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「……ぐぁっ……!」
必殺技を使った反動と、トアールが全くダメージを喰らっていなかった事に驚き、動けなかったすまない先生を容赦無く針山が貫く。
「ほらほらwwwどうすんだよ?」
相変わらずイラつく物言いだが連続して生成される針山から逃れる事すら出来ない。勿論言い返すことも出来ない。
(……銀さんっ……!)
その思考を最後にすまない先生の意識はブラックアウトした。
「……ッ……」
トアールがシルバーアルケミーの生成をやめた。すまない先生が気絶したからだろうか。だとするとやはり先ほどからすまない先生の足止めしかしてない。例の毒矢トラップにしろ何にしろ。
(私達を倒す気がないのでしょうか?それとも私達など取るに足らないと舐めているのでしょうか?)
しかしそのどちらも見当違いであったと気付いたのはその直後だった。
____ピキッ……
何か固いものにヒビが入ったような音が聞こえた。何の音かと辺りを見まわすと……
____トアールの仮面にヒビが入っていた
「……ゔっ……」
トアールは頭を抑えて後退る。
顔を上げたトアールの瞳は“いつもの”優しげな濃緑に“戻っていた”。そして目の前で気絶しているすまない先生に気付き頬を透明な雫が伝った。
「……銀さん……?」
「……ぁ……」
ゴトッ!
トアールがハンマーを取り落とす。
「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁっ!」
負のエネルギーが辺りに渦巻く。それらは全て床に残るシルバーアルケミーの残骸に吸い込まれ、トアールへと逆流する。
「ッ……トアール様……!」
リデルが入って来た。
「おい!貴様のせいか!」
バナナがマシンガンを突きつけながら問う。
「いえ、私達のせいではありません。そもそもから、トアール様がスキルに負のエネルギーを纏わせることができるなど……知りもしませんでした!」
リデルの必死な様子に嘘や偽りの気配は感じなかった。恐らく本当なのだろう。これで嘘だったら相当な役者だ。
「……とあー……」
ドォッ!
負のエネルギーの奔流が近づこうとしたリデルを吹っ飛ばす。
「……ぐっ……!」
「……リデル」
ブラックが声を掛ける。
「なんですか……」
リデルの警戒心増し増しの声が答える。
「この状況は貴方も想定外なのですよね?」
「……ええ、そうよ」
ブラックはスッと目を細める。
「一時休戦、共同戦線といきませんか?」
その言葉にはリデルのみならずその場にいた全員が驚いた。
「ブラック、正気か?」
バナナの問いにブラックは頷く。
「銀さんがあの仮面の支配下にある以上、コルテージュの協力は不可欠です。何か異論が?」
バナナはグッと言葉を詰まらせ黙った。
「……分かったわ。でもこの状況が打開するまでよ。落ち着いたらまた私達は敵同士よ。それをゆめゆめ忘れないように」
リデルは多少不服そうだが承諾した。
コメント
1件
ぎゃあああああああああ銀さーーーん