『2人で話すのが分かっていた』かのように動揺もしない。
「なんで、 ここに居るんだい?」
「仮死状態から急に目覚めたらしくて、今は夢の魔法軍に居るから。」
「…へぇ、で、急に…って?」
「医者から聞くと本当に前例が無いから分からない、だって」
「いつから目覚めたの?」
「1ヶ月前。そこからリハビリとか勉強とかして、魔法軍に入った。」
魔法軍の試験は1週間前。
元々才能があったから、目覚めて2週間ほどでも全く問題はなかったのだろう。
あの時は気付かなかったけど、ミズキの魔力量は常人の物じゃなかった。
だから、魔法技術も勉強、リハビリの間に今までの物を叩き込んで、試験に受かったのだろう。
時期も合うし、2週間ほどでも受かったと言ってもミズキなら有り得る。
嘘は無さそうだ。
「ミズキ、入ってきたのはいつ?」
「今日だよ」
「…僕が寝ていた時間は、どれくらい?」
「5時間ほど」
「ふぅん…そっか、」
「なにー?疑われてるー?ボク」
「そんなことないよ?」
今起きた時の時間は午後の5時を指している。
悪夢から目覚めた時はだいたい正午くらいだったか……
そう思ったらミズキは僕に会いに来て、起きたけどすぐ寝てしまったから運んでくれた……となると辻褄が合う、のか。
……なんだか、シュヴァリエに会いたい、
いや、そこに恋愛感情やらが乗っている訳では無いが、ふと思っただけで、「好き」とかでは決してない……はず
「騎士団長様は居る?」
「分かった、呼んでくるね」
ミズキと居るのもいいが、ミズキに今して欲しいことは「自分が1番したいこと」。
だから、僕と話していては出来ないから。
「ロゼ」
「シュヴァリエ!」
あ、つい呼び捨てで呼んでしまった……
「む、やっとそれで呼んでくれたか」
「呼ぶつもりは無かったんですけどね、」
むぅ、とむくれるシュヴァリエが可愛くて、少し笑ってしまった。
……恋愛感情は、無い、はず…
あぁ、僕が人に恋するなんてね。
その人に迷惑を掛けるだけなのに。
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