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――昼下がり。


広大な岩場と、たまに草木が生えている程度の、殺風景な景色。

探し物の依頼で指定されたのはそんな場所で、それ以外にはなかなか表現が難しい場所だった。


「え、ここを探すんですか?

アイナさん、大丈夫ですか?」


目の前の広大な景色を見て、エミリアさんは心配そうに聞いてくる。


「うーん、思った以上にだだっ広いですね……。

もう少し場所は絞られていると思ったんですが……」


「この広さで、報酬は金貨1枚と銀貨25枚……なんですよね。

アイナさんが受けなければ、きっと誰も受けなかったのでは……」


「そうですね……。でも、これも人助けですよ。

人助けをしてお金をもらえるなんて、とってもお得な人助けじゃないですか」


「ふふふ。アイナさんって、やっぱり良い人ですよね」


良い人……なのかな?

情けに弱いだけ……とも思ってしまうけど。


「それじゃ、早速始めますね。

ルークとエミリアさんは、何も無ければのんびりしていてください」


「え? 何もしないで良いんですか?」


エミリアさんの質問に、ルークが答える。


「アイナ様が鑑定スキルで探索しますので、それを待ちましょう。

さすがにこの広さでは、私たちが手伝ったところで何の助けにもなりませんから」


「鑑定スキルで……?

……あれ? わたしの知ってる鑑定スキルとは違いますね……」


それ、ガルーナ村の人にも言われたから――

……と内心ツッコミを入れつつ、とりあえず依頼の指輪を探すことにする。


よーし。それじゃ、広い範囲にかんてーっ!



──────────────────

【普通の岩】

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【固い岩】

──────────────────

【枯草】

──────────────────

【石】

──────────────────

【サソリ】

──────────────────

【埃】

──────────────────

【回転草】

──────────────────

【空き瓶】

──────────────────



……頭の中を様々な情報が流れていくが、流石にすぐには見つからない。

しかし15分くらいしたところで、ようやくそれっぽいものが引っ掛かった。


──────────────────

【指輪】

──────────────────


「あ! とりあえず指輪を発見!」


「本当に見つけたんですか!?」


驚くエミリアさんを横に、詳しくかんてーっ!


──────────────────

【思い出の指輪】

結婚指輪。夫婦の愛が刻まれている

──────────────────


……うん、多分これだね。

素敵な説明文が書かれていることだし。


「はい、間違いないと思います。

少し歩きますが、取りにいきましょう」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




指輪は10分ほど歩いた場所の、今にも枯れそうな草むらの中に落ちていた。


「あ、これですね」


私が指輪を拾い上げると、エミリアさんがそれを覗き込んでくる。


「わぁ~、綺麗な指輪ですね。

ここ、何だか不思議な色に輝いていて素敵です!」


エミリアさんが示した部分は、灰色と黒色の……少し説明しにくい色が煌めきを放っていた。


「本当ですね。へー、すごく綺麗~……」


そんな話をしていると、ルークも指輪を覗き込んでくる。


「もしかして……これは、ミスリルではないですか?」


「ミスリルって、魔法金属の?」


「はい。合金にすると別の色合いになるのですが、ミスリル単体だとこんな色になったかと思います」


へぇ……?

何となく青っぽいイメージだったんだけど、こんな色だったんだね?

一応、調べておこうかな。


えーっと、素材を調べるのは……『創造才覚<錬金術>』だね。


──────────────────

【『思い出の指輪』の作成に必要なアイテム】

・ミスリル×1

・白金×1

・金×1

・ダイヤモンド×1

──────────────────


「……うん、確かに素材にミスリルが入ってるみたい。

ふーん、これがミスリルかぁ……」


「わたしもミスリルを実物を見るのは初めてです!

良いですねぇ、欲しいなぁ……」


……うん、本当に綺麗だ。

赤色とか青色みたいな華美な色ではないけど、しっとりとした大人の雰囲気を感じさせる。


「アイナ様、この依頼はこれで達成ですね」


「本当にすごいですね。合計で30分くらいしか掛かっていませんよ!

これで金貨1枚と銀貨25枚なら……かなり割が良いですね」


「まともに探すなら、割はかなり悪いですけどね……」


私が苦笑して返すと、エミリアさんはなるほど、といった表情を浮かべた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




場所を移して、先ほどとは別の岩場。


「エミリアさん、気を付けて!!」


ルークの声が、大きく響いた。


ラージスネイクを見つけてルークが対峙したところまでは良かったのだが――

……間隙を縫って、後ろに控えていたエミリアさんに向かってしまったのだ。


「大丈夫です! パージング・フィールド!」


エミリアさんと私の周囲に、うっすらとした白い場が生み出される。

この魔法は確か、敵の攻撃力を削ぐ魔法……だったっけ。


ズザザザザ!!


ラージスネイクは声を立てず、砂埃を巻き起こしながら素早く移動していく。

……そういえば、蛇って鳴いたっけ?


いやいや、今はそんなことを考えている場合ではないか。


ズザッ!!


ラージスネイクは白い場を警戒したのか、その手前で一瞬止まった。

エミリアさんはその動きに反応して、攻撃魔法を唱えていく。


「シルバー・ブレッド!!」


聖なる力、その塊がラージスネイクの額に向かって撃ち放たれる――

……のだが、すんでのところで避けられた。


「ああ! エミリアさん、惜しい!」


エミリアさんがラージスネイクと応戦している間に、ルークは猛然とした勢いでこちらに戻って来る。


「ハァッ!!」


ザン……、という音と共に、ラージスネイクには最初のダメージが与えられる。

すると――


「コオオオオオオッ!!」


鳴き声、ではなく激しい息遣い。

ラージスネイクの口から、不気味な音が周囲に響いた。


……身体が大きいだけに、声ではなくてもやたらとうるさい……!


「ルークさん、続けてお願いします!

ホーリー・バインド!!」


エミリアさんが別の魔法を唱える。


その瞬間、ラージスネイクは上から衝撃を食らったような感じでびくっと震えた。

名前からして、恐らくは束縛魔法――


「ハアアアッ!!」


そして、ルークの強力な攻撃がそれに続く。


力強い剣撃はラージスネイクの首筋を斬り裂いて――

……そのまま、絶命させた。



「二人とも、お疲れ様でした!」


「はぁ、はぁ……。いや、すいません。

やはりラージスネイクは後衛に向かってしまいますね。エミリアさんの機転で助かりました」


「わたしが持ち堪えた時間なんて少しですよ。

ルークさんの動きが良かったと思います!」


……ちなみに私は無力でした。

分かっていたけど、やっぱり悲しいところ……。



呼吸を整えたあとは、討伐の証拠品を確保していく。


「ラージスネイクの証拠品って、何だっけ?」


「えぇっと……牙2本か目玉2個ですね」


……目玉はちょっと、生々しいなぁ。


「牙にしておく?」


「そうですね、目玉は扱いが難しいですし」


え? 理由はそこ?

……確かに、運んでいるときに破裂でもしたら……あ、いや、余計なことを考えちゃった。

異世界冒険録~神器のアルケミスト~

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