それからしばらく経ち、どちらともなく距離が縮まった。
最初は冗談混じりの軽いじゃれ合いだった。酒のせいか、酔いに任せた無意識の行動だったのか。
「……ふっか」
「……っ」
気づけば唇が触れ合っていた。
最初はただの気の迷いだと思った。
けれど、どちらも拒むことなく、そのまま深く口づけた。
夜の静寂が、互いの呼吸だけを際立たせる。
触れる指先が熱を持ち、肌の温度が重なり合うたびに、考えることをやめた。
「……これ、まずいよな。」
どちらが言ったのか分からないほど、声はかすれていた。
「……考えるのは、明日にしよう。」
理性の境界線を曖昧にしたまま、二人は夜の深みに沈んでいった。
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