テラーノベル
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「ん、んンッ?!」
驚きに落とされそうになった皿を右手で支え、ノールックで食器カゴに置く。徐々に口内を責めながら、そのまま右手を細い腰に手を回して引き寄せる。
「っ、ふぅ んッ、…ふぁ、待っ、っンん!」
「、は…んー?なぁに?」
早く抱かせて?そう媚びるように首筋に浮かぶ血管をなぞってちろりと舐め上げると、康二の身体が震えた。
「ぁっ、…ここ、で?」
「うん。……だめ?」
そう上目遣いにお願いしても、康二が咄嗟に目元を隠してしまってその効果を発揮することはなかった。が、
「…ここではちょっと…嫌、かも。」
「じゃあこっち。」
──それって、抱くのはいいってことだよね?
…あぁ、もう無理。寝室へ行く余裕もなく、半ば強引に手を引いてリビングのソファへほぼ投げ出すように座らせる。彼に跨りながら横へ押し倒して顔を近付ければ、ぐいっ、と両肩を押し戻される。
「いやあの、風呂入ってへんし、」
「だぁーめっ!久しぶりの康二のため、佐久間さんはもう我慢できませーん。」
押し倒した衝撃で捲れたシャツから見える脇腹の素肌に手を差し込む。変わらず冷えている手の感触もあってか、それだけで大きく康二の身体が跳ね上がる。
「ん、ッ!」
「まだ身体触っただけだよ?」
「…手ぇ、冷たい…。」
「じゃあ康二があっためてよ。代わりに俺は康二を癒してあげる。」
《ねっ?》と頭を撫でながら首を傾げる。それでも彼は困ったように眉尻を下げ、首を横に振ってそのまま顔を逸らしてしまった。
「さっくん、やっぱあかんわ。明日も撮影ある──」
「康二。…そんなに甘えられない?俺…頼りない?」
つい零れてしまった言葉にはっとして、彼はすかさず俺を見つめて今一度頭を振って否定した。
「ちゃう、そういうことちゃうねん!」
「演技する上で役に入り込むことは良いことだけど、悪い気持ちまで家に持ち込むのはダメだよ。特に康二は。今日、かなり持ってかれてキツいんじゃない?今だって、──すげぇ辛そう。」
「それは、」
何だか悲しくて、悔しくなってきて。尚も反論しようとする彼の言葉も構わず遮って心から溢れてくる想いを紡ぎ続けて、
「仕方ないことだよ。職業柄解ってる。でも、俺達だけはもう仕事上の関係じゃないよ?こういう時くらいでいいから、一旦全部忘れてさ、俺だけの康二を曝け出してよ…。」
──遂には涙まで滲んできちゃって。耐えるように、誤魔化すように、唇を噛んで無理やりに口角を上げる。
「…さっくん、ごめん。」
「ううん、どんなお前でも大好きに変わりはないからさ。康二、とりあえず…好きって言って?」
「っ──好きや、大好き…っさっくん…!」
堰を切ったように嗚咽を漏らして大粒の涙を流し始める彼を強く抱き締めて再びぽんぽんと頭を撫でると、同じ力で抱き返される。…あったかいなぁ。
「やっと戻ってきたね?」
「…ゔん、…さっくん、」
「ん?」
「撮影はあるねんけど、
今だけは…めちゃくちゃにして、ほしい。」
「!…任せて。」
承諾を皮切りにお互いに頭を引き寄せると、歯がぶつかるほど噛みつき合うように口付けを交わす。角度を変えながら熱い舌を絡めて、唾液を交換し合って、服を脱がせ合い──止めどなく高まる情欲にもう理性など働いていなくて、そのまま身を任せることにした。
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